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2017-06-11

海老名龍人『自殺するには向かない季節』


講談社ラノベ文庫がキャラノベに参入するというニュースが発表されましたが、それに先駆けて刊行されたのがこの『自殺するには向かない季節』です。

無気力な少年がタイムリープできる薬を手にいれて、死にたがっている少女の自殺を手助けするうちに情が沸いてくるという、一見「君の名は。」のような内容です。

実際、他のラノベレーベルからも君の名はフォロワーとおぼしき作品がちらほら出ているのを見るに、これもまた意識したところは・・・あるんじゃないんでしょうか。

ところが、それに騙されてはいけない。

生死を取り扱っているから当然といえば当然なのですが、あらすじとは裏腹に内容はかなりダウナーで、援助交際している姉やら家庭間の不和やらいじめやらがどんよりじっとりと描かれていきます。

そして、ループものということでなんとなくオチが読めてきたかな、というところで訪れる衝撃の展開。

これがラノベかどうかは判断にまかせますが、ラノベであることを抜きにしてもかなり尖った作品です。

こんなエッジの効いた作品が甲羅から出るとは思っていなかった。

また1人、注目の新人が現れました。

2017-05-24

ラノベとキャラノベの断絶

ライトノベルレーベルから出るライトノベルに対し、「ラノベっぽくない」という感想が散見される作品群があります。


書店側でも、あえてラノベを文芸コーナーに置くところも存在しております。

現在『君の名は。』『君の膵臓を食べたい』のヒットにより青春恋愛もののブームが巻き起こっており、そういったものはラノベでもキャラノベでも出ています。

が、そういうものを書くラノベ作家がキャラノベに移動したりこうした作品がキャラノベリバイバルされるということは少ないです。

ラノベとキャラノベは繋がっているように見えて、実は断絶しているのではないでしょうか?

まず理由として考えられるのが、(少女小説を含まない)ライトノベル→男性向けでキャラノベ→女性向けというイメージが付いてしまったということです。

ライトノベル作家の越境の流れを汲んでいたキャラノベは「一般文芸のラノベ色の強い作家(似鳥鶏青柳碧人など)」「キャラノベレーベルデビューの作家(野崎まど綾崎隼など)」「ネット小説発の作家(太田紫織住野よるなど)」が参入し、ライトノベル一般文芸を繋ぐものからそれ一つのジャンルに独立しました。

そして、ラノベから独立したキャラノベが発掘した読者層は、コージーミステリを好む女性層でした。

そのせいでメディアワークス文庫などが当初構想していた「ライトノベル一般文芸」「一般文芸→ライトノベル」という導線は上手く機能せず、一般文芸側の作家の流入やキャラノベネイティブの作家によってキャラノベライトノベルの客層が分離してしまった。

そのために男性向けキャラノベ・女性向けライトノベルが少なく、そういった作品は「マニア向け」にならざるを得ない状況になっています。

青春恋愛ものは確かに「君の名は。」を機にしてキャラノベラノベで同時に流行ったが、ファミ通恋愛枠など先にライトノベルにそういう流れがあったため、いかに作風が一般文芸的だと評されようともラノベ内だけで消費されているのではないでしょうか。

ただし、ファミ通恋愛枠から独立したキャラノベレーベル?のファミ通文庫ネクストや、チャレンジングな作品を多く出す講談社タイガオレンジ文庫など「壁」を越境しようとする動きは今後活発になっていくことも予想されます。

2017-05-21

大人のためのエンタメ小説

ラノベコンテストで「異世界転生NG」の縛り広がる ネット民「これは朗報」と歓迎 | ニコニコニュース

ノベルゼロの異世界転生禁止法がメラメラと燃えていますが、案の定キャラノベ雑語りが見られたのでキャラノベ天狗が出撃します。

まず、ノベルゼロとはどういうレーベルなのか。

判型は文庫判で、表紙は単色1色のみ。ただし、巨大帯にイラストがあり、カラー口絵が付属しています。

作家陣はMF文庫で活躍していた作家に加え、ハヤカワで活躍するラノベSF作家も参加しています。

書店では講談社タイガとか新潮文庫nexの横に置かれることが多く、ラノベというよりキャラノベ扱いされています。

ただ、作風的にはキャラノベレーベルよりハヤカワJAやガガガ文庫講談社ノベルスに近いものがあります。

大人向けなので、グロや濡れ場もあります。

レーベルコンセプトは以下の通り。

レーベルコンセプトは、「大人の生き様」です。

強大な敵に対し強く在りたい。逆境を打開したい。

社会に抗い、誰にも恥じない生き様を見せたい――。

大人の男であれば誰もが求める「逆転感」を持つ痛快な物語を描き、提供する。

「格好いい大人の生き様」をレーベルの唯一のテーマ・矜持とします。

創刊当初から「大人の生き様」をテーマとしているので、大人のためのエンタメ小説をカクヨムで募集するのは間違ってはいません。

現在「大人向けラノベ」には3つの方向性があると考えております。

ライトファンタジー(いわゆるなろう系のストレスなく軽く読める本。カドカワBOOKSやMFブックスなど)

