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「通パン」のススメ 〜楽しいパンの通信販売ガイド〜
stayhomeの昨今、みなさまいかがお過ごしでしょうか。インドア派の私としましてはそんなに大きなストレスを感じずにも済んでいるのですが、ひとつだけ不満があるとすればそれは「食」に関してです。外食はもちろんのこと、パンの選択肢が自宅近辺に限定されてしまうのは甚だ苦痛!
そこで探してみたのがパンの通信販売、いわゆる「通パン」です。掘り下げてみるとこれがけっこう楽しくて、今はそれなりに楽しく暮らしています。今回を機に通販を始めた店もあり、なかなかの充実した選択肢となっておりますので、みなさまにもぜひご紹介したく思い、以下に列挙してみました。だいたいオススメ順です。
パンデュース(大阪)
PAINDUCE
[プラットフォーム]BASE
[決済方法]クレジットカード
[配達目安]2週間程度
大阪の名店・パンデュースでは、以前よりフードロス問題に取り組んでおりまして、その一環として通販していたのがこちらの商品。店舗で売れ残ったパン、およそ5000円分相当を詰め込んだ冷凍パンセットです。ものすごいボリューム! バリエーション豊富で食べていて飽きません。うまいこと解凍&リベイクできればほぼできたてのおいしさ。通パンではリッチなお惣菜パンや菓子パンに遭遇できることがあまりないのですが、このセットにはたくさん入っております。商品の特性上、いつ送られてくるのがわかならいことだけが難点でしょうか。現在は10〜14日ほど待つようです。しかしその価値はありますのでぜひ。
ブリコラージュ ブレッド&カンパニー(東京・六本木)
Bricolage bread & co.
[プラットフォーム]カラーミーショップ
[決済方法]クレジットカード
[配達目安]1週間程度
大阪のレ・シュクレクール・岩永シェフと東京のレフェルヴァンソス・生江シェフのコラボレーションによるパン屋さん。2018年の開店当初より話題となりまして、今や東京を代表する名店となっております。かめばかむほどに味わい深い、国産全粒粉の力を感じさせるパンがぎっしり詰まっていてとってもお得! 特にオススメは写真右下の「パンドミプレミアム」。備考欄にリクエストすれば希望のパンは入れてくれるそうなので、ぜひ書き添えてみてください。店頭にはいぶりがっこを使ったものなどの個性的なパンも並んでおりますので、この騒動が収まった暁には六本木のお店にもぜひに。オーダーから配達まで安定しているのもありがたい。
パーラー江古田(東京・江古田)
[プラットフォーム]Google フォーム
[決済方法]銀行振込
[配達目安]3〜7日程度(発送日指定)
パン好きで知らない人はいないというこちらの名店も、この機会に通販を開始。ただしかなりイレギュラーなので、お店のFacebookページ、もしくは原田浩次シェフのFacebookをフォローして、まめにチェックしてみてください。運が良ければ注文できます。圧倒的な力強さを持つパンは、朝食はもちろん、ごちそうのお供や、ワインのおつまみとしてもぴったりです。
セテュヌ ボンニデー(神奈川・登戸)
C'EST UNE BONNE IDÉE!
