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2017-04-23

アメコミ版ゴジラ「ゴジラ ルーラーズ・オブ・アース」が面白かった

ジェットジャガーメカゴジラに搭乗する」展開で話題となったアメコミゴジラ邦訳がついに出ました。

原書出版時から気になっていたタイトルであれど、kindle版も出ていなかったので買うことが出来ず、都心部アメコミショップにもなくて紋々としていたところだったので、ダッシュで買ってきて読みました。

まずは一言。

面白いです!!!

このタイトルをズバリ表現するなら、「超豪華版ファイナルウォーズ」。

地球侵略をたくらむエイリアンが操る敵怪獣、それに立ち向かうゴジラモスラ達、対怪獣災害部隊の活躍などまさに昭和怪獣映画の王道を貫くような作品です。

本当に怪獣バトルの表現がかっちょいいんですよ。どの怪獣も喋らないながらも表情豊かに、そしてド派手に街を壊してぶん殴り合う。それが大きな判型で、フルカラーで繰り広げられる。

アメコミはちょっと……」と思っていても、この大迫力怪獣プロレスだけで十分におつりがくるレベル。

スマホの小さな画面ではこの凄みは表現できないので、ぜひとも実物を手に取って体感してみてください。

「超豪華版ファイナルウォーズ」という名の通り、怪獣もたくさん。たくさんどころか、矢継ぎ早にガンガン怪獣が投入されていく、まさにスーパー怪獣大戦。

ゴジラモスラといったシリーズおなじみの怪獣から、ゲソラガイラジラなどの「まさかこいつが!?」と驚くこと必至の怪獣まで百花繚乱に登場してきます。

ビジュアルも映画そっくりそのままなデザインであり、読んでいて意外なほど馴染む絵柄になっております。

ゴジラのビジュアルはミレゴジ準拠であり平成怪獣も登場するものの、テイストは昭和ゴジラに非常に近く、いろいろなところでオマージュが見られます。

そもそも「地球に襲い来る怪獣をゴジラが迎え撃つ」というストーリーも「怪獣総進撃」や「三大怪獣」をなぞっていますしね。

メインとなるデストロイア戦では、怪獣総進撃の富士山麓集合シーンに匹敵する超熱い展開もあったりして、もう本当に最高!

心の幼稚園児がドッタンバッタン大騒ぎすること間違いなしですぞ。

2017-03-28

諏訪錦『線引屋』


ぼく、間久辺比佐志はある日、新作の深夜アニメに触発されて、その舞台そっくりな近所のガード下へと足を運んでみた。いわゆる聖地巡礼だね。そこでアニメに出てくる魔法陣をスプレーで描いていたら、不良に絡まれちゃいました。とにかく逃げろ、と駆け込んだ公園で、自称・正義の味方に助けてもらったんだけど、翌日のウェブ記事によると、落書きをした人が不良チームを潰したことになってるらしい。…それってぼくのことじゃないか?そういえば学校で、ぼくの天使こと加須浦さんがギャルの石神さんと、そんな話をしてたような。「正体不明のライター、悪を討つ」だっけか。なんだか照れちゃうな…って、そんなこと言ってる場合じゃない気がするんだけど。案の定不良に捕まり、彼らのためにグラフィティを描くハメになったぼく。いったいこの先どうなるんだ!?とりあえず―アニメ見てていいですか?

アルファポリスから発売されたヤンキーもののネット小説です。

アルファポリスといえば、異世界転生ものやMMORPGものなどなろう系の王道をバンバン出している出版社で、エンターブレインあたりから出てきそうなこういう変わり種を出してきたことには驚きました。

ネット小説といっても、ファンタジー要素やチート要素があるわけではなく、本当にヤンキー漫画的な世界観で繰り広げられる物語です。

気弱なオタクがヤンキー同士の抗争に巻き込まれていく中で、グラフィティの才能を開花させていき、いつしか仲間達を守るために覆面のヒーローとして自らも抗争に飛び込んでいくというお話。

