容量無限のハードディスク?

容量無限のハードディスクへ道 九工大など新現象発見
2011/7/3(日経)
  
九州工業大学の岸根順一郎准教授は、ハードディスクドライブ(HDD)など磁気記録媒体の情報量を無限大に増やせる可能性がある新しい物理現象を発見した。現在の記録媒体は「1」「0」という2種類の信号(ビット)で情報を蓄えるが、複数種類の信号で記録できるようになる。早期の実用化を目指す。
 
 ロシアのウラル州立大学との共同成果。米国物理学会の専門誌フィジカル・レビュー・レターズ(電子版)に掲載した。
 
 発見したのは、電子の回転でできる微小な磁石(スピン)が変化する現象。外部から磁力を与えると電気抵抗が無限大になる。多重の信号で記憶でき、「無限ビット」の記録媒体が実現できる可能性がある。


准教授
岸根順一郎
きしね じゅんいちろう
工学研究院 基礎科学研究系
 
1967 生まれ
1993 大学院理学系研究科修士課程(物理学専攻)修了
1996 東京大学大学院大学院理学系研究科博士課程(物理学専攻)修了(理学)博士
 
学生時代より、高温超伝導、分子性導体、カイラル磁性体と、新奇性のある物質の魅力(特に変幻自在な電子の振る舞い)に取りつかれて、研究をしてきました。
現在、進めている「スピン位相のマクロ制御」という着眼は、これらの積み重ねから、自然に湧き出してきたものです。基礎研究なので、すぐ実用に直結するとは思いませんが、中長期的には、新たなスピントロニクスバイスの物質開発への指導原理を構築することを目指しています。
専門は理論物理学。物理学というと、人間世界から隔離した冷たい世界と勘違いしている人が多いと思いますが、「人間が自然とどう対話し、渡り合うか」というのが結局のテーマなのです。
本職の他には、北九州シティオペラ合唱団(バスパート)に所属しています。目下、2012年に予定されている「アイーダ」 全幕講演を目指して特訓中です。