[プラットフォーム]BASE
[決済方法]クレジットカード
[配達目安]1週間程度
「365日」杉窪シェフのプロデュースによる向ヶ丘遊園の超人気店。店名は英語で言うと「That's a good idea!」と言ったところでしょうか。正統派のフランスパンがぎっしり詰まったお得なセットです。それにしても見事な詰めっぷり! 味はマイルドにしてソフト。とても優しい雰囲気のパンなので、お子さんがいるご家庭にもぴったりです。しばらく前までは簡単に注文できたのですが、最近は人気が出てしまったようで、月曜10時のオープンとともに即売り切れてしまうようになりました。
ル・シュクレクール(大阪)
Boulangerie Le Sucré-Coeur
[プラットフォーム]カラーミーショップ
[決済方法]クレジットカード
[配達目安]2週間程度(発送日指定)
前出のブリコラージュを手がけている岩永シェフの本拠地。現在いろいろと模索中だそうで、形態は変わるかもしれませんが、どのパンもおいしいのでぜひお試しください。最近出たクグロフもおいしそうでした。あと岩永シェフは文章もおもしろいので、Facebookページやブログをチェックしてみてください。
トシオークーデュパン (東京・都立大学)
Toshi Au Cœur du Pain
[プラットフォーム]BASE
[決済方法]クレジットカード
[配達目安]1週間程度
都立大学の人気店もこれを機に通販をスタート。骨太なフランスパンのセットです。おまけのラスクが嬉しい。
ポルチーニ(大阪・福島)
PORCINI
[プラットフォーム]BASE
[決済方法]クレジットカード
[配達目安]1週間程度
こちらも大阪の有名店。まだ冷凍中で食べておりませんので後日追記します。
パリットフワット(東京・千駄木)
[プラットフォーム]Creema
[決済方法]クレジットカード
[配達目安]数日〜1週間程度
千駄木の個性派パン屋さん。野菜たっぷりで子どものおやつにもちょうどよいです。
ヒンメル(東京・大岡山)
HIMMEL
[プラットフォーム]自店サイト
[決済方法]クレジットカード、銀行振込など
[配達目安]1週間程度
東京を代表するドイツ系パン屋さん。写真撮り忘れました…。フランス系のパンもあります。注文時にカットの方法まで指定できるのが嬉しい。「通販おためしセット」(3,650円・送料無料)など。
以下はまだ注文したことはないけれど、チェックしているお店です。
空と麦と(東京・恵比寿)
[プラットフォーム]メール
[決済方法]不明
[配達目安]不明
SSの志賀シェフがプロデュースするお店。Facebookページの投稿に通販している旨あるのですが、詳細は不明。「パンセット」は2,500円+送料、もしくは4,000円+送料のものがあるそうです。近くの美容院に通っているのでたまにお店にも行ってみるのですが、滅多に開いてません。
シニフィアンシニフィエ(東京・池尻大橋)
Signifiant Signifié
[プラットフォーム]自店サイト
[決済方法]クレジットカードなど
[配達目安]1週間程度
問答無用の日本を代表するブーランジュリー。通販はだいぶ前からやっていましたが、やはりこの騒動で注文が殺到しているようです。かなり上級者向けの味なので、お子さんがいるご家庭は注意が必要。食パンとかパンペイザンなら子どもでも食べやすいかも。商品の一例として「冷蔵便:おすすめパンセット【M】」(6,480円+送料)など。
ユヌクレ(東京・豪徳寺)
uneclef
[プラットフォーム]BASE
[決済方法]クレジットカード
[配達目安]1週間程度
超人気店、ユヌクレの通販はなんと抽選式。当たった試しがありません。「uneclefのパン set」(3,293円+送料)など。
おまけとしておすすめのコンフィチュールを。常温便で送られてくる通パンってシンプルなものが多いので、塗りもの系があったほうがいろいろ楽しいと思います。
MAISON IKE(石川・金沢)
以前にDEAN & DELUCAの店頭で見つけて大好きになったコンフィチュール。フェルベールさんのもとで修業した本格派です。どれもおいしいのですが、キウイの清冽さは出色。こんなにも爽やかで、かといって物足りないわけでもなく、キウイをしっかりと感じさせるコンフィチュールは初めてです。DEAN & DELUCAのオンラインショップで購入できますので、ご興味あればぜひ。
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
私事ではありますが、ここ2年ほどは慣れない育児に日々疲労困憊しておりまして、日中は本業(書籍編集)もあるものですから、夜になるともはや副業の原稿を書く気力もなく、こちらのお仕事はやや抑えめにしていたのですね。読書量も減ってましたし。しかしさすがにそろそろ育児も軌道に乗ってまいりまして、精神的な余裕もできてきましたので、今年はこちらのお仕事も頑張りたいと思っております。なのでお仕事ください>各社。
新年一発目のお仕事は「ダ・ヴィンチ」2018年2月号の「ずっと読みたいあの人のマンガ」特集です。
特集を総括する文章を書いております。ご担当のKさんがこちらでご紹介してくれていますね。
先生方のインタビューはほんとに読み応えがあります。池辺先生がテレビ好きというのは意外なようでもあり、腑に落ちるようでもあり……。そういえばオンエアはされませんでしたが、「マツコの知らない世界」の収録中、マツコさんが「若いころの私にはテレビに救われていた時期があった」というようなことをおっしゃっていたのを思い出しました。
さて、1月6日はエピファニ(公現祭)です。私はまったくクリスチャンではないのですが、フランス菓子を愛するものとして、毎年この日にはガレット・デ・ロワをいただいております。今年は最近お気に入りのパイ専門店「M.Santa」のものにしました。
