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2018-04-11

瘤久保慎司『錆喰いビスコ』

錆喰いビスコ (電撃文庫)

錆喰いビスコ (電撃文庫)


最初にいっておくと、これは年間ベスト級のSFである。

日本SF年間ベストに入れてもいいくらい。

あなたがライトノベルSFのマニアだというのなら、この本を手に取るべきである。

あなたが海外SFのマニアだというのなら、この本を手に取るべきである。

それくらい推せる。

『錆喰いビスコ』は電撃大賞銀賞を受賞した作者によるデビュー作。

テツジンと呼ばれる兵器の暴走によって汚染され荒廃してしまった日本を舞台に、キノコを生やす能力を持った少年ビスコと天才的な医術の腕前を持った少年ミロのBL冒険譚

例えるならば地球の長い午後」と「アド・バード」と「風の谷のナウシカ」に、「うしおととら」と「バーフバリ」を混ぜて、とどめにBLをぶち込んだSF

……いや、本当にBLとしか言いようがないんですよ。

だって互いのためなら身体を犠牲にしてもいいと考える2人の関係性はどう考えても愛し合っているし、そもそも作者自身テーマは「愛」だと言っているし。

まあ、だからといってお耽美な感じはあまりなく、濃厚なブロマンス小説というような感じだ。

神になってしまった少年と、いずれ神になる少年と、神になれなかった男のあまりに巨大な感情が錯誤するあたりは本当にすごい。

これマジですごいBL読んでるのでは……?と読書中思うことがしばしばでしたもの。

ここまでで面喰ってしまう方もたくさんいる、かもしれません。

そんなブロマンス……BL要素抜きにしても魅力がありすぎるほどありすぎるのがこの小説のすごいポイント。

ページをめくると、その奇想天外な世界観にまず圧倒されるだろう。

端的にいってしまえば『北斗の拳』『マッドマックス』『けものフレンズ』のようなポストアポカリプスものなのだが、その内容は上記3つとは違いすぎる。

巨大バイオロボ・テツジンによって汚染された日本。

大きく育って建築物を破壊するキノコから、地蔵になるキノコまで多数揃った怪しげなキノコ

機械と融合したバイオ生物の生々しく汁気たっぷりな描写

それゆえに導入部はちょっと読みづらいかもしれないが、作者のめくるめく奇想に引き込まれたが最後、この世界に病みつきになってしまう。

終盤まで嫌というほど強烈な生物や都市が登場するため、ダレることなく次々とビビらされてしまうのもいい。

この世界観は、『アド・バード』や原作版風の谷のナウシカ』およびその源流にあたる『地球の長い午後』の影響が強い。

特に『地球の長い午後』へのオマージュは全編に色濃く出ていてSFマニアをニヤリとさせてくれる。

そんな強烈な世界を舞台に紡がれる、神話級スケールの壮大な物語がいいんですよ。

神話級、というのは全然比喩でも冗談でもなく、マジで神話

ページが焼けこげそうなほどの凄まじい熱量をもった文章とストーリーにひれ伏してしまいそうになる。

時にやりすぎなまでに過大に誇張された文章表現は独特ではありますが、この作品の味となっており、物語世界を彩る決定的ピースになっている。

バトルシーンもキノコが生えるわデカい化け物は出てくるわ街が平然と壊れるわとド迫力かつ激熱であり、しかも本当にテンポ良く進むために心地よいスピード感を味わえる。

特にラスボス戦では、ベタな演出であれどあまりの熱量に泣けてしまった。

これはもう、読む「バーフバリ」といって過言ではない!(バーフバリも主人公がヤバい弓使いですね)

公式で「癖が強い」と言われるほどなので人を選ぶことは確かだが、それでも一読していただきたい!と自信をもって言える作品。

錆喰いビスコ/瘤久保慎司(電撃文庫) - カクヨム

今ならカクヨムで本文が読めるので、是非ともチャレンジしていただきたい。

2018-03-31

youtuber「レイターズ」、ラノベ化される

NEWS | 遅国?LATERS family official fanclub?

レイターズ公式HPより、人気youtuber「レイターズ」原案のラノベ『遅刻魔クロニクル』が発売されることが決定しました。

作者は片瀬チヲル、イラストは春園ショウで角川書店より5月刊行予定です。

公式HPでは美化されたメンバーのイラストを確認できます。

ボーカロイドフリーゲームなどのノベライズは多かったですが、実在のyoutuberのラノベ化は初めてでしょうか。

ちなみにレイターズは「3月31日までに登録者数100万人いかなければ解散する」と言っていましたが本作の刊行は5月。

解散しないやんけ!!!

2018-03-30

カテゴリーエラーだと言われた『青春失格男と、ビタースイートキャット。』5月刊行決定!!

