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2015-10-29

| 14:46 | 核 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

群の準同型写像 f:G→G' があるとき、G' の単位元を e' とすると、
  
で定められる集合 Ker(f) を f のという。


このとき、f が単射であることと、Ker(f) = {e}(e はGの単位元)であることは同値である。

証明)f が単射ならば、f(x) = e' = f(e) とすると x = e なので明らか。
 逆に、Ker(f) = {e} とする。このとき、G の元 x, y について f(x) = f(y) だとすると、この式に左から f(x)-1 を掛ければ e' = f(x)-1f(y) = f(x-1y) となり、仮定より x-1y = e, すなわち x = y。よって f は単射。(証明終)


またさらに、G について K = Ker(f) を考えると、K は G の部分群である。さらに、G の元 x について K の左剰余類を xK とすると、任意の x ∈ G に関して
  
が成り立つ。

証明a, b ∈ K とすると、f(ab) = f(a)f(b) = e'e' = e' より ab ∈ K。また、 f(a-1) = f(a)-1 = (e')-1 = e' より a-1 ∈ K。よって K は G の部分群である。
 また、左剰余類 xK に関し y ∈ xK で y = xp(p ∈ K)なる y をとると、f(y) = f(xp) = f(x)f(p) = f(x)。逆に f(y) = f(x) とすると、f(x-1y) = f(x-1)f(y) = f(x)-1f(x) = e' だから x-1y ∈ K。ところが y = x(x-1y) なのだから、y ∈ xK が云える。
 右剰余類 Kx についてもまったく同様。(証明終)

(群の)準同型

| 14:25 | (群の)準同型 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

2つのG, G' に写像 f:G→G' が定められているとき、f が
  f(ab) = f(a)f(b)
を満たすなら、f は準同型写像と呼ばれる。

 f が準同型ならば、f によって G の単位元 e は G' の単位元 e' へ移る。なぜなら、f(e) = f(ee) = f(e)f(e) だから、両辺に f(e)-1 を左から掛けて e' = f(e)。また、逆元は逆元へ移る。なぜなら、f(e) = f(x-1x) = f(x-1)f(x) = e' だから、f(x-1) = f(x)-1

 写像 f が準同型でかつ全単射ならば、f は同型写像と呼ばれる。このとき、群GとG'は同型であるといわれる。
 f が同型写像ならば、f の逆写像(必ず存在する)も準同型(引いては同型)である。

mathnbmathnb 2016/11/29 00:29          解説された

http://d.hatena.ne.jp/obelisk2/searchdiary?word=%2A%5B%B7%B2%CF%C0%5D

の 多くの概念 が ↓で用いた SO(2) (はGL(2,R)の正規部分群) で
 
       理解の援けに 私は なります。
       ----------------------------

↓ の 黒枠 の 問題 に 遭遇し

回転群 SO(2) の 元を 用い 自然に 解いた;

http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/020/691/47/N000/000/006/148034616066579063177.gif

obelisk2obelisk2 2016/11/29 01:48 解いてみました。
http://d.hatena.ne.jp/obelisk2/20161128/1480350165
わざわざ回転群を使う解法というのは、ちょっと自分は思いつかなかったですねえ。

それから、画像リンクで求められている答えですが、二重根号は外せますよ。

2013-11-11

共役類と中心化群

| 20:46 | 共役類と中心化群 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

ここでは、群Gの自分自身上への両側からの働き を考えることにし、G‐軌道というときにはすべてこの働きに関するものだとする。

定義a∈Gに関し、a を含むG‐軌道に属する元を「a に共役な元」という。a に共役な元全体のつくる集合を「a の共役類」といい、C(a) で表す。C(a) は要するに a を含むG‐軌道である。すなわち、
   

なお、b∈C(a) ならば a∈C(b) である。また、b∈C(a), c∈C(b) ならば、c∈C(a) である。


ここで、特に C(a) の元が a だけからなる場合を考える。このとき、Gのすべての元 g に対して gag-1=a が成り立つ(g でないある g'∈G に関してこれが成り立たなければ、g'ag'-1=b≠a だが、これは b∈C(a) を意味しており、C(a) の元が a だけというのに矛盾する)、つまり ga=ag, ∀g∈G だから、Gの中心Zを考えると、
   