女性向けライトミステリ(そこまで難しくなく読めるミステリ。MW文庫やL文庫など)

マニア向けジャンル小説クオリティ独自性にこだわった作品群。タイガやノベルゼロ、ハヤカワJAなど)

ノベルゼロが求めているのは一番下であり、そうした者を好む読者にとって上2つは邪魔に感じるのでしょう。

「大人向けラノベ」という定義が定まらない中で、そうした作品を弾くために異世界転生を禁止し「成人男性」を推奨するというルールを設定したのではないでしょうか。

で、ここからは私の考えなのですが、別に異世界転生であっても高校生主人公であっても「大人のためのエンタメ小説」は作れると思います。

異世界転生であることや高校生主人公であることが作品のクオリティ相関関係があるかと言われれば首を捻らざるを得ないですし、そもそも異世界転生はストレス社会で生きる大人がよく買っているジャンルなのですよ。

だから異世界転生であってもいくらでも話も人物も作りこめるし大人も読めるから、「大人のためのエンタメ小説」という枠組みから異世界転生を外すのは創作の豊かさを狭めてしまう行為だと思います。

あと、「異世界転生以外であれば何でもOK」とのことなので、魔法と魔物とダンジョンなどが存在する並行世界の中世ヨーロッパに転生した主人公が幼女になって無双する話はレギュレーション違反ではないと思います。(中世ヨーロッパは異世界ではないし、中世ヨーロッパ社会には子供という概念がなく「小さな大人」として見做されていたため)












異世界転生小説です:幻想再帰のアリュージョニスト

2017-05-02

最近のスニーカー文庫の異変

角川スニーカー文庫といえば、歴史あるライトノベルレーベルとして、長年多くの読者に親しまれてきたレーベルです。

そのスニーカー文庫に、最近とある異変が起きていることをご存じでしょうか?

それは、マニアックな作品が多く出ているということです。

この傾向はマニア人気が高くアニメ化に伴いラノベ殴り棒としても使われてしまった『終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?』、これまたマニア受けの良いリアル系恋愛小説の『されど僕らの幕は上がる。』、デビュー作がミステリ読者から注目されていた作者によるラノベミステリ愚者のジャンクション』などが刊行された2015年からぽつぽつと出始め、

清野静が長年の沈黙を破り刊行した青春SF『さよなら、サイキック』、電撃文庫の『ミミズクと夜の王』『雨の日のアイリス』のような感動系ファンタジーの『いつかの空、君との魔法』、ガガガ文庫で人気を博した作者の『サークルクラッシャーのあの娘、ぼくが既読スルー決めたらどんな顔するだろう』など2016年からは本格化。

今年に入ってからは、京大ミス研出身作家のコンゲームミステリうさぎ強盗には死んでもらう』、本物川先生の新青春エンタ『おにぎりスタッバー』、新人賞受賞作のダークファンタジー『まるで人だな、ルーシー』、カクヨムから書籍化された下ネタ連想ギャグ時代小説イックーさん』、同じくカクヨム発の百合バイク小説『スーパーカブ』など、本の王国浜松西店のラノベ担当・古山さんが絶賛するようなライトノベルとしてはかなり異色な作品が連発されています。

ガガガ文庫よりガガガ文庫している」とまでいわれています。

何故こんなことになっているのか。

これを調べるべくインターネットに飛んだ調査班は、驚愕の事実を発見する――

・『君の名は。』と『サクラダリセット』で手に入れた幅広い読者層

2016年スニーカー文庫で特筆すべきことといえば、君の名は。ノベライズの大ヒットでしょう。

これまでもスニーカー文庫はファミリー向け劇場アニメノベライズを出していましたが、それはあくまで角川文庫版と同じ内容の、映画をなぞったものでした。

しかし、『君の名は。』の場合は違いました。

本作は映画の登場人物にスポットライトを集めたオリジナルストーリーであり、映画鑑賞者も買ってより楽しめる内容でした。

このこともあり、一時期入手困難になるほどの人気を博しました。

また、2017年には『サクラダリセット』の映画化・アニメ化が展開されました。

これはスニーカー文庫から出たものを角川文庫に移したものですが、従来のキャラノベアニメとは違って、削除されがちだったラノベ版の要素を取り入れているという特徴があり、スニーカー版も絶版にはなっていません。

