ジョセフ&フランシス・ギース『中世ヨーロッパの家族』/川端康成『伊豆の踊子・禽獣』

晴。気温はまだ高いが、爽やかな陽気。
県営プール。久しぶりに泳いだので、腕が筋肉痛だ。

ジョセフ・ギース/フランシス・ギース『中世ヨーロッパの家族』読了。十五世紀イギリスのジェントリーであるという、パストン家の人々の書簡を題材に、当時のジェントリーの生活を描いてみせる本である。ここで引用されている書簡の中の話題は、半分以上が領地や財産についてであって、それらを守りぬくのは大変だったことが、本書から読み取れる。ちょうど百年戦争の終わりからバラ戦争にかけての時代で、パストン家もその中を懸命に切り抜けねばならなかった。現代はそれから五百年後であるが、パストン家の往時を偲ばせる遺物は、城も一族が埋葬された教会もすべて現存しておらず、ただこの書簡集だけが残ったのだった。パストン家自体が、今では途絶えているようである。ちなみにこの書簡集の原本は、いわゆる中英語で書かれていると云う。

中世ヨーロッパの家族 (講談社学術文庫)

中世ヨーロッパの家族 (講談社学術文庫)

川端康成伊豆の踊子・禽獣』読了。初期短篇集。「伊豆の踊子」は川端の代表作のひとつだが、どこがいいのかさっぱりわからなかった。川端は、どこか病的な印象を与える作品の方がおもしろいと思う。本書では、「青い海黒い海」「驢馬に乗る妻」「禽獣」「慰霊歌」などがそう。しかし、「二十歳」のようなリアリズムの作品もなかなか読ませるのはさすがだ。
伊豆の踊子 (角川文庫)

伊豆の踊子 (角川文庫)