ハムレット

ようし、ついでだから、Hamlet の話をして差上げようじゃないか。

まあ、友人やここを見ている人が講師をやっている塾というか鉄緑会なので、今となってはあまりこういうのを掘り出したくないのだが。
ここの講師はそういえば全員(?)だったか東京大学の学生だったそうだ。

ある塾の英語のテキストのハムレットの引用句の解説が明らかに間違っていました。日本語訳でもいいから見れば分かるといったのに、僕の担当講師には「う〜ん僕法学部だから知らない、哲学科の彼詳しそうだから聞いて」といわれ、彼のところに持っていくと「ハムレット? 良く知らない。たぶん、そうなんじゃん? この文章一橋の古いので、たぶん、来年のテキスト改正でなくなるから」で片付けられたのが一番嫌でしたね。

私がこのことで学んだことは3つだ。

  • 世の中の多くの人は小学校出る前に四大悲劇くらい読んでいるわけじゃないってこと。
  • こんなささいなことでも対応できない人が東大には居て消去法でそこへ行くってこと。
  • 間違えたことに寛容であると同時にそれをごまかそうとする人に冷徹であれってこと。

ちなみにそのときお題にしたのは "What's Hecuba to him or he to Hecuba?" の he を夫 Priam と解釈する斬新なものでした。

高等教育を侵食する似非科学5

高等教育を侵食する似非科学
高等教育を侵食する似非科学1
高等教育を侵食する似非科学2
高等教育を侵食する似非科学3
高等教育を侵食する似非科学4

行ってきました。「精神の生態学」を頂きました。あ、サインしてもらうの忘れた。

朝、この blog 見つけたらしくて、ハイレベルな議論してるね、だそうです。
おかげさまで。

あとは、私も会ってくださった方にとっての「よいカード」になったらしいので、そこは素直に喜んでおります。



以下、各論。

リゲル

リゲルがリゲルでないことは、よく気がついたねえ、おみごと、だそうです。
一応、確認ビデオを見たのだけれども嘘はついていなくて、オリオン座の全体像が見えたあとに、中央をゆっくりとズームアップ。そのときに右下のリゲルの下に "Rigel" という表示が出る。で、ズーム途中で文字が消えて、直後別の星の写真になる。色が違うし二重星
たしかに、そのとき Rigel の話はしているが、その星は Rigel とは書いていないからセーフでしょうって。
ほんとにこれでいいのかよ、と思いましたが、まあ、ビデオ作るの大変だろうからねえ。

あの星は、北斗七星のアルコル・ミザールな気もしてきた。


うわ、うっそ、リゲルにも伴星あるし。サイズはだいぶ違う気がするが。
http://homepage2.nifty.com/star-kn/Ori.html

素数

僕の誤情報、F_5はなかったよ、ということだったので引き下がってきました。
131071, 524287, 10006721 これらは元のテクストに載っていたそうです。

最大 20桁の素数を生成したという記述があるがその数は書いてないことからビデオで表示する素数を数学科の先生に依頼したところ、
984385009, 18446744073709551617
をくれたそうです。私は別に生成した素数を用いることは許容範囲だと思う。(つまり20桁の素数はほとんど多くの人にとってどれでも同じだと思い、それを認めてよいと思う。記録がないそれが本当に素数なのかは別としてね。)

が、ところで
\large F_6  = 2^{2^6}+1= 18446744073709551617= 274177 \times 67280421310721
あらら。
あとはお任せします。

相対論

ビデオを見せてもらいました。
みんな、あれやばいだろうと言っていて、何がやばいのかは思い出せなかったのは思い出してきました。

「若き日のアインシュタインの夢の中で、自転車を光速度でこいだら光が止まって見えた。」たしかに聞き返すと仮定法の would だし、いいんじゃねえか。まあ、いいんじゃないかね。若き日のアインシュタインの妄想だし。

もう一点、僕がわざわざメモをしたのはこっちが理由で、それは「アインシュタインの後姿があって光速度の1/3くらいで走行中の電車の中を覗いている。電車の中央に人(結構小さい)が書いてある。電車の前と後ろで"同時"にライトが光って同心円が広がっていく、電車は進行して、しばらくすると同心円が中央の人のところで接する。」これは映像を見ればアインシュタインの座標系で見ているように思います。それでやばいと思ったのだけれども、
(ここからは僕の解釈だが、)よ〜く画像を見ると、アインシュタインは初めの位置から左に移動していて列車の中の人は不動。ということは、実は列車と同じ速度で並走する系から見ているんですね。画像提供は NHK だそうです。
なんというか、地雷原を生徒と一緒に駆け抜けている気分だ。先生も私も踏んでいないようだが。踏んだ人? が大して重くなければ爆発しないという読みなのかな。