に他ならない。
 共役類はG‐軌道そのものなのだから、G‐軌道によるGの分解(参照)は、いまの場合
   
の形になる。ここで、C'(b), C'(c) などは、少なくとも2つの元を含む共役類を示している。


Gの任意の元を取り、これを で表そう。考えているGの働き に対し、固定部分群 は、 なる元 g(∈G)全体 、すなわち
   
で与えられる。この 中心化群という。 のとき、 は少なくとも e と は含んでいるから、 であることは注意しておこう。

 Gが有限群のときは、軌道一般論参照)より、
   
だから、 の中心化群が大きくなると、その共役類は小さくなるし、その逆もまた真である。中心化群がGになると、共役類 だけとなる( のとき)。

軌道と固定部分群

| 21:39 | 軌道と固定部分群 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

群Gが集合Mの上に働いているとき、Mの任意の点 x0 に関して、 x0軌道 G(x0) (⊂M)と x0固定部分群 ⊂G)との間には、密接な関係がある。

簡単のため、Gは有限群であるとする。このとき、x0 のG‐軌道 G(x0) は、有限個の点からなるMの部分集合となるから、これを
   
と置く。点 x0 を点 xi に移すGの元は必ず存在するが、いまそれが仮に2つあったとして、それらを gi, gi'とする。すなわち
   
このとき、 より、 となる。すなわち
   
となるが、以上は逆もまたいえる。この式は、 と書き直してみればわかるように、gi と gi'が の同じ左剰余類(参照)に属していることを示している。
 したがって、G(x0) の各 xi に対して、xi=gi(x0) を満たすGの元 gi を一つ選んでおくと、Gの の左剰余類による分解類別
   
が得られて、
       
      
        ………
     
と対応する。
 この意味で、x0 のG‐軌道と、Gの による左剰余類による集合とが、一対一に対応することがわかった。これはGが有限群でなくても成立する。

群GがM上に働くとき、Mの一点 x0 のG‐軌道と、Gの固定部分群 による左剰余類が、一対一に対応する。

また、Gの分解より、
   
だから(参照)、すなわち、G‐軌道 G(x0) に現れる点の個数は、Gの位数の約数である。

2013-11-09

群の直積

| 16:57 | 群の直積 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

2つの群G、Hが与えられたとき、集合としての直積
   
の中に、群の演算を
   
定義したものを、GとHのやはり「直積」といい、これもG×Hで表す。

GとHの単位元をそれぞれ e, e' とすると、これの単位元は (e,e') であり、(g,h) の逆元は (g-1,h-1) となる。
 G、Hが共に有限群ならば、群の直積の位数は
   |G×H|=|G||H|
となる。

群の中心

| 16:38 | 群の中心 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

群Gの元 g で、Gのすべての元と可換になるものの全体は、Gの部分群となる。この部分群をGの「中心」といい、であらわす。すなわち、
   

Zが部分群となることを示す。まず、g1, g2∈Z とすると、
   
だから、g1g2∈Z となる。また、g∈Zとすると、gh = hg (∀h∈G)より、
   
だから、∀h∈Gより∀h-1∈Gを考慮して、g-1∈Zとなる。以上より、ZはGの部分群となる。

2013-11-07

固定部分群の定義

| 22:44 | 固定部分群の定義 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

群Gは集合Mの上に働いているとする。Mの点 x0 を止める( x0 = g(x0) ということ)Gの元全体のつくるGの部分群を、x0 の「固定部分群」あるいは「安定部分群」という。

 実際、g(x0) = x0, h(x0) = x0 ならば、
   (gh)(x0) = g( h(x0) ) = g(x0) = x0
であり、また、g(x0) = x0 より g-1( g(x0) ) = g-1(x0) だから、この左辺は e(x0) = x0 となることも考慮しつつ
   g-1(x0) = x0
となって、逆元が存在する。さらに、単位元 e は、定義より x0 を止めている。以上よりすなわち、Gの部分群となっている。

