佐藤優『地球を斬る』/町田康『テースト・オブ・苦虫4』/矢作俊彦『神様のピンチヒッター』

曇。
佐藤優『地球を斬る』読了。外交やインテリジェンス(情報、諜報)というものをどう考えるかについて、時事問題に即して啓蒙してくれる本。しかし、一般市民はこういう問題を、どこまで勉強したらよいのだろうか。政治とか外交とかいう問題は、正確に理解することが大変にむずかしい。判断のための揺るぎない基準を打ち立てるのが、容易ではないからだ。全人格的な哲学が要求される。

地球を斬る (角川文庫)

地球を斬る (角川文庫)

町田康『テースト・オブ・苦虫4』読了。相変らず笑える。こんな感じ。
「このあいだはニュース番組を見ていて、ジャスダックというのがなんのことか分からなかった。ダックが家鴨のことであるのは前に飯を食っているときに他人の会話を盗み聞きして覚えた。しかしジャスというのが分からない。なんだろうと沈思黙考してやっと分かった。なんのことはない、ジャスとは日本農林規格のことで、ジャスダックとは日本農林規格の検査に合格した家鴨がジャスダック、それ以外のダックはただのダックなのである。/どうせダックを食べるならやはりジャスダックを食べたいものだ。」
 それにしても、町田康の訳のわからない造語能力はすごい。どこから「半泣き奉行」だとか「虹鱒ルンバ」といった言葉をひねり出してくるのか。これらの造語は、単に無意味だけではないのである。ちゃんと町田色があるのだ。

矢作俊彦『神様のピンチヒッター』読了。いやあ、恰好いいねえ。『マイク・ハマーへ伝言』の続編も含まれているんだ。こっちを先に読むべきだったかな。
神様のピンチヒッター (光文社文庫)

神様のピンチヒッター (光文社文庫)


ペライアの弾くブラームスが素晴しい(参照)。op.118とop.119ばかり聴いている。