簡単!dvioutのポータブル化

はじめに

 伊藤は、LaTeX+Ghostscriptをポータブルディスクに入れて使用している(詳しくは、稚稿「Windows版TeX+GhostscriptのUSBポータブル化(EPSを含んでも大丈夫!)」を参照。)。作成した文書のviewは、dvipdfm(x)でpdfにして、ポータブル化したsumatrapdfで閲覧しているので、これまで、dvioutを使用するインセンティブに乏しかった。

 しかしながら、所謂スライドを作成するにあたり、LaTeXを使うのは不便で、powerdotの仕上がりもあまり綺麗なものとは言い難い。できればMicrosoftPowerpointを使いたい。でも、pdfのスナップショットを貼り付けるのでは、仕上がった数式があまりにも汚すぎる。

 いろいろ試行した結果、dvioutを使って、必要な数式部分をbmpイメージとして切り出すのが、簡単かつ綺麗に仕上がることが分かった(奈良教育大の藪先生「TeX の数式を PowerPoint に貼り込む方法」)。ただし、折角LaTeX+Ghostscriptのポータブル化環境を謳歌しているのに、dvioutのみをローカルディスクにインストールするのには抵抗感が残る。そこで、伊藤は、dvioutのポータブル化にトライし、成功した。本稿は、そのやり方を解説する。なお、win7+64bitで動作確認済。

dvioutをポータブルディスクに展開する。

長岡高専・電子制御工学科・視覚情報処理研究室による「USBメモリ活用講座【実践編・dviout for Windows ポータブル化】」の「dviout for Windows の展開 (解凍) と初期設定」の1.を参考に、ポータブルディスクの適当な場所にdvioutを展開してください。2.はまだやらなくていいです。

dviout.parの作成

dvioutを起動する際に読みこむdviout.parを作成し、dviout.exeと同じフォルダーに格納する。最終行の’は省略しない。長岡高専・電子制御工学科・視覚情報処理研究室の皆さん、ありがとうございます。

dpi=1200
tpic=1
gen="`mktexpk.exe --dpi ^d --bdpi ^D --mag ^M ^s"
TEXROOT=^T\fonts
ftt=^x\map\ttfonts.map
TEXPK=^r\tfm\\^s^tfm;^r\pk\\^s.^dpk;^r\vf\\^s.vf;^r\ovf\\^s.ovf
gsx=gswin32c.exe
vfn='
%version=2
%vfont_list
1,"MS 明朝"
2,"MS ゴシック"
3,"@MS 明朝"
4,"@MS ゴシック"
5,"cmr10"
%jfm_list
jis,1,a,a,n,0;0;0,,1,0
jisg,2,a,a,n,0;0;0,,1,0
min,1,a,a,n,0;0;0,,1,0
goth,2,a,a,n,0;0;0,,1,0
tmin,3,a,a,n,0;0;0,,1,1
tgoth,4,a,a,n,0;0;0,,1,1
default,1,a,b,n,0;0;0,,1,0
tdefault,3,a,b,n,0;0;0,,1,1
edefault,5,a,a,n,0;0;0,,1,0
'

dvioutを起動するためのバッチファイルの作成

以下のようなファイルを作成。名前はなんでもいい(start_dviout.batとか)。dviout.exeと同じフォルダーにおいておいて、必要に応じショートカットを作成するのが合理的と思われます。

1行目はコマンドプロンプトに実行過程を表示させないための「おまじない」であって、あってもなくても良い。

2行目、3行目はtexとghostscriptにパスを切るためのコマンド。ポータブルディスクのインストール環境にあわせて、記述を適当に変更する。%~d0は、ポータブルディスクに割り当てられたドライブ文字(z:\とか)に相当する。dvioutは、起動の際、適当なフォントが見つけられないと、texのコマンドを使ってフォントを作成しようとするので、無駄だとは思わないこと。

4行目、5行目もtexにパスを切るためのコマンド。ご自身の環境にあわせて適当に書き換える。

6行目でdviout.exeが起動される。

@echo off
set PATH=%~d0\App\tex\bin;%~d0\App\gs\gs7.07\bin;%~d0\App\gs\gs7.07\lib;%~d0\App\dviout;%PATH%
set GS_LIB=%~d0\App\gs\gs7.07\lib;%~d0\App\gs;%~d0\App\gs\gs7.07;%~d0\App\gs;%~d0\App\gs\gs7.07\kanji;%~d0\App\gs\fonts;%GS_LIB%
set TEXMFMAIN=%~d0\App\tex\share\texmf
set TEXMF=%~d0\App\tex\share\texmf
start dviout.exe 

dvioutの確認動作

dvioutを上で作成したバッチファイルにより起動する。適当なdviファイルを開いてみて、文書がちゃんと表示されたら、無事終了です。

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