軌道

| 22:07 | 軌道 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

群Gは集合Mの上に働いているとする。このとき、Mの任意の点x に関し、
   
と置き、G(x) を、点x のGによる「軌道(またはG‐軌道)」という。もちろん g(x)∈M, G(x)⊂M である。


このとき、次の結果が成り立つ。
   

証明仮に ならば、G(x) と G(y) に共通に含まれるMの点z が存在する。z∈G(x) だから z=g(x) と表すことができ、また z∈G(y) だから z=g'(y) と表される。したがって、
   
となり、y∈G(x) となってしまって仮定 に矛盾する。(証明終)


Mの各点を通るG‐軌道は、決して互いに共通点を持たない。ゆえに、Mは互いに共通点のないG‐軌道たちの直和になる。また、簡単なことだが、x'∈G(x) のとき、G(x)=G(x') も成り立つ。

2013-11-02

有限群から対称群への準同型写像(群の表現)

| 17:01 | 有限群から対称群への準同型写像(群の表現) - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

位数 n の有限群Gから、n 次の対称群 への準同型写像 存在する。この準同型写像 は、Gの左からの働き によって引き起こされる。同様に、G自身の上への、右側からの働き や、両側からの働き によっても、Gから への準同型写像が得られる。かかる準同型写像を、Gから への「表現」などという。準同型写像が一対一(単射)なら、それは「忠実な表現」であると言われる。

どういうことか、群Gの左からの働きを使って説明しよう。有限群Gの位数を n とし、Gの元を適当に並べて
   
とする。これらに群Gを左から働かせると、g∈Gの働きで、(1)は
   
へと変わる。ところが、
   
より、(2)は(1)を並べ替えたものに過ぎない。すなわち、g によって或る置換が引き起こされるということは、g から或る置換への対応 があることを示している。そして、置換は群(n 次の対称群)を作るので、その対称群の演算と、Gの元 g の演算を、写像 によって対応させることができる。すなわち
   
である。これが、上の準同型写像 なのである。
 なお、かかる準同型写像を「表現」と呼ぶのは、Gが任意の抽象的な有限群なのに対し、 は具体的なイメージのある、対称群であるからなのである。考えてみれば、これらが対応するのは、不思議な感じがしないでもない。


なお、Gの右からの働き を用いた準同型写像 を考えると、これもまったく同様である。そして、 は共に、Gから への一対一写像である。
 けれども、Gの両側からの働き からも準同型写像 が得られるが、これは必ずしも一対一写像ではない。実際、例えばGが可換群ならば、
   
となって、すべて恒等写像になってしまう。よって一対一写像ではない。
 つまり、 は忠実な表現を与えているが、 は表現を与えているものの、それは忠実でない。

準同型写像

| 16:43 | 準同型写像 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

定義群Gから群G'への対応 があって、
   
が成り立つとき、 をGからG'への「準同型写像」という。

準同型写像によって単位元単位元に移り、逆元は逆元に移る。
 準同型写像 が一対一(単射)であっても、必ずしもGとG'が同型であるとは限らない。ただし、GはG'の部分群と同型であるとはいえる。

2013-10-31

群の働き

| 23:41 | 群の働き - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

定義群Gが集合Mの上に働くとは、Gの各元 g に対してMからMへの写像(変換)
   
が決って、次の性質を満たしていることである。
(1)g1( g2(x) ) = g1 g2(x)  (x∈M, g∈G)
(2)Gの単位元 e に関して e(x) = x  (x∈M)


g g-1 = g-1 g = e だから、(1)と(2)より
   g( g-1(x) ) = g-1( g(x) ) = x  (x∈M)
が成り立つ。g( g-1(x) ) = x は、(右辺の x がMの任意の点でよいから)g がMからMへの上への写像であることを示しており、また g-1( g(x) ) = x は、(x ≠ x' のとき g(x) ≠ g(x')より)、g がMからMへの一対一写像であることを示している。

 なお、g の働きを g(x) と書くのは紛らわしい場合があるので、そのときは、g に対応する変換を と書き、これによって点 x が移される先を と表す。
 例えば、整数全体のつくる加群 は、実数全体のつくる集合
      
