アラン『芸術論20講』

晴。
音楽を聴く。■テレマンターフェルムジークII(V.ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ、VI.オーボエ、トランペット及び弦楽合奏通奏低音のための終曲)(ムジカ・アンフィオン、参照)。■モーツァルト:弦楽五重奏曲第五番K.593(ターリヒQ、参照)。■ベートーヴェンピアノ三重奏曲第三番op.1-3(トリオ・ヴァンダラー、参照)。名曲佳演。ベートーヴェンの最初の傑作だろう。この頃ベートーヴェンハイドンの添削を受けていたのだが、ハイドンはこの曲が理解できなかった。まさしく、ここからベートーヴェンが始まる。■シューベルト:ドイツ舞曲D820(内田光子参照)。■ベルリオーズ:テ・デウムop.22(アバド参照)。50分近い大曲。■ハイドン:チェロ協奏曲第二番Hob.VIIb/2(ロストロポーヴィチ参照)。

アラン『芸術論20講』読了。いまひとつピンとこない芸術論。

芸術論20講 (古典新訳文庫)

芸術論20講 (古典新訳文庫)

ユダヤ教徒キリスト教徒とイスラム教徒で、三つ巴になって殺し合っている。もういい加減に全知全能の、超越的な唯一人格神なんて信じるのをやめておけばいいのにとか、浅はかなことをつい思ってしまうくらいだが、もちろんどうしようもないのだよなあ。お互いに言い分はあるわけだが、「正義」のために殺し合っているのはいずれも同じである。戦争というのは、まずまちがいなく「正義」の名の下に行われると相場は決っている。そして、戦争に強い方の「正義」が貫徹されるだけのことだ。ま、こんなことは物事のイロハですが。西欧の知識人たちの「正義」を普遍化する努力は認めないではないが、アメリカなんぞは言うこととやっていることが見事に食い違っているから、話にならない。
 それから、話は全然ちがうけれども、自分も経済のことを語るのはもうウンザリ気味だが、アベノミクス云々批判とやらで結局経済学を勉強しずにそう言っている類にはもっとウンザリする。例え言っていることに真実があっても、それはただのまぐれ当りだし、何よりその知的不誠実さは、言っていることの僅かな真理よりもたちが悪い。経済学を知らなければ批判できないのかと云われるかも知れないが、問題はまさしく経済学なのだから、批判できないのである。経済がすべてではない、と云われるかも知れないが、当り前の話である。経済学者だって、決して経済がすべてなどとは言っていないし、そんなことを言っている経済学者がいれば、それは馬鹿であるから無視していい。問題をすり替えず、論理的に語るべきである。その点で、反アベノミクス論者に、まともなのは殆どいない。残念なことである。我々は、馬鹿は馬鹿なりに、少しでも勉強しなくてはいけない。そうすると、マスコミやマスコミに出ている類が、本当に勉強していないことがすぐわかる。大新聞の記者などは、超一流大学でたぶん経済学の授業も取っている筈であろうのに、こんなものなのだから、いい加減な話である。もう少しマジメにやってほしい。
 今日の報道ステーション寺島実郎が、アベノミクスは株価だけ上げて実体経済は無視のバブル云々とか云っていたが、情けなくなってくるね。もっと勉強しろ。だいたいこの「失われた二〇年」、何もかもヒドイものだったではないか。ようやく株価だけでも上がってきたのに、何が悪いんだ? それで助かった人がどれくらいいるか、わかっているのか。誰か実体経済は無視するとか、そんなことでも言っているのか。まあ、何を言っても責任を取るわけでもなし、気楽な商売でお金が稼げて、結構な話である。そうした処世術こそ、是非教えてもらいたいものだ。
 でも、経済は自分はもういい。もう少しちがったことを考えたい。いや、これも経済に入るかもしれないが、地方に住んでいる以上、地方の衰退は嫌でも目にする。たまたま自分の住んでいるところはむしろ発展途上なのだが、ここは例外的であろうし、ここですら商店街などはもうダメだ。むしろロードサイド、「郊外」が発展してきている。しかしそれらは全国規模のチェーン店が多く、どれだけ地元の活性化に役立っているのか、正確なところが知りたいものだ。既に、学問的にやっている人は、当然いると思うのだが、無知でいけない。「地方衰退学」は、喫緊の問題だと思っている。
 それに関係して、昨日のNHKの番組だったか、今は倒産は減っているのだが、廃業が増えているという。その中身は、多くが地方の「老舗」だと云うのだ。番組でやっていたのは、地方の一〇〇年以上(だったと思う)続く老舗の味噌屋で、地元の商店などを相手に味噌を作ってきて、去年もまだ黒字だったそうだが、卸先がどんどんなくなり、後継者もないということで、余裕のあるうちに廃業するというわけだった。さみしい話だった。たぶん、消費者も味噌の味がわからなくなってきているとか、そんなこともあるかも知れない。いまや消費者の舌は肥えているとか言うけれど、あの糞まずいイオンのお惣菜が飛ぶ様に売れているのを見ると、本当なのだろうかと思わざるを得ない。別にイオンに怨みがあるわけではないけれど、イオンの中の食料品って、安かろう悪かろうですよね。ちがうか? わかっていればいいのだけれど。このところ話題のマクドナルドだが、あそこのハンバーガーの肉って、味がしないですよね。ちがうか? チキンナゲットも成型肉だし。皆知っていて食べているのだろう? 僕もファーストフードを食べないわけではないので、気取っているわけではありません。出来るだけ安くというのもそうだし。わかっているなら仕方がないというだけです。結局、余裕がないのかな。我々は貧しいね。
 思い出したから書いておく。東海地方のお雑煮はとてもシンプルなのだが、昔みたいに餅の味だけで食べられるような餅がなかなかないんだよ。味がしないのが多い(どうやったらああいう味というか、味がないことになるのか)。普通の餅でいいのだが。それから、いわゆるメーカー品の薄切りハムは、どれもゴムの味(なのか何なのか)がするのだが、どうして皆あんなのを食べているの? 日本ハムはメーカー品でも多少マシだが、それでもなかなか買う気がしない。たまたま岐阜には町おこしのための或るブランドがあって、このハムは普通の(本当に普通の)ハムの味がする。こういうのって、グルメじゃないよね。これがグルメなら、日本はもうお仕舞い。