メインはヤンキーバトルなのですが、主人公が自らの正体を隠しながら戦い続け、やがてダークヒーローのような立ち位置になっていくのは「ナイトヒーローNAOTO」や「デアデビル」のようでもあります。

ネット小説とはいえ、まともなヤンキー経験値をハイローとガチバンユニバースくらいしか経験していないので大丈夫かな……と思っていましたが、想像以上に面白かったです。

気弱なオタクとストリートを騒がせる覆面グラフィティアーティストの二重生活はアメコミヒーローのようでもあり。

考え方も住む世界も対照的でギクシャクしていたオタクとヤンキーが、いろいろな災難を乗り越えてバディとなっていく展開も面白かったです。

特に終盤の、間久辺がアーティストとして抗争に身を投じることを決意するシーンはとても熱かった。

勢力争いという舞台設定はあれど、あまりハイローみはない話なのですが。

ただ、最強ヤンキーとしてアカサビというキャラが登場するのですが、この第3勢力的なポジションや「圧倒的に強くてヤバい」という描写がハイローの雨宮兄弟でいいですね。

あと、イラストレーターはハイローファンアートでもおなじみの巖本英利氏が担当しており、主人公のイラストが村山みを感じるのでやはりハイローのオタクは買って損はないかと思います。

2017-03-18

ライト文芸雑語りへのリファレンス

最近、ライト文芸/キャラクター文芸/キャラノベへの間違った理解が目立ちます。

ライトノベルへの偏見を批判する者であっても、ライト文芸に関しては「あやかしカフェのほっこり事件簿しかない」「多様性がない」と認識してしまっていることも多く、大変つらいです。

ということで、そういった偏見をなくそうと思って、よく見るライト文芸への偏見とその反例としての作品を挙げました。

先回りしておきますが、ハヤカワ文庫JAとノベルゼロはキャラノベです。

ライト文芸には性描写がない

君の膵臓をたべたいジャバウォック 真田邪忍帖 (Novel 0)咎人の星

ライト文芸には村ものミステリがない

ぐるりよざ殺人事件  セーラー服と黙示録 (角川文庫)露壜村事件    生き神少女とザンサツの夜 (角川文庫)臨床真実士ユイカの論理 文渡家の一族 (講談社タイガ)

ライト文芸には百合がない

ノノノ・ワールドエンド (ハヤカワ文庫JA)裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA)少女妄想中。 (メディアワークス文庫)

ライト文芸には女騎士がいない

皿の上の聖騎士〈パラディン〉1 ― A Tale of Armour ―<皿の上の聖騎士〈パラディン〉> (NOVEL 0)

ライト文芸にはバラバラ殺人がない

魔獣調教師ツカイ・J・マクラウドの事件録 獣の王はかく語りき (Novel 0)きみの分解パラドックス (富士見L文庫)

ライト文芸には中世ファンタジーがない

魔導の系譜 (創元推理文庫)砂上の剣―イーハの少年剣士 (メディアワークス文庫)

ライト文芸には時代小説がない

桜花忍法帖 バジリスク新章 (上) (講談社タイガ)鬼狩りの梓馬 (角川ホラー文庫)

ライト文芸にはロボットものがない

ティターンズの旗のもとに〈上〉 ADVANCE OF Z (角川文庫)

ライト文芸にはSFがない

螺旋時空のラビリンス (集英社オレンジ文庫)バビロン 2 ―死― (講談社タイガ)

ライト文芸アニメのような表紙ばかりだ

ヒーローズ(株)!!! (メディアワークス文庫)書店男子と猫店主の平穏なる余暇 (集英社オレンジ文庫)

ライト文芸には挿絵がない

魔界探偵冥王星O―ペインのP (メディアワークス文庫)裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA)天久鷹央の推理カルテ(新潮文庫)