として働く。

任意の群は、自分自身の上に働く

(1)群Gは、G自身の上に
  
と置くことにより働く。このGの自身の上への働きを、Gの左からの働きという。

(2)群Gは、G自身の上に
  
と置くことにより働く。このGの自身の上への働きを、Gの右からの働きという。

(3)群Gは、G自身の上に
  
と置くことにより働く。このGの自身の上への働きを、Gの両側からの働きという。

2013-10-27

位数が素数の群/クラインの四元群

| 23:43 | 位数が素数の群/クラインの四元群 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

(定理)有限群Gの位数は素数 p であるとする。
  (1)Gは巡回群である。
  (2)単位元以外の元は、すべて位数 p をもつ。

証明Gの単位元ではない元 a を任意に取ると、a の位数は 1 より大きく、かつ p の約数である(参照)。p は素数だから、a の位数は p でなければならない。したがって、Gは a によって生成される巡回群である。(証明終)


 位数 1 の群は、単位元 e だけからなる群である。
 位数 2,3 の群は、2,3 が素数だから巡回群である。

 位数 4 の群は、まず巡回群 がある(参照)。
 それ以外の位数 4 の群は、「クラインの四元群」というのがある。このような群Gは巡回群でないので、Gの単位元以外の元は、すべて位数が 2 である。すなわち、Gの任意の元 x に関して、 すなわち が成り立つ。よって
  
だから、この群は可換群である。そこで と置くと、ab は e,a,b のどれとも同じであってはならない。なぜなら ab=e ならば、 となってしまうし、ab=a ならば b=e となってしまうからである。したがって ab=c。同様に、結局
  
となる。これがクラインの四元群である。

2013-10-23

群の位数と元の位数

| 00:56 | 群の位数と元の位数 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

(定理) 有限群Gの元 a の位数は、|G|の約数である。

証明 a から生成された巡回部分群をHとする。Hの位数|H|は、a の位数と一致している。一方、|H|は|G|の約数である(参照)。よって、a の位数は|G|の約数となる。(証明終)


さらにこの結果より、a の位数を k とすると、|G|=ks(s は自然数)と表せる。よって、単位元を e とすると、
    
すなわち、有限群Gの任意の元に関して、 が成り立つ。

2013-10-12

有限群の中の巡回部分群

| 16:30 | 有限群の中の巡回部分群 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

Gを一般の有限群とし、その位数を n とする。Gの任意の元 a を取り、繰り返し積を作っていくと、
    
という系列が得られる。

 これらはすべてGの元だから、この中で異なるものは高々 n 個しかない。よって、s≦n+1 を満たす s で、 は、既に前に現れている或る に等しいものが存在する(1≦t<s≦n+1)。ゆえに単位元を e とすると、 となる(1≦s-t≦n)。これは、上の系列を左から見ていくと、 までに間に必ず、単位元となるようなものが現れることを示している。
 そこで、そのような元の中で最初に現れるもの、つまり を満たす最小の自然数 k を採る(k≦n)。すると、
    
と置くと、Hの元はすべて異なっており、さらにHはGの部分群で、巡回群となっている。このHを、「a から生成されたGの巡回部分群」といい、k を「a の位数」という。
 ここでの「位数」という語の使い方に注意。つまり、有限群Gの各元には、「位数」という自然数が対応することになる。位数 1 の元は、単位元に限る。

 巡回群の定義より、「群Gが位数 n の巡回群である」(ここでの「位数 n」は、群Gの元の個数)ということは、「群Gに位数 n の元が存在する」(ここでの「位数 n」は、)ということと同じである。

