2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧
晴。 戸田盛和『楕円関数入門』にざっと目を通す。楕円関数は、楕円とさほどの関連があるわけではない。楕円の弧の長さが、いわゆる第2種楕円積分で表されるところから来た名称である。ただし本書は、ここから話が始められている。一般には、楕円積分とは、…
晴。溽い。 バルベー・ドールヴィイ『デ・トゥーシュの騎士』読了。訳あって今ひとつ気分が乗らないまま読んだので、バルベーを充分楽しめずもったいなかったが、でもこれ、やはり面白いね。舞台は、フランス革命時の王党派の抵抗活動に採ってある。中条省平…
晴。 本村凌二『古代ローマとの対話』読了。古代ローマの歴史からのエピソードを、堅苦しくなく、エッセイ風に語っている。西洋の古代史に興味のある人には、楽しい読書になるだろう。古代ローマとの対話――「歴史感」のすすめ (岩波現代文庫)作者: 本村凌二…
曇。 ジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリの共著『千のプラトー(中)』読了。自然(感情)によるリトルネロと、構想力によるリトルネロといったものを思う。後者はシステムにおける戯れであり、前者はまさしくズレであり、脱領土的だ。「音楽の最終目標…
晴。 新雅史『商店街はなぜ滅びるのか』読了。これは見事な論考だ。著者はまだ三十代で、初めての単著ということであるが、的確な基礎理論を背景に、「商店街」という対象に鋭く切り込んでいるのに感銘を受けた。商店街というものが戦後の産物だというのに、…
晴。 プール。アピタとその本屋。網野善彦の新書を買ったら、旧版が既に家にあった。どうも一度読んでいるのだな。うーむ… 伊藤聡『神道とは何か』読了。本書は、神道とは「神祇信仰(あるいは神信仰)と仏教(およびその他の大陸思想)との交流のなかで、後…
日曜日。晴。 カルコス。「レコード芸術」誌七月号に、吉田秀和氏の連載の遺稿が載っているのを立ち読み。本当にこれが最後なのだ。追悼記事も読む。しんみりしてしまった。よほど雑誌を買おうかと思ったが、やめておく。岩波文庫の新刊のコルタサルはなかっ…
晴。 辻井重男『暗号』読了。本書が扱う暗号技術は、本書で「ポストモダン暗号」と呼ばれる一九七〇年代以降のものであり、本書は古代からの暗号の歴史などを述べたものではない。歴史的なトピックとしては、第二次世界大戦の時の、ドイツのエニグマ暗号や、…
晴。 ジョージ・スタイナー『青鬚の城にて』(1972年旧版)読了。副題「文化の再定義への覚書」。桂田重利訳。十九世紀の高度なエリート文化の喪失、啓蒙の失敗が、二つの世界大戦による(とりわけ精神的な)荒廃によってもたらされた(いや、逆に二つの大戦…
雨。 法事。祖父の二十七回忌。 ジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリの共著『千のプラトー』を、文庫本で再読する。とりあえず上巻読了。ほほお、こんなことが書いてあったのか、という感じだ。本書、例えて云えば、現代の西欧人によって書かれた「大乗…
晴。 図書館。ブロッホの『この時代の遺産』を検索にかけてみたが、中央図書館にはなかった。県の図書館にはあるようだ。カルコス。 森茂暁『建武政権』読了。コンパクトな歴史書。末尾の文献案内が詳しく、この分野の他著を求める人には重宝なのではないか…
雨。 怠惰。 台風が近づいてきたので、仕事を早めに切り上げる。 ジュリアードSQやバックハウスを聴く。やはりポリーニ+ティーレマンのブラームス、ピアノ協奏曲第一番はよくないな。
曇。 由良君美『言語文化のフロンティア』読了。読んでいていろいろなことを思ったが、もっと十九世紀から二十世紀初頭の西欧文化を勉強しないとなと、痛感させられた。ここで生み出された文化遺産は、世界史的に見ても稀有の達成だろう。変な話だが、日本の…
日曜日。晴。 高橋昌一郎『感性の限界』読了。日録に書く。感性の限界――不合理性・不自由性・不条理性 (講談社現代新書)作者: 高橋昌一郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/04/18メディア: 新書購入: 6人 クリック: 67回この商品を含むブログ (31件) を見…
雨。 ジル・ドゥルーズ『ベルクソンの哲学』再読了。以前に読んだときと比べれば、わかるわかる。ドゥルーズがこれほど面白いとは。とても興奮して読んだ。問題含みで刺激的なのは、第四章の「持続は一か多か」だ。ここではベルクソンと(特殊)相対性理論の…
