規制のせいで新聞代は7割高

自由化して値下げすべし、って言わないんだねw
 

デフレ下でも価格が下がらない新聞
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/1961?page=3
 
  
 そもそも大手新聞は消費税増税に賛成なので、あえて指摘しないのだろう。なぜ消費税増税に賛成なのか。それは、昨年11月22日付けの本コラム(丹呉元財務次官の人事、菅・与謝野会談の裏側でくすぶる「増税大連立」もはや「末期症状」の政権は禁じ手に踏み込むのか)で指摘した財務事務次官天下りに大いに関係している。
 
 最近しばしば英国の消費税の話をマスコミ関係者はよくする。実は英国の消費税では新聞は税率ゼロだ。これは欧州でも特殊な存在である。ほかの国はEU指令でゼロ税率を否定しているので、せいぜい軽減税率だ。
 
 なぜマスコミで英国の話が多いかというと、日本で消費税増税しても、新聞は食料品などともに生活必需品ということで、ゼロ税率(悪くても軽減税率)の適用を受けたいからだ。
 
 軽減税率は、依怙贔屓の租税特別措置と同じで利権の固まりになる。消費税増税騒ぎの裏側で、こうした利権獲得がはじまっていると考えた方がいい。こうした利権の裏には、必ずといってよいほど天下りがある。前財務事務次官の大手新聞への天下りはその兆候ではないか。
 
 また、新聞業界では消費税増税の中で軽減税率を勝ち取るかために、欧州に調査団を送っていてるという噂もある。軽減税率になると、相対価格において有利になるので、個別企業としては当然の選択ともいえる。
 
 もっとも、新聞業界の特殊性はこの際知っておいた方がいい。まず、再販制度という独禁法適用除外のカルテルによってデフレ下でも価格下落が免れている業種だ(図参照)。こうした再販制度は先進国でまずない。欧州並みに軽減税率を主張するのであれば、再販制度の価格カルテルはやめるべきだろう。
  
 さらに、新聞の新規参入については、「日刊新聞紙の発行を目的とする株式会社の株式の譲渡の制限等に関する法律」という商法の特例が障壁となっており、これで新聞社の株式を取得することはできず事実上新規参入はできない。こうした規制もあまり世界にはない。このように新聞業界は競争政策から見ると既得権の保護業種である。競争政策の教えによれば、こうした非競争的な規制業種は長期的には競争力がなくなり衰退していく。私はかつて公正取引委員会に勤務していたことがあるので、そうした事例を数多く見てきた。
 
 いずれにしても、財務省は、こうした業界特性や個別企業の戦略までも知った上で、マスコミを使って消費税増税ムードさえ高まれば、後は軽減税率に群がって増税反対はなくなると思っている。
 
 はたしてそうだろうか。かつては新聞を中心とするメディアがほぼ情報独占し、霞ヶ関記者クラブを通じた情報操作が機能していた。ところが、ネット経由の情報の役割が徐々に大きくなってきた。今回のコラムの従来のメディアでは取り上げられないだろう。しかし、今ではこうしてネットの上で書ける時代になっている。
 
 菅政権の消費税増税路線が功を奏するかどうかは、国民生活に直結する大問題であるが、メディア論から見ても、既存メディアとネットメディアの攻防とみることもできる。
(略)