無い袖はノースリーブ Twitter

2015-12-31 2015往く映画・観た映画

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「大晦日か……」
 ギリギリのギリで仕事が納まった私は、パソコンの電源を落として夜の街に出た。2015年という一年もまた、あっけないほどの速さで過ぎ去りようとしている。こんな時はあの店に行くのが一番だろう。

「大将、どうも。開いててよかった」
「うちは年中無休ですから。どうぞ、いつものお席へ」
「不景気なのに頑張ってるね、大将も」
「こうして来てくださるお客さんがいますから。今日はどうしますか」
「年の瀬だから、やっぱりコースでお願いしようかな」
「はい、ではコース一丁。ありがとうございます」

マッドマックス 怒りのデス・ロード
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「おっ、いきなりメインディッシュ? 今年のコースは趣向が違うね」
「今年は色んなネタが豊作だったんですよ。特にこちらは今年を象徴する一皿ということで、最初にお出しさせていただきました」
「今年を象徴ねえ。具体的にはどんな?」
「とりあえず召し上がってみてください」
「オリジナルが好物だからなあ。こっちはどうだろ。見た目は2の延長線上って感じで……あっ!」
「いかがです」
「新しい! これが2015年の味!」
「そうなんですよ」
「いや、よく味わうとどれもまっとうな調理法なんだけど、そのまっとうを詰め込んだだけでこんなに新しい味になるのか……」
「いわゆるヌーヴェル・キュイジーヌですね」

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カンフー・ジャングル
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「大将はカンフー好きだね」
「人生とはカンフー、カンフーとは人生ですよ」
「これもやっぱり、2015年らしい新しいカンフーが味わえるのかな?」
「いいえ、目新しい点はほとんどありません。しかし、これもまた今だからこそ召し上がって欲しい一品でして」
「どれどれ……ああ、ドニーさんの現代劇はやっぱりいいねえ。序盤の刑務所ファイト、アガるね」
「けっこうえげつない乱闘ですがカラッとしてますでしょ」
「ストーリーはまあ、因縁と復讐の話で……うん、まあ、目新しくはないね確かに」
「こちらは最後がキモなんです」
「最後?」

「これは…………愛!!」
「愛なんですよ」
「溢れるほどの武術、いや、『映画の中のカンフー』への愛……!」
「今こその味でございますでしょ」
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プリデスティネーション
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プリキュアオールスターズ?」
「プリデスティネーションです」
「SFかあ。原作はハインラインなんだね」
「ところでお客さん。お客さんは何か変わった身の上話はありませんか」
「?」
「酒を一本奢りますよ」
「???」

「凄い複雑怪奇な味だねこりゃ。噛みごたえあるなあ」
「でも一回でスルッと全部理解できますでしょ」
「そこが凄いね」
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マジック・マイクXXL
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「You are……my fire」
「The one……desire」
「Believe……when I say」
「「I want it that way〜〜」」

「Tell me why?」
「女性と男性は互いにリスペクトしあい幸せになれるはず、という人類規模の希望が込められておりますから」
「'Cause I want it that way……」
「ほんとそうですねェ」
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ハイヒールの男
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「お、韓国映画来たね」
「こちらは本国版の予告編が素晴らしいので、まずはこちらをぜひ」
D
「かっこいいアクションものじゃない。いいねえ」
「と、思いますでしょ。本編召し上がってみてください」
「えっ、何これ、こういう話に……?」

「大将……自分らしさってなんなんだろうね。これ、超切ない話じゃないの……」
「切ないんですよ」
「こんな真摯にトランスセクシャルを描いた映画が東アジアから出てくることの驚き」
「これからどんどん変わってくと思いますね」
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ジョン・ウィック
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「おっ、キアヌだ」
「実はノワールとの相性が最高なんですよ」
「言われてみれば『フェイク・シティ』とかも傑作だもんねえ」
「多くを語らないこのクールさ。「オマエ オレ イヌ コロシタ オレ オマエ コロス」であらすじが終わるね」
「キアヌはいつもあんまり喋らないんですけどね」

「どうでもいいけど『ホットライン・マイアミ』実写化しようとしてた人がもし居たら、これ観てショック受けただろうね」
「『ブレードランナー』を見たギブスンくらいにはショックだったと思います」

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コードネームU.N.C.L.E.
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「やおいです」
「もはや何のクッションも無い」
「薔薇の木に薔薇の花が咲くように、ガイ・リッチーの作る映画はやおいなんです」
「なにごとの不思議なけれどとりあえず二人ともデカいね」
「ところでこちらソースが三種類あるんですが」
「どんな?」
「イリソロ、ソロイリ、リバです」
「…………。迷うな……」
「皆さんそうおっしゃいます」

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アントマン
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MCUも正直作品増えすぎて混乱してきた」
「こちらは新規参入ヒーローですので新鮮な気持ちで召し上がれるかと」
「他のMCUヒーローとも何か味わいが違うような……」
「そうなんです。今回の主人公はアラフォーのバツイチ前科者無職なんです」
「いいとこ無しだ」
「でもポール・ラッドですから」
「可愛くてコミュ力高ければ無職でもなんとかなるっていうことだね」
「その2点が無かったらけっこうな大惨事になっていた話でもあります」

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ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム

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「珍しいねえ、コースの終盤にアニメーションが出てくるなんて」
「こちら、娯楽映画に必要なもの全てが詰め込まれてますから」
「ええ〜? ひつじでしょ?」
「言葉はいらない。どうぞまずは一口」
D
「Baaaaaaaaaaaaa!!!」
「Ba〜〜〜〜〜」
「Baaaaaaa。Baaa」
「Baa」

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夜間飛行
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「知らないタイトルだなあ」
「東京国際レズビアン & ゲイ映画祭で上映された作品ですんで。ソフトも今のところ出ておりません」
「これがシメに来たのはなんで?」
「お恥ずかしい話なんですが、これについてはあまり多くを語れないんですよ。ただ、ちょっと自分の若いころに重ねてしまいましてね」
「へえ……」
D
「考えてみれば知り合ってだいぶ経つけど、大将のことあんまり知らないなあ」
「飯屋のおやじとお客さんの関係ですから」
「そうなんだけど、それもなんだか寂しいね。大将、奢るから今日は飲もうよ」
「大晦日の相手があたしでいいんで?」
「うん。なんだか身近な人と話したくなるシメだった」
「そうですか。じゃあ遠慮無くいただきます」
「来年も宜しく、大将」
「お客さん……」

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 来年も何卒よろしくお願いします。少しシンミリとシメてしまって恥ずかしいので、銭ゲバらしく自著のアフィリンクを貼っておきます。春には新作も出るので買ってね!