 有限群は、必ず巡回部分群を含む。

2013-10-11

巡回群の定義

| 14:01 | 巡回群の定義 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

位数 n の群Gを考え、Gの或る元 a で (e は単位元)となるようなものからGが
    
と表されるとき、その群を位数 n の(有限)「巡回群」といい、 と書く。a をGの「生成元」という。Gは a によって生成される。可換群である。

 このとき、 は、x + y ≦ n - 1 ならば 、x + y > n - 1 ならば (ただし s = x + y - n)となる。また、 である。

巡回置換

| 10:08 | 巡回置換 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

n 次の置換で、 と写して他を変えないものを、 と書き、s 次の「巡回置換」という。

 例えば、
   
である。
 すべての置換は、巡回置換の積として表すことができる。例えば、
   
である。このとき、積は可換である。


 2次の巡回置換は、すなわち「互換」である。
 すべての巡回置換は、互換の積で表すことができる。なぜなら、
   
となるから。右辺を右から写像の合成をしていくと、
   
と写る。

 さらに、互換に関して、i<jのとき
   
         
が成り立つ。すなわち (i j) は、i≦k<k+1≦jとすると、(k k+1) の形の互換の積で、表すことができる
 これを示そう。
   
は、巡回置換
    
に一致する。この巡回置換に左から互換 (j-2 j-1) を掛けると、巡回置換
    
を得る。これを続けていけばいい。例えば
    
      
に注意。
 (例) など。


 以上より、次の定理がいえる。

n 次の置換σは、すべて互換の積として表される。しかもσは、互換 (i i+1), ただし 1≦i≦n-1, の積として表される。

例えば
    
     
など。


結構むずかしいですね。

有限群とその部分群の位数

| 08:49 | 有限群とその部分群の位数 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

Gが有限群であり、その部分群をHとする。このとき、次の定理が成り立つ。
(定理)(ラグランジュ) Hの位数はGの位数の約数である。

証明GのHによる類別を、
    
と表す(参照)。ここで、Gは有限群だから、異なる同値類も有限個であることに注意しよう。さて、じつは同値 に含まれる元の個数は、すべてHの個数と同じである。ということは、
  (Gの位数)=(Hの位数)×s
が成り立つことになる。(証明終)

 上の定理は、群Gの位数を|G|と書けば、もちろん
   |H|は|G|の約数である
とも書ける。上の s を特に(G:H)と書き、HのGにおける「指数」という。したがってさらに
   |G| =(G:H)|H|
とも書ける。

部分群による類別

| 07:55 | 部分群による類別 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

まず、群Gとその部分群Hが与えられているとする。このとき、Gの元 a,b に関し、
     
というようにして、Gに同値関係〜を導入できる。

証明(a)Hは群だから、単位元 e を含んでいる。したがって により a〜a。
(b)a〜b より 。Hは群だから、 の逆元も含んでいる。ゆえに
    
これはすなわち、b〜a。
(c)a〜b, b〜c より、 という関係が成り立っている。Hは群だから、 の積もまたHに含まれている。したがって、
    
このことは a〜c を示している。(証明終)
 なお、a〜b は のことだから、「Hの適当な元 h が存在して b = ah」といっても同じことである。


 群Gの部分群Hが与えられ、上の仕方でGに同値関係を入れると、それによってGの元が「類別」される。Gの元 a が与えられると、a に同値な元は、上により ah(h はHの元)と表されている(a〜ah)。よって、Gの部分集合 aH
    
定義すると、aH は a を含む「同値」を与えていることになる。この aH を、「a を含むHに関する左剰余類」という。この同値類 aH を元とする「商集合」を G/H と書く。すなわち
   
である。
 単位元 e を含む同値類は、eH = H によりHそのものである。また、a と b が同値でなければ、aH と bH は異なる同値類となり、共通部分をもたない。すなわち である。ゆえに
   
と書ける。

同値関係

| 07:41 | 同値関係 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

a,b の間にある関係が成り立っており、それを a〜b と書くとき、これらに次のことが成り立っていれば、それを「同値関係」という。

(a)
(b)
(c)

部分群の定義

| 07:34 | 部分群の定義 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

Gの部分集合Hが次の条件を満たすとき、HをGの「部分群」という。

(1)
(2)

 (1)と(2)が成り立っていると、 より単位元 e もHに属している。したがって、Hだけを独立に取り出しても、これが群になっていることがわかる。

2013-10-10

交代群

| 01:29 | 交代群 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

n 次の対称群 の中で、偶置換全体の作る群を と表し、n 次の「交代群」という。

 対称群の中で、偶置換どうしは掛けあわせても偶置換であり、またその逆元も偶置換である(参照)。したがって、偶置換σを取って と表してみればわかるように、単位元 e も偶置換である。すなわち、対称群の中で偶置換全体を集めると群になり、それを交代群と呼ぶわけである。


