西村賢太『人もいない春』/西原理恵子『この世でいちばん大事な「カネ」の話』

晴。
早起き。
音楽を聴く。■バッハ:ヴァイオリン・ソナタ第一番BWV1014(ラインハルト・ゲーベル、ムジカ・アンティクヮ・ケルン)。ゲーベルと MAK の演奏は、クセがあるが生き生きとしていて好きだ。

Bach;Chamber Music

Bach;Chamber Music

ラヴェル:「ダフニスとクロエ」第二組曲カラヤン 1964)。素晴らしいとしか云いようがない。■セルゲイ・タネーエフピアノ五重奏曲ト短調op.30(リーリャ・ジルベルシュテイン、ドーラ・シュヴァルツベルグ、ルーシー・ホール、ノーラ・ロマノフ=シュヴァルツベルグ、ホルヘ・ボッソ、参照)。初めて聴く曲。後期ロマン派の大曲で、なかなか聴き応えがある。演奏の質が特筆すべき高さだ。ルガーノ音楽祭での演奏で、お客さんが大喜びなのも当然。■マリピエロ:ピアノ協奏曲第三番(バルトリ、カルッリ、参照)。悪くない。■ヨーゼフ・マルティン・クラウス:フルート四重奏曲ニ長調マルティン・サンドホフ、シュパンツィヒQ)。クラウスは「スウェーデンモーツァルト」などと呼ばれることもあるらしいが、生年はモーツァルトと同じ、没年は一つ後と、モーツァルトとほぼ完全に同世代の作曲家である。そしてこの曲、モーツァルト作と云われて信じない方がどうかしているくらい、モーツァルトによく似ているのだ。BGM にぴったりの佳曲である。演奏も申し分ない。こんな悪くない曲でも、歴史に埋もれてしまうのだなあ。
Kraus J.M.: Flute Quintet in

Kraus J.M.: Flute Quintet in


西村賢太『人もいない春』読了。若い頃の話と中年になってからのが半々に、私小説でないのがひとつ。中年になってからのは、同棲している「秋恵」さんとの話が、西村賢太とも思えずほのぼのしていて面食らう(じつはこっ恥ずかしくて、斜め読みしたところもあった)。でもまあ、これは幸せになっているのだろうなあと、ホッとしたような気がしないでもない。若い頃のは相変わらず。エグくていいね、西村賢太は。文学だ。
人もいない春 (角川文庫)

人もいない春 (角川文庫)

西原理恵子『この世でいちばん大事な「カネ」の話』読了。素晴らしい本だな。中学生か高校生の必読書にしたらいいと思う。この本を読むと、自分がとんでもなく恵まれてきたことがわかる。で、中年になってもまだまだだということも。それからたぶん、本書のタイトルは「カネ」がいちばん大事というより、「カネの話」がいちばん大事ということなのだろう。もちろん、「カネ」自体もとても大事なわけだが。
この世でいちばん大事な「カネ」の話 (角川文庫)

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (角川文庫)