こちらのお店、学芸大のパティスリー「ジュンウジタ」の姉妹店なのですが、パイ専門店を標榜するだけはあって、パイ生地がとてもおいしいのです。スペシャリテのアップルパイとミートパイはともに絶品。薄手で上品な生地は、しかし全粒粉の風味が薫り高く、全体としては軽めの食べ心地ながら、非常な満足感を与えてくれます。アップルパイのりんごの下処理も素晴らしいんですよね。シナモンを使わずに、りんごそのものの甘さで勝負しています。ミートパイの牛肉はシェフのご実家の農場のものを使用。肉汁がしみたパイ生地のおいしさたるやですよ。お近くにお越しの際はぜひ。
『マツコの知らない世界』に出ました。
ご覧くださった方もたくさんいらっしゃると思うのですが、12月12日オンエアの『マツコの知らない世界』に出ました。いやあ、疲れた。
すごくないですかこの絵面。
遡ること3か月前、ディレクターの方から頂戴したメールがすべての始まりでありました。そこから何度もメールや電話での遣り取りを重ね、何度かお会いして、正式に出演が決まったのが10月末。11月の中旬に収録し、そして遂に先日のオンエアへと至った次第です。長かった。
正直なところテレビにはあまり良い印象を抱いておりませんでした。これまで出演させていただいた「Rの法則」(Eテレ)や鹿児島テレビの方はとても仕事熱心な人たちで気持ちよくやらせていただいたのですが、こういう仕事をしておりますとほかにもいろいろあるわけですよ。例えば某情報番組。取材依頼のメールにギャラの有無・金額が明示されていなかったので、「ギャランティの金額を教えていただけますでしょうか?」とメールした途端に、
いきなりこちらから連絡をしておいて誠に恐縮なのですが、
このたびの小田様への取材のご相談は
取り下げさせていただきたいと思います。
だって(原文ママ)。あまりにも即レスで笑いました。
あるいはとある地方局。取材依頼のメールに、「おっしゃっているのはこんな内容でしょうか?」と確認のためにいくつかの例を出したところ、その後音沙汰がなくなり、そういやあれはどうなったのだろうとふと番組のサイトを見てみたら、私がメールした内容を許可なく使って番組を作っていやがりました。しかも微妙に間違えて。
ほかにもググればすぐにわかるようなことをわざわざお尋ねになってくる御仁は高頻度で現れます。どうせノーギャラなので、一度面倒くさくなって「これ以上は答えられません」と告げたところ、「じゃあ、詳しい方を紹介してください」なんておっしゃる猛者もいらっしゃいましたね。ああ、怖ろしい。
閑話休題。思い出し怒りがつい…。
「マツコの知らない世界」のスタッフのみなさんは本当に丁寧なお仕事をしてくださいました。オファーからオンエアまでに3か月以上の時間をかけていることが、ひとつの証左となりましょう。私の意向はできる限り汲み取っていただきましたし、無理矢理に仕立てたストーリーに私を押し込もうとせず、だけどゴールデンのテレビ番組として最低限はおもしろくなるような構成を考えてくださったんです。おかげでこちらも伸び伸びと、楽しくお仕事させていただきました。この場を借りて感謝を申し上げたく思います。
オンエア後の評判もよく、一安心しております。前半の宝石の人が異常に面白かったので(笑)、非常におトクな回だったのではないでしょうか。
そしてなによりも紹介した本がちゃんと売れてくれたことが私には嬉しいのです。こちらは「トリプルWIN」という取次大手・日販のデータですが、
オンエア翌日の13日の売上が盛大に跳ねております(グラフの数字は消しています。あと翌々日の14日のデータはこの時点では集計途中なので少なく出ております)。あれ、トリプルWINのデータって出していいんだっけ。まあいいや。まずかった言ってください>関係各位。
この仕事の最大の目的はやはり本を売ることですので、この結果はとても嬉しいものです。そしてやはりテレビの影響力は未だ大きいのだなと思い知りました。特にこの番組だったからというのもあるでしょうね。
私としてもただのボランティア精神でやっているわけではなく、ギャランティもしっかり頂戴しておりますし、なにしろ私が好きなマンガが売れてくれれば、私が好きな系統のマンガが増えるでしょうから、単に我欲がモチベーションであるわけです。なのであまり過剰に感謝しないでください>関係各位。
しかしまあ滅多にあることでもないので、今回はボーナスタイムということでしょう。私なんぞが出て良いものだろうかとも悩みましたが結果オーライです。そして再び原稿書きの慎ましやかな世界に戻るのです。というわけで今後ともよろしくお願いします。
【追伸】
ちなみに「TVer」という民放公式テレビポータルサイトで12月19日(火)20:56まで観られるみたいです。お見逃しになった方はこちらでぜひ。
『このマンガがすごい!2018』感想
今年も参加しました。
岩本先生おめでとうございます〜。
マロニエ王国の七人の騎士 1 (フラワーコミックスアルファ)
- 作者: 岩本ナオ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2017/08/10
- メディア: コミック
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作品紹介は私が担当いたしました。ちなみにこの原稿は正確なランキングがわからない状態で書かされておりますので、いま読むとなんとなく手探り感がありますね。まあ仕方ない。ほかには田中相先生の『LIMBO THE KING』の紹介も担当しております。
こちらもほんとおもしろいです。田中相先生のマンガエリートぶりが際立つ作品でもあります。未読の方はぜひ!
