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2009-03-26

ソフトバンクの新採用制度について

| 00:43 | ソフトバンクの新採用制度についてを含むブックマーク

「言論プラットフォーム」アゴラで、ソフトバンクの新採用制度に関する議論が行われてい…たのですが、安冨氏の論的たる米重氏の議論が思わず「これはひどい」と言ってしまうくらいの有様だったので、勉強を休みがてら反論をぺっぺと書いてみました。まずは以下の記事をさらっとお読みください。

ソフトバンクの新採用制度に思う - 米重克洋

ソフトバンク問題の「総括」 - 米重克洋

ソフトバンク問題の「総括」(2) - 米重克洋

ゲームの行為はゲームのルールに言及してはならない〜ソフトバンクの危機---安冨歩

ゲームの行為はゲームのルールに言及してはならない〜ソフトバンクの危機(2)---安冨歩

米重氏は、安冨氏の「ゲーム混同」論を公私の差として認識しています。その上で、「販売合戦」と「就職活動」の両「ゲーム」は『いずれも「公」に分類される』ため混同にはならない、と(インターンの事例を参照しつつ)主張していますが、これは明らかな間違いです。いくつか点を上げます。

公私という問題ではない

まず、ゲームの混同は単純に公私という二つの次元に還元できる物ではありません。そもそも、公と私の弁別を理論的に捉えるのならば、上記のような経済活動は私的であるはずです(勿論、英語におけるPrivate / Publicの差異だけではなく、「公界」に代表されるような日本的な「公」の感覚はまた別に考えなければならないのでしょうけれども、この文脈ではヨーロッパ的な「私的なもの」の概念がより適切でしょう)。米重氏の「公私」という二分法は、問題を単純化しすぎています。問題は、論理的前提や主体の異なる複数のゲームを混同してしまうことであり、(「恋愛」をゲームとして扱うことに個人的な倫理的抵抗はありますが)セクハラのたとえは間違っていないと考えます。

ゲームの混同」の意味

就職活動と営業は、まったく別のゲームです。アクターも違えば、目的も違う。米重氏は

ソフトバンクに対して「就職活動」を行い、結果就職した人間は否が応でも「販売合戦」に参加することになります。時系列的にはそれらは完全につながっており、連なった事柄として捉えるべきことでしょう。

としていますが、これは根本的に安富氏の議論を理解できていない論です。通常、営業(販売合戦)を行うのは社員ですが、今回のケースにおいて営業を行っているのはあくまでも「学生」であり、時系列的には同じ人間であり得るとしても、制度的に(つまり、ゲームルール的に)まったく別の存在です。これを「どうせ将来的には社員になる可能性があるのだから」といって同一視することは、安冨氏の比喩を使わせていただくならば、セクハラにおいて、「性別的には女性なのだから」と言って、「部下」として扱うべき人間を(恋愛/性欲の対象としての)「女」として扱う(やや下卑た表現ですが)ことと、論理的には同一です。

インターンシップとは違う

最後に、米重氏自ら指摘されているように、インターンシップは目的が「体験する」という事にあり、今回のケースとはまったく別の「ゲーム」です。その際、学生は「インターン生」として、まさに仕事をするためにそこにいる訳ですから、まったく問題ありません。また、この場合、インターンに参加するための選考や一定の手続きが存在していますし、ましてや、その手続きの一環として営業をさせられることはありません。従って、ここでも、インターン生と就活生を同一視することはできません。

以上のことから、米重氏の反論は妥当しないと考えます。

「二つの立場」

米重氏のあげた「二つの立場」について付言するならば、この議論においては、米重氏の「学生側の意識の持ちようを問う立場」は、そもそも成立しません。議論は「ソフトバンクが今回採用した就職活動形態の是非」を問うものですが、この立場は最初からこれを是とした上で「学生がどう対応すべきか」を論じています。これは、米重氏が「この立場…は…ソフトバンクの新採用制度を「実践力」を見るに相応しいある種新しい制度の形として捉えてい」ると定義していることからもわかります。このような立場は最初から是非を問うことを受け付けないものであり、実際は議論のテーブルに着いていません。

安冨氏の立場からすれば、学生がすべきことは「この就職活動形態を批判すること」、「出来る限りこのようなモラルに反する募集に応じないこと」です。「就職活動に臨む学生の意識」という一般的な話題は別に論じられるべきものなのではないでしょうか。

そんな感じです。

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