相対論の不使用

これはむしろどうしても使いたかったらしい。相対性理論に興味があるということもあって。
当然、双子のパラドックス特殊相対性理論で扱える範囲の事柄で、慣性系の乗換えをしても局所的には時刻が変わらないのは(、固有時間って長さだから自明だけれども、それを知らない人にとっては)非常に混乱を招くとかどうこう。
「地球を出発した人と地球に残った人は、前者が折り返し地点に到達するまでは、完全に対称だ。」という箇所が引っかかったらしい。いや〜、なんも問題ないと思いますが。あと、双子の名前を逆にしていると思われる箇所があったらしいが僕は気がつかなかったし、どこか忘れた。作者に質問の手紙送ったが反応なかったとか。
まあ、ようするに質問がきたときに捌けないと思ったのだそうです。

Natural Selection

後は Lyall Watson。ライアルワトソン
システム論ととれば問題ないですね、の一点ですね。ここに関しては、僕は気がつかなかったと読んでいたから、ruke の読み筋が正しかったってことだ。
ところで、ここで議論をしていたメンバーは「取り下げるほどであるかないかは別として、自分が編集委員だったら乗っける気はない」だと思っていて、会合の場ではそう発言してしまったけれども、異論がある人は一言残して言ってね。


細かい点。文章は相互に推薦しあって採用した。そのときにはこの文章が誰の著かは書いていなかった。注をつけながら Lyall Watson の文だと知ってその瞬間にまずいな、とは思ったそうです。Chick Sexing (鶏の雌雄判別)の部分は気に入らなかった。ただ、ルービックキューブの比喩は「少年が盲人の横で、間違えた動きをすると "No" とささやく」というものだった。少年の形をしているのはまずいが、"No" としか言わないのあたり、ありなんじゃないかと。
Lyall Watson 周辺のスキャンダルの一部(百匹の猿の捏造)は知らなかったそうです。

まあ、こっちの準備不足もあるが、これはシステム論ではないとする明確な理由はその場ではあげられなかったので帰ってきました。一応、本全体を見るとどうあがいてもシステム論とは読めないという主張はしておいた。
帰ってから読み返してみたが、羊膜卵のくだりやカエルのくだりは、これはシステム論でとらえられないだろうと思うなあ。


この後の7章も実はチョムスキー生成文法に反して同様にまずいという説が出たとか。

あと、英語一列の授業目的も英語がメインであくまでも教養をつけるところの目的とは、一に英語だということ。
Darwinism の扱いについて、頭の注で疑問の提示の形で緩和しているつもりだというのも Ruke の読みが正しい。この教科書は教養学部生に疑問をぶつけているつもりで作ったそうだ。豊かな議論をして欲しくて。
そのひとつの形がここの blog にできているという。さようか。これに関しては実に無駄だったと私は思っているが。
それにしてもさすが Ruke。本文読んでない状態で突っ込んできて、よくここまで読めてるよ。勿論、会うまでここの議論を熱心に読んでいたようだから引きずられている可能性は否定しない。

メタ科学の見地から見ても、この文章は許容すべきだとのことだった。
私は彼に関しては二つの条件から彼を追放したい。
「定説の根拠のない批判」「引用の偽造をやった」が理由。
一つ目は自然科学が分かっていない分野に対して対抗する説を出すことは非常に好ましくても科学的証拠が積みあがっているところに根拠のない異論を対等にぶつけているように見えるのがまずい。
二つ目は最近はやりの実験結果捏造、黄教授や多比良教授と同じですよね。他人の著作を勝手に変えているあたりさらにたちが悪い。

小計

これで、お互いに事実関係の情報はほぼ共有されて、それ以上、上のレイヤーで僕が議論するのは、議論の相手が決定権を背負っている状態では(価値自由が保証されないこともあって)全くやる気がしないわけですが。(事実関係の議論は歓迎。また決定が動かない状況になったら、楽しくベキ論を語り合えそうですがね。)
まあ、ようするに、僕が与えた情報は、素数とスキャンダルの一部と全体を通して読めばシステム論にはどうしてもならないこと程度で、その程度では動かなかったということです。それと同時に僕のほうも向こう側の主張を聞きはしたが、特に納得のいくものではなかったということかな。


あと何度も言っているけれども、

もっとも私は特に教養学部には所属意識が皆無なので、そこに所属する人が間違った知識を植えつけられようが洗脳されようが、(それは当然その人の無能さに起因しており、)社会に影響を及ぼすような地位に就いて迷惑をかけなければ、知ったこっちゃないですが(evil grin)。

ってところ。

総評

結局、囲碁でいう花見コウで、コウは全部負けたが、他をちょこちょこ寄せたからよいって感じかな。相手のコウ材できかなかったところがある?
いま、模様の中への打ち込んで生きる筋が見えているので今度はそれもやりますね。

考え方によっては、上の段落とあわせれば、ちょっとは成長しているってことですよね。