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小説☆ワンダーランド このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2011-05-02

桜庭一樹『ばらばら死体の夜』

ばらばら死体の夜

ばらばら死体の夜

 久々のミステリ作品ということで『GOSICK』みたいな明るいものを期待してた人にはごめんね……

 というわけで、どす黒い金融小説です。

 話のスタイルとしては章ごとに語り手を変えた群像劇スタイルを採っており、主役である白井沙漠と吉野解という男女を軸にして物語が進んでいきます。

 最初は金に執着する沙漠と、人間関係に執着する解の恋愛劇といえなくもないのですが、話が進むにつれ2人の間を取り巻く危険な状況が明らかになっていき、真綿で首を絞められていくような嫌らしさが増していきます。

 強いて言うなら、桜庭版『闇金ウシジマくん』でしょうか。出てくる人物はどいつもこいつも見せかけの虚栄を追い求めた挙句、絶望に身を落とすことになり、破滅に向かってひた走っていくことになります。行き着く先には希望なんかなく、ただ空虚が広がっているだけです。それなのに、何故人々は滅んでいくのか? それは読んでからのお楽しみです。

 金によって購われるすべてを信用できず、人間関係に逃げ込んでいく解の姿を見るに、タイトルの『ばらばら死体』にはそのままの意味ではなくて、バブル期とその後の「失われた10年」の死体をばらばら=解体していく、という意味も含まれているのでしょうか。

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