この2作でライトノベルをあまり読まない層を手に入れたことが、スニーカー文庫で『スーパーカブ』や『さよなら、サイキック』などの一般文芸色の強い作品を出す余地になったのではないでしょうか。

カクヨムとの連携

角川がはてなと共同で立ち上げた小説投稿サイトがカクヨムです。

カクヨムに投稿された作品は、むろん角川系列から書籍化されます。

ほぼ書籍化専用レーベルであるカドカワBOOKSも創設され、カドカワ系列のラノベレーベルが一つ増加しました。

スニーカー文庫もまた、カクヨムから書籍化を頻繁に行っています。

同じ角川書店ラノベレーベルということで、スニーカー文庫カドカワBOOKSは住み分けをせざるを得なくなりました。

カドカワBOOKSで書籍化される作品のほとんどは、いわゆる王道の「なろう系」が多いです。

このことがあって、スニーカー文庫から出るカクヨム作品は『おにぎりスタッバー』『イックーさん』『スーパーカブ』などマニアックなものが多くなっていると考えられます。

しかしなぜ、スニーカー文庫はこんなにもマニアな作品を拾い上げられるようになったのでしょうか?

それは、次に説明する要因が大きく関係しています。

ガガガ文庫の編集者が加入した

2014年の秋から2017年まで、ガガガ文庫で長年活躍してきた編集者の具志堅(G)氏(江波光則などを担当)がカドカワスニーカー編集部に移籍し、『終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?』『サークルクラッシャーのあの娘、ぼくが既読スルー決めたらどんな顔するだろう』などを担当している模様です。

マニアックな作品の増加は、ガガガ文庫でとがった作品を多くプロデュースしてきた具志堅氏によるところが大きいのかもしれません。

実際、カクヨム系列のマニアック作品は具志堅氏の発掘によるところが大きいようです。

2017-04-23

アメコミ版ゴジラ「ゴジラ ルーラーズ・オブ・アース」が面白かった

ジェットジャガーメカゴジラに搭乗する」展開で話題となったアメコミゴジラ邦訳がついに出ました。

原書出版時から気になっていたタイトルであれど、kindle版も出ていなかったので買うことが出来ず、都心部アメコミショップにもなくて紋々としていたところだったので、ダッシュで買ってきて読みました。

まずは一言。

面白いです!!!

このタイトルをズバリ表現するなら、「超豪華版ファイナルウォーズ」。

地球侵略をたくらむエイリアンが操る敵怪獣、それに立ち向かうゴジラモスラ達、対怪獣災害部隊の活躍などまさに昭和怪獣映画の王道を貫くような作品です。

本当に怪獣バトルの表現がかっちょいいんですよ。どの怪獣も喋らないながらも表情豊かに、そしてド派手に街を壊してぶん殴り合う。それが大きな判型で、フルカラーで繰り広げられる。

アメコミはちょっと……」と思っていても、この大迫力怪獣プロレスだけで十分におつりがくるレベル。

スマホの小さな画面ではこの凄みは表現できないので、ぜひとも実物を手に取って体感してみてください。

「超豪華版ファイナルウォーズ」という名の通り、怪獣もたくさん。たくさんどころか、矢継ぎ早にガンガン怪獣が投入されていく、まさにスーパー怪獣大戦。

ゴジラモスラといったシリーズおなじみの怪獣から、ゲソラガイラジラなどの「まさかこいつが!?」と驚くこと必至の怪獣まで百花繚乱に登場してきます。

ビジュアルも映画そっくりそのままなデザインであり、読んでいて意外なほど馴染む絵柄になっております。

ゴジラのビジュアルはミレゴジ準拠であり平成怪獣も登場するものの、テイストは昭和ゴジラに非常に近く、いろいろなところでオマージュが見られます。

そもそも「地球に襲い来る怪獣をゴジラが迎え撃つ」というストーリーも「怪獣総進撃」や「三大怪獣」をなぞっていますしね。

メインとなるデストロイア戦では、怪獣総進撃の富士山麓集合シーンに匹敵する超熱い展開もあったりして、もう本当に最高!

心の幼稚園児がドッタンバッタン大騒ぎすること間違いなしですぞ。