今年のオンナ編も個人的には納得のランキングでありました。完結したビッグタイトルが順当にランクインしているのも好印象です。詳細はぜひお買い求めのうえ、ご確認くださいませ。
岩本先生のインタビューで興味深かったのは、さいとうちほ先生が描くマンガを目標にしているという点です。あまりにも意外だったものでとても驚きましたが、しかし読めばなるほどという納得感しかなく、岩本先生のサービス精神に感服した次第であります。
これは完全に私の妄想ですが、岩本先生には『町でうわさの天狗の子』の反省がたくさんあるんじゃないかと思うのです。
『町でうわさの天狗の子』は現時点における岩本先生の最長連載作品であり、代表作であり、少女マンガの大傑作ではあるのですが、マンガ好きのあいだでは熱烈に迎え入れられたこの作品は、今のところアニメ化もドラマ化も映画化もなされておりません。
私からすればお前ら(映像関係者)の目は節穴か!と思うわけですが、いまいち不特定多数のマジョリティにまでリーチできていなかったことは確かなのでありましょう。その原因を考え抜いた上での今、そしてさいとうちほ作品を意識して描いているという『マロニエ王国と七人の騎士』があるのではないかと思うのであります。
キャラクターと世界観はますます愛おしく、その上でエンタメ感をぐいぐいと増しつつある岩本ナオ先生。ここ数年で、同時期に出てきたマンガ家さんの中でも、頭ひとつ抜け出た印象があります。伝え聞くところによると『マロニエ王国〜』は長く描く気満々であるようなので、今後もガンガン期待していきたいと思います。
鳥飼茜先生にインタビュー
たまには仕事のことも書こうと思います。大大大好きな鳥飼茜先生にインタビューさせていただきました!
超かわいかったッス…。
鳥飼先生には1作ごとに明確な狙いがあって、それはけっこうあちこちに飛んでいたりするのですけど、根っこの部分は一貫していて、どこからどう読んでも鳥飼茜作品に仕上がっているのが、本文中でも言及されている作家としての「地盤の固さ」なんだと思うのです。だから男性誌だろうが女性誌だろうが関係なくご活躍できるのでしょう。
インタビューを始めるとき、私が名刺を渡した瞬間に、名前を見た鳥飼先生はハッとした表情を浮かべて、「ずっと前から私の作品を読んでくれてましたよね?」とおっしゃったんです。これはもう本当に嬉しかったですね。
ブックレビューの目的の第一は本を買ってもらうことですが、第二には作家さんへの応援というか、世界中の99%の人間がその作品をつまらないと言ったとしても、面白いと思っている人間がここにいますよ!とお伝えしたい気持ちがあるんです。ちゃんと伝わっていたんだなあと不覚にも泣きそうになりましたよ。
といった感じで泣きそうになりながらやり遂げたインタビュー、ぜひご一読くださいませ。
【続報】「パンビー」は「フランスの家庭では定番のお菓子」ではなかったようです。
誰も気にしてなどいない謎のフランス菓子「パンビー」の出自ですが、前回のブログにはそれなりの反響がありまして、さらなる事実が明らかになりました!(空盛り上がり)
今回はそれらの新情報を簡潔にまとめておきたいと思います。
パンビーは「フランスの家庭では定番のお菓子」ではありません!