以上です。

ライト文芸は決して女性向けの妖怪日常の謎学園恋愛ミステリしかないわけではありません。

これをきっかけに、ライト文芸の奥深さを味わっていただければ幸いです。

2017-03-02

宮澤伊織『裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル』

『ウは宇宙ヤバいのウ』でSFマニアからの注目を集めた宮澤伊織の最新ラノベ百合SFです。早川は定期的に百合ラノベを出さなければならない呪いにかかっているのか。

こういうことを言うと必ずといっていいほど「これはラノベではない」と反論されそうですが、なんとこの本には挿絵があるので、これを見せれば「ラノベだ」と思ってもらえることでしょう。

内容ですが、くねくねや八尺様、きさらぎ駅などの都市伝説をモチーフに、怪異が跋扈する「裏世界」に足を踏み入れた2人の女子大生百合!が描かれます。

一応SFということで、怪異にSF的解釈が加わっているのが特徴。しかしホラー要素も結構強く、グロテスクな描写も若干あります。ハヤカワ文庫よりも角川ホラー文庫から出そう。

とはいってもそこまで緊迫した内容ではなく、闇の百合でもなく、日常から一歩足を踏み外した二人の少女の友情と青春を描くある種のほほんとした作風ですのでガチガチのホラーがダメでも安心してください。

解説にもある通り、ここで登場する怪異には元ネタがあるので、それらを知っているとニヤリとできる部分があります。そこまでネタバレになっていないと思うので、先に解説に挙がっている怪談を読んでおくとより楽しいでしょう。

サブタイトルでなんとなく勘づくかもしれませんが、本作における怪異の解釈や異世界の設定などは「コワすぎ!」「カルト」などの白石作品に近いものがあります。特に怪異の解釈および百合要素から「貞子vs伽椰子」を彷彿とさせます。

なので、この百合ラノベが気に入ったらさだかやを観ると(二つの意味で)オススメです。

2017-02-07

古野まほろ『おんみょう紅茶屋らぷさん 〜式神のいるお店で、おかわりをどうぞ〜』

メディアワークス文庫より刊行されている、キャラノベ作家古野まほろのキャラノベシリーズ第二巻。

古野まほろのもう一つのキャラノベシリーズであるユイカシリーズもこれと同月に2巻が出ており、内容もユイカシリーズとのクロスオーバーが密接にあるものとなっております。

そういえば1巻も「講談社との和解」という歴史的ファクターとなったユイカ1と同月刊行でしたが、これは偶然ではなく、らぷさんとユイカで表と裏を成す作品となっている仕掛けの一つでしょう。

「人の嘘を判別できる」という特殊能力はあれど、「犯人当て」「殺人事件」「読者への挑戦状」など探偵小説の王道をいくユイカとは対照的に、らぷさんは殺人事件や犯人当てはなく、店に来る客の悩みを解決して能力バトルを繰り広げる「あやかしカフェのほっこり事件簿」という色が強いです。

しかし、その中においても悩みの解決は十分にミステリ的な手法をとっており、天帝シリーズでも見せた紅茶雑学やオタネタもあいまって非常に楽しめる作品となっています。

1巻はだいぶキャラノベ的で古野まほろ初心者に向けたようなつくりでしたが、2巻では物語で暗躍する悪の陰陽師との対決やユイカ・正朝姉弟の陰惨な過去などが語られ、だいぶきな臭くなってきました。特にシリアス回である3話はユイカシリーズの根幹を成す設定が語られています。

そのため、初心者よりは古野まほろ作品を読んでいるファン向けの内容といえなくもありません。

同じく陰陽道が登場する天帝バースとはまた別のバースの話ですが、ユイカシリーズが刊行されている講談社の中断シリーズである探偵小説シリーズと「陰陽師」が共通していること、また本作の陰陽師は「次元を移動する力を有する」ことを踏まえれば、天帝バースとのクロスオーバーも、ありえなくは……ないかも。

「あの古野まほろがあやかしカフェのほっこり事件簿を!?」と驚いたものですが、実際は講談社と和解した古野まほろの新境地ともいうべき試みが堪能できる作品となりました。