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2014-09-26-金

[][][][]ベルサイユのばら第38話「運命の扉の前で」アンドレの死

脚本:篠崎好 絵コンテ;さきまくら 演出竹内啓雄 西久保瑞穂 大賀俊二

私も体調が優れないので、あんまりこってりとした感想は書けないのだが。

今回は一言、「静か」と言うだけでいいだろう…。

原作や舞台版ではかなり革命とかオスカルの演説が盛り上がっていたが。

オスカルは衛兵隊の部下に対して自由平等博愛理念を語るのではなく静かに「親や兄弟に銃を向けないのが当然だろう。私も平民の妻になった。だから夫に従おうと思う」と訥々と語る。

衛兵隊の部下たちはそのオスカルの言葉で盛り上がるでもなく、むしろアランが「隊長が来る前に相談していたが、戦いになったらその場で衛兵隊を辞めて革命に身を投じたいと思っていた。」と。

出崎統アニメらしく自主性がアップしている。

で、アラン班長はオスカルを新しい指揮官に迎えて平民と共に戦うことを認めた。そして、「おめでとう、お二人さん」泣かせる。

で、革命だ!衛兵隊の反逆だ!と言う所で一気に盛り上がるのかと思うと、そうでもない。

衛兵隊が平民に迎え入れられるためにオスカルが静かに平民たちを説得し、居合わせたベルナールのおかげで平民と合流する。

しかし、その戦いは革命の歴史に残る栄光の戦いと言うわけでもなく。

平民の側に寝返った50人の衛兵隊は馬でパリを転戦するが、民衆を守って機動力で貴族の部隊を打ち破るという爽快感はなく、むしろ裏切り者のアウトローとして体制側の圧倒的な布陣の前に敗戦に次ぐ敗走を余儀なくされる。50人は半数に減った。

そして、オスカルの夫となり、オスカルを導くのかと思われたアンドレも失明が進行して、あまりオスカルを夫ととして力強く導くことはなく、セリフは少なく、アランに助けられて馬にしがみつくのがやっとだ。

オスカルも元衛兵隊B中隊を死の戦いの中で指揮することに必死で夫婦生活と言うのはない。しかも衛兵隊も戦闘に慣れているわけではなく、次々と倒れていく。

終盤の革命闘争が始まったのに、ドラマチックな派手さが全くない。

いや、むしろ革命を派手に描いたり賞賛せずにただただ淡々と描くことで、フランス革命が決して華々しい歴史の事件ではなく、単なる人の営みの一つとして描こうという作り手の人間観が伺える。


そして、みじめにドブ川の中の橋の下で一夜を明かした衛兵隊B中隊は夜明けとともに平民の部隊がバリケードを築いているテュイルリー広場を目指して出発する。その矢先、偶然、貴族側の歩哨と出くわす。即座にピストルで射殺するオスカル。が、歩哨が撃った弾丸がアンドレを偶然撃った。

何のドラマ性も伏線もなく、偶然死ぬ。

この、静かな断絶感。リアル

宝塚歌劇団バージョンのような戦いの中で雄々しく死ぬというような盛り上げもなく、静かに、名もなき一人の歩哨と偶然出くわしただけでアンドレが死ぬ。前回、あれほどオスカルと命の炎を燃え上がらせたアンドレが。

前回が命の激しさ熱さの力を表現したとすれば、今回は儚さであろう。

この両面を描いている所が、名作の所以だ…。

あと2回。

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