とにかく在仏邦人の方、フランス在住経験のある方からは、「そんなものは知らない」というご意見を多数いただきました。
こんにちは。パリに10年住んでいたものですが見たことも聞いたこともありません。仏語のpain bisについてのwikiによると、パンビはfarine bise(褐色の小麦粉)を使ったパンのことですね。白とコンプレの間ってことです。https://t.co/o4OsX7t8jv
— aya_tokyoite (@ayayamamoto) 2017年10月24日
フランス発の定番お菓子、パンビー???在仏18年になりますが、、、聞いた事ないですねぇーーー😒😒😒 https://t.co/30xVL4Ca0l
— nekonnect (@halloumie) 2017年10月24日
↓ こんなド田舎だから情報が入ってきていないだけかもしれないけれど、私個人は知らないな、耳にしたことも無い感じ。それから、本文中で指摘されている通り、見た目は完全に私の住むこの辺りの名物である タルト・トロぺズィエンヌに激似。誰か「パンビー」って知っています?
— Yumiko ASAKURA (@Yu_mi_ko_888) 2017年10月24日
こんばんは。他の方と同じく、私も見た事も聞いた事もないし、やはりパンビーなんてフランス語っぽくないよね(笑)
— くみ (@kumihori) 2017年10月25日
私も知り合いをたどってさらに複数のフランス人の方に確認しましたが、やはり同様に「知らない」とのことでしたので、「フランスの家庭では定番のお菓子」というのは限りなくクロに近い情報であると判断してもよいでしょう。 それどころかフランスに「パンビー」というお菓子は存在すらしないようです。
「パンビー」のルーツとなったお菓子を発見?
では「パンビー」とはなんなのか。前回のブログでは軽く触れる程度の扱いだった辻調の「パン・コンプレ」という名のパンビーにそっくりなお菓子が、なんとフランスに実在することが判明しました。こちらのフランス語のルセットをご覧ください。
ルセットの作成者には「Recette par Maurice.B」とクレジットされております。これは辻調のこの文書にあったM.O.F保持者のMaurice Boguais氏のことでありましょう。説明文を要約すると「ビスキュイドサヴォアをパンのカンパーニュみたいに焼いてみたよ。中にはムースプラリネを詰めたよ。卵黄は2個だよ。クレームフレーシュは50gだよ。ナントで見つけたよ」といったところでしょうか。
実際に配合を見てみると、750g.comでは約2倍量になっているものの、eau de fleur d'orangerやcrème fraîcheなどの入手しづらい材料がバニラエッセンスと生クリームで代用されていることを除けば、辻調のものとほとんど同じです。パンビーは「フランスの家庭では定番のお菓子」ではありませんでしたが、フランスに似たようなお菓子は存在したわけです。
しかし微妙なのが750g.comにある説明文です。「ナントで見つけたよ」とあるのですが、「pain complet Nantes」等で検索しても、これ以外の情報はさっぱり見つかりません。実際に存在したとしても伝統菓子かどうかは微妙なところですし、相当にマニアックなお菓子だと思われます。
「パンビー」と「パン・コンプレ」のミッシングリンク
ではパンビーとパン・コンプレは同じお菓子なのでしょうか。前回のブログで触れた藤野賢治シェフの「パン・ビー」と配合を比較してみますと、
(1) 粉の一部にコーンスターチを使っていない。
(2) ムースプラリネではなくクレームディプロマットを使っている。
といった違いがあります。しかしこれは藤野シェフが意図的に変更した可能性も否定できません。なにしろともにカンパーニュに似せたと明言しておりますし、挙げ句のこのそっくりな外見です。Maurice Boguais氏のpain completを見た藤野シェフが日本人に作りやすいようアレンジしたお菓子がパン・ビーだった……そんなシナリオが浮かんできます。
しかしこのミッシングリンクを埋める情報はまだありません。ここさえわかればすべて解決なのですが……。
なぜパンビーは「フランスの家庭では定番のお菓子」であるとされたのか?
今回の調査により、パンビーのレシピは1980年代後半から2010年ごろに至るまで、断続的に書籍等で紹介されてきたことがわかりました。この本にも小黒きみえ先生のレシピが掲載されているようです。
それが2015年ごろになって、誰がなにを勘違いしたのか、「パンビーはフランスの伝統菓子」「パンビーはフランスの家庭では定番のお菓子」だとする情報が出回って(もしかしたら本か雑誌かに書かれていたのかもしれません)、ネット内で増殖したのではないか? ……といったように現時点では予想しています。
今年になってなぜ再流行し始めたのかもよくわかっていません。まあでもおいしそうなお菓子なので、レシピが広く知られるようになるのは結構なことだとは思うのですが、お菓子の歴史や文化的背景はしっかりと正確に記述してもらいたいところであります。ご協力いただいたみなさん、本当にありがとうございました! 現場からは以上です。