問うこと

正しい答えを得るためには、正しく問わなければなりません。正しく問うことが出来れば、正しい答えはもう指呼の間。

その問いを、あの隆慶一郎が怖くて小説を書くことが出来なかったと畏れた小林秀雄に直接ぶつけるのには勇気が要ります。でも、ぶつけずにはいられない。そう思わせた時点で、彼の授業は成功したも同然でしょう。

それにしても、学生を相手にして、小林秀雄の視線の何と優しいこと。愛情と信頼に裏打ちされた厳しさから伝わる優しさこそ、本書の最大の読みどころです。

学生との対話 (新潮文庫)

学生との対話 (新潮文庫)