 ここで、位数 n!/2 の群である。

 証明しよう。σを偶置換とすると、それにもう一度互換 (1 2) をほどこした (1 2)σは奇置換である。これは、σから (1 2)σへの対応を与えており、その対応は偶置換の集合から奇置換の集合へのそれとなっている。このときσ≠τならば、(1 2)σ≠(1 2)τだから、この対応は一対一であり、よって
     偶置換の個数≦奇置換の個数
となる。次に、奇置換の集合から偶置換の集合への対応を同様に考えると、同じく
     奇置換の個数≦偶置換の個数
となって、結局偶置換の個数と奇置換の個数は等しくなる。
 そこで、 の位数は n! だった(参照)から、偶置換の個数はその半分の n!/2 でなければならない。


(例) は次の通り。位数は3。
   
   

偶置換と奇置換

| 00:56 | 偶置換と奇置換 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

n 次の対称群の元σが、偶数個の互換の積として表されているとき、σを「偶置換」といい、奇数個の互換の積として表されているなら、それを「奇置換」という。

 このとき、次のことが成り立つ。
(1)σ,τが偶置換ならば、(a)στも偶置換 (b)σの逆元も偶置換。
(2)σ,τが奇置換ならば、(a)στは偶置換 (b)σの逆元は奇置換。
 さらに、σが偶置換、τが奇置換ならば、στは奇置換。

 ここで、置換の「符号」というものを導入する。すなわち、置換σに関して sgn σ という関数を考え、σが偶置換なら 1, 奇置換なら -1 の値を取るものとする。このとき、上の結果は、
    
とまとめられる。

互換の定義

| 23:59 | 互換の定義 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

n 次の対称群 (n≧2)の元で、2つの数字 i,j を入れ替える置換を「互換」といい、記号 (i j) で表す。

 すなわち、
    
である。
 任意の元は、(複数の)互換の積として表すことができる(ただし一般に、その表し方は一通りでない)。このことを、 は互換によって「生成される」ともいう。

群の同型の定義

| 23:38 | 群の同型の定義 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

2つの群G,G'が次の条件を満たすとき、GとG'は「同型」であるという。

GからG'への一対一(全単射写像 存在して、
     
が成り立つ。

このとき と書く。一般に、
       
       
が成り立つ。

 G,G'の単位元をそれぞれ e, e' とすると、 となる。また、Gの元 a の逆元を考えると、 がいえる。
 なぜなら、ae = ea = a より、 であるし、また、
     
より、
     
となるから。

対称群の定義

| 22:41 | 対称群の定義 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

一般に n個のもの 置換全体の作る群を、 上の「置換群」、あるいは「n 次の対称群」といい、 で表す。

  の元は一般に、
     
と表すことができる。ここで、 は、列 1,2,…,n の並びを入れ替えたものである。もちろん と対応するのである。上を略記して、
     
と書く。
 n 次の対称群の位数は、n!である。
 一般に、n≧3 のとき は非可換群である。

 なお、対称群の元σ,τの積στは置換を連続して行うことで定義されるが、その順番は、τが先でσが後になる。


(例) を考えよう。位数6の群である。
   
   
であり、例えば
   
となる。また、
   
である。

群の定義

| 22:05 | 群の定義 - オベリスク備忘録(跡地) を含むブックマーク

集合Gが以下の条件を満たすとき、これを「」という。

(1)Gの任意の元 a,b に関して、「積」と呼ばれる演算 ab が定められており、さらに ab はGの元となる。
(2)「結合法則」が成り立つ。すなわち、元 a,b,c に関して、a(bc)=(ab)c。
(3)「単位元」e なるGの元が存在する。すなわち、任意の元 a に関して ae=ea=a。
(4)すべての元 a に関して、a の「逆元」存在して、 が成り立つ。

さらに、任意の元 a,b に関して ab=ba(交換法則)が成り立つなら、Gは「可換群」あるいは「アーベル群」である。可換群でない群は、「非可換群」という。
 群Gの元の個数が有限個なら、Gは「有限群」、無限個なら「無限群」である。有限群の元の個数を、この群の「位数」という。群Gの位数を、|G|などと書くことがある。

Gが(1)(2)のみを満たすなら、Gは「半群」である。

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