増税か。何とも無念である。これまでの経緯を振り返るに、驚くのは、正しいことを云ってきた識者は決して少なくなかったし、正しい見識を持った国会議員すら少なくなかったし、国民もおおよそのところで反対していたのに、こうなってしまったことだ。論理と…
曇。 ジル・ドゥルーズ『シネマ2・時間イメージ』読了。自分には本書は、他のドゥルーズの著作にも増してむずかしかった。自分が映画に不案内なことは決定的だが、そればかりでもないような気がする。観たことのある映画について書かれていても、なかなかわ…
ベートーヴェンのピアノ・ソナタのCDを聴いていると、どうもスタンダードな演奏を持っていないような気がする。というわけで、やはりバックハウスの全集は持ってないといけないかということで、BOXセットを買いましたよ。いわゆる三大ソナタのディスクは手元…
晴。 イオンとJTB。 R・A・ニコルソン『イスラムの神秘主義』読了。訳者解説にもあるが、スーフィズムと仏教(とりわけ禅や密教)の近さには驚かされた。直接の影響云々よりも、イスラム誕生の一千年前に成立した仏教の残り香が、スーフィズムに入ったのだ…
晴。 日高敏隆『チョウはなぜ飛ぶか』読了。日高先生がアゲハチョウの研究を、試行錯誤を交えながらやっていくところを書いた本だ。既に研究が済んでいるのではなく、まさしくその過程を楽しむ本になっている。そしてまた、研究の目的が、素朴な疑問の延長上…
曇。 『原典訳 アヴェスター』読了。ゾロアスター教の聖典。原典訳 アヴェスター (ちくま学芸文庫)作者: 伊藤義教出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2012/06/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 9回この商品を含むブログ (7件) を見る森田邦久『科学哲学講…
曇。 プールとアピタ。 ジョルジュ・バタイユ『ニーチェ覚書』読了。バタイユによる、ニーチェの断片のアンソロジー。バタイユの選択はあまり心惹かれないのだが、それでもニーチェはやはりインパクトがある。しかし、バタイユも訳者も、ちょっと力みすぎで…
日曜日。晴。 カルコス。「レコード芸術」誌を立ち読みする。ああ、まだ吉田秀和さんの連載が掲載されている。シャイーとティーレマンか。これは聴いてみたいなあ、などと思うことももうないのだ。 モーツァルトの弦楽五重奏曲第一番を聴く(ジュリアードSQ…
雨のち曇。 モーツァルトの弦楽四重奏曲第十八番や、ベートーヴェンのピアノ三重奏曲第一番を聴く。「フランス・オーボエ名曲集」なるディスクを聴く。オーボエはシェレンベルガー、ピアノはケーネン。プーランク以外は初めて聴く曲ばかりだ。冒頭のサン=サ…
曇。 J・L・ボルヘス『ブロディーの報告書』読了。驚いたことに、リアリスティックな短篇ばかりが並んでおり、幻想文学作家としてのボルヘスらしいものではない。ボルヘスの諸作品としては晩年のものであるが、いかにもボルヘスらしいという小説に、彼は飽…
晴。 アッタール『鳥の言葉』読了。アッタールは中世のペルシア語詩人で、ペルシア神秘主義詩人の代表者の一人である。有名なルーミーは、彼に多くを負っているとされる。本書はその代表作の一つであり、神秘主義の境地の展開を詩として表現したものだ。表現…
晴。 三島由紀夫『若きサムライのために』読了。確かに本書には、三島の「空疎」といわれる部分が出ていると感じる。美意識とロジックが直結していて、お互いにくるくる回っているのだ。実感というものが、希薄というか。 国家や民族と美意識を直結させると…
曇。 大垣。ベートーヴェンのピアノ協奏曲を聴きながら運転する。ピアノはポリーニ(二度目の録音)。正確でキレがあり、音はクリスタル・ガラスのように美しい。中でも華やかな、第一番が本当に好きだ。もっとも、全五曲、駄作はない、というか、すべて傑作…
晴。 プールとアピタ。近頃、睡眠時間が長い。ちょっと過渡期で、本もあまり読めないし、ブログに書いているものも自己満足になっているような気がする。こういう時はどうしてもある。自分の調子を正確に把握するのはむずかしい。なるだけルサンチマンに捕わ…
日曜日。晴。 ラーメン「麺丸」にて昼食。まぜそば(追い飯付き)700円がめちゃめちゃ旨かった! この店は研究熱心だなあ。こってり油の太麺なので、こういうのが好きな人にしか薦められないが。にんにくも入れてもらう。具をぐるぐる混ぜて食す。それから、…