稲垣良典『トマス・アクィナス』

晴。
音楽を聴く。■バッハ:組曲イ長調BWV1025(ムジカ・アンティクァ・ケルン、参照)。初めて聴くが、いい曲。■モーツァルト弦楽四重奏曲第十七番K.458(ジュリアードSQ)。

稲垣良典トマス・アクィナス』読了。トマス・アクィナスには以前から興味を持っていたので、本格的な入門書が文庫で入手できるのは嬉しい。文庫版で五〇〇頁を超える浩瀚な書物であり、記述は手堅く信用できそうな印象だった。内容を云々する力は自分にはないので、ひとつ読書中の妄想を記しておきたい。トマスはキリスト教神学を学として確立したとも云えようが、それはイスラム教学者たちによる、神学におけるアリストテレスの導入を引き継いだものだとすることは、初歩的な理解であろう。ただ、実感として、トマスがそうした上にイスラム教に対して反駁しているのを読んだとき、奇妙な感じがした。キリスト教はもちろんイスラム教に先行する宗教であるが、神学の「形而上学化」(と言うのは、もしかすると適切でないかも知れない)は、イスラム教の方がずっと先行しているのである。その意味で、キリスト教イスラム教に対して後塵を拝したとも云えよう。このことは、自分の実感になかった。自分の奇妙な感覚というのは、まあそうしたことである。それが何か意味のあることなのかは、知らないが。自分の無知を示しているだけのことかも知れない。
 それからもうひとつ。かの膨大な規模の『神学大全』は、元々初学者のために書かれたものだということを、付記しておこう。これも意外な感じがした事実である。

トマス・アクィナス (講談社学術文庫)

トマス・アクィナス (講談社学術文庫)

明日からようやくお盆休みだ。しんどかったなあ。

Hosono Box を聴く。YMO の頃が中心の部分。やはりこの頃がいちばん自分にはしっくりくるなあ。八〇年代を擁護するわけではないが、八〇年代の可能性というものはあったのではないか。とにかく可能性はすごかった。YMO は、その最良の成果のひとつだろう。ちなみに自分は、同時代だったのにそれを同時代的には享受していない。ニューアカもそうだった。単に田舎者で、感性がなかっただけのことである。
HOSONO BOX 1969?2000

HOSONO BOX 1969?2000

音楽を聴く。■ブレンデルのピアノとマリナーの指揮で、モーツァルトのピアノ協奏曲第十七番を聴こうとしたのだが、ブレンデルのピアノがスカスカにしか聴こえない。マリナーは佳し。俺の耳はどうしちゃったのだろう。堪え切れずに途中で聴き止める。