富士見書房

富士見書房の公式HPが更新され、5月の刊行予定が発表されました。

ファンタジア大賞審査員特別賞を受賞した『青春失格男と、ビタースイートキャット。』も刊行されます。

この作品は「カテゴリーエラー」と言われつつも賞を受賞した作品で、マニアの間で注目を集めています。

以下受賞コメント

カテゴリエラーだと言われましたが、審査員特別賞をいただきました。光栄です。変態賞だと思っています。やったぜ。読んで暗い気持ちになったという感想も多かったそうです。ですがぼくは、幸福なお話だと信じて書きました。そうしたらひとりの審査員の方から「キラキラ輝いて見えた」との感想をいただきました。届くかたには届くのだと思いました。これからも、キラキラ輝く変態でいたいです。審査員の皆様方、本当にありがとうございました。

2018-03-27

『オフィスハック』のイラストレーターはオノ・ナツメ!!

幻冬舎のキャラノベ『オフィスハック』のイラストレーターが発表され、オノ・ナツメであることが明らかになりました。

忍殺ほんやくチームとオノ・ナツメという異色すぎるコラボが実現します。

ライト文芸コーナーに置かれるか一般文芸コーナーに置かれるか迷いそう……。

2018-03-20

新人賞で強烈な物議を醸したラノベ『→ぱすてるぴんく。』がついに刊行

講談社ラノベ文庫編集部ブログ

講談社ラノベ文庫5月の刊行予定が公開され、悠寐ナギ『→ぱすてるぴんく。』が刊行されることが明らかになりました。

『→ぱすてるぴんく。』は新人賞受賞作ですが、その選評から凄まじく強烈な作品ではないかと一部で話題になりました。

選評抜粋


『→ぱすてるぴんく。』は……何というか、『インターネットが生まれた時から当たり前にある世代の恋愛』を描く、という作品コンセプトの様だ。その部分は挑戦的で着眼点も良いと評価したい。

 ただその最も特徴的な部分(恋愛ものの最も美味しい、出会ってから親密度を増していく部分)をすっ飛ばして、妙に重いというか、『リア充』だの『ネットを徘徊する悪意』だのに対する主人公の恐怖、嫌悪感や敵意を殊更に強調しているので、バランスが悪い印象がある。恋愛ものなのにルサンチマンの垂れ流しに終始しているというか。

 同時に主人公とヒロインが微妙に気持ち悪いというか、感情移入出来ないキャラ造形になっていて、悪い意味での『中二病』そのものに見えてしまう。

 前述の通りコンセプトは悪くないし、起承転結、紆余曲折、の物語構造という意味では非常にオーソドックスな造りの作品なのだが、多分に読み手を選ぶキャラ造形、配置になっているところが、勿体ない印象だった。

『→ぱすてるぴんく。』

 文章力があり、高校生のリアルな感情、生活が綴られていて、とても読みごたえはあったと思います。

 ただラノベ的なデフォルメが少ないので、生々し過ぎる感じもあり、読み進めるのが辛い部分もありました。もっとヒロインに描写を割き、楽しいと思えるシーンも意識的に描いて欲しかったです。

 もちろん「苦しい」部分もこの物語の魅力ではあるので、それを抑えるということではなく、より上手い見せ方を考えて欲しいと感じています。

 そうして本当に伝えたいことを読者に届けられるようになれば、今後はラノベの枠に拘らず、広い分野を見据えて活躍していけるのではないでしょうか。

マニアックなラノベが好みの方は、『自殺するには向かない季節』『ラン・オーバー』など癖の強い作品を輩出してきた講談社ラノベ文庫新人賞に期待しましょう。

『レディープレイヤー1』の作者の最新ラノベ本日発売!

ハヤカワ文庫より、スピルバーグ映画『レディープレイヤー1』の作者であるアーネスト・クラインの海外ラノベアルマダ』が発売されました。

翻訳SFだからといって尻込みしそうになりますが、アーネスト・クライン作品はとてもオタク臭いのが特徴の海外ラノベなので、ラノベ読者にもお勧めできるSF作家です。

あらすじは以下の通り


幼い頃に父を亡くして、田舎町の中古ゲーム店でバイトをしながら母と暮らす高校生のザック。彼は異星艦隊と戦うオンラインゲームアルマダ》で世界6位の実力を持つゲーマーでもあった。そんなザックの日常は、あるとき校庭に降り立った1隻の宇宙船によって終わりを告げる。実は人類は現在滅亡の危機にあり、《アルマダ》のプレイヤーこそが地球の命運を握るのだという――現代最注目のギーク作家による渾身のSF長篇


アルマダ』は『ゲームウォーズ』に続く2作目の邦訳となりますが、今回もラノベっぽいイラストがついているしハヤカワはラノベレーベル!!!