吉田健一『昔話』

雨。
音楽を聴く。■モーツァルト:ピアノ・ソナタ第八番 K.310(クリストフ・エッシェンバッハ参照)。確かに優れた演奏だと思う。でも、ここまで意識して細かなニュアンスを付けなくともよいのではないか。モーツァルトを聴いているのだかエッシェンバッハの解釈を聴いているのだか、わからなくなってくる。かっちりしすぎていて息苦しいのだ。立派な演奏ではあるのだが。なお、繰り返しも省略されていて残念だ。■ブラームスピアノ五重奏曲ヘ短調 op.34 (ティル・フェルナー、ベルチャQ、参照)。欠点のほとんどない、現代的ないい演奏だと思う。ピアノがこの曲には多少線が細いかも知れないが。さほどの不満もなく聴けた。ベルチャQは現在中堅どころで、先が楽しみな真面目ないいカルテットである。しかし、よく考えたらいま一流のカルテットって何だ。皆んな中堅どころかも知れない。すごいカルテットはなくなったな。


モーツァルトのピアノ・ソナタ第八番 K.310 で、ピアノはグリゴリー・ソコロフ。楽譜を見てみるといままで勝手に聴いていたなあと反省させられる。随分思い込みで聴いているものだ。ソコロフはすばらしいですよ。透明な少し甘目の音が、この多少ロマンティックな演奏にふさわしい。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第十五番 op.28 で、ピアノはダニエル・バレンボイム。あーよかった。バレンボイム、さすがにやるな。

シューマンの「子供の情景」op.15 で、ピアノはマルタ・アルゲリッチ。2007/7/27 Live. 音はこれ以上ないくらい貧弱だし演奏は途中でぶった切れているし、散々な動画だが、これはすごい演奏だ。これマジで全曲のデジタル録音か何かないの? CDが出たら買います。現在最高の魔術師、アルゲリッチ

シューベルトの「四手のための幻想曲」ヘ短調 D940 で、ピアノはラドゥ・ルプーとマレイ・ペライア。冒頭のメロディがきわめて危険な曲である。演奏はふさわしい演奏者たちを得て、申し分のない出来。これ以上はむずかしいのではないかというくらいの名演だと思う。

吉田健一『昔話』読了。

昔話 (講談社文芸文庫)

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