心の理論

http://d.hatena.ne.jp/nuc/20050615/p8

41人の貴族がいる。彼らは聡明であるが、お互いにその聡明さを誇っているがために非常に仲が悪く、そして孤独で気高い。それで誰かに質問をしたり物を教えてもらうようなことがあるくらいならば、死んだほうがましだと思っている。彼らは皆その領土の管理を自分の執政に任せているが、その執政は皆邪悪で領主に隠れて横領を働いている。誰もがその事実を知っているのに、貴族達の近辺のことを知らせることは己の身を危うくするので誰もそれができないでいた。
それを見かねた王が、ある日貴族達に通達を出した。

お前達の執政の中に横領を働く邪悪なものがいる。そのような邪悪な執政をのさばらせておくことは万死に値する。二ヶ月猶予をやろう。邪悪な執政たちを全員、法に照らして捌け!その程度のこともできない奴には、執政が邪悪かどうか教えてやる!

貴族達は恐れおおのいた。「執政が邪悪かどうか教えて」もらうなんてあまりにも屈辱的だ。
なお、貴族達が唯一の情報源としているものは新聞である。この新聞は、他の領土のニュースは載るが自分の領土のニュースはカットされたものが送られるようになっている。彼らは自分の領土のことを新聞から読むなど耐えられないのだ。カットされていないものが誤って貴族に届いたときには、この新聞社は危うく潰されるところであった。つまり、この新聞には他の貴族の動向や配下でない執政が横領をしているかは書かれているが、自分の領土に関する情報は一切ない。

さて、執政たちは法にのっとり死刑になるだろうか。(ただし横領は死刑らしい。)

この問題が難しいのは、心の理論を多段階で使うからではないだろうか。
あと、もうひとつは大局量に注目させるからか。