仮想化でプリセールスしてるSEの一日

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デスクトップ仮想化 (VDI) - 日本に適した製品は? (2)

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(この記事は私が実案件を通して感じた VDI の実情ですが、個人的主観も含みます)


日を開けてしまってすいません。
前回のとおりMicrosoft VDIの次期バージョンは脅威ですが、とりあえず現状としては VMware View と Citrix XenDesktop の2択でしょう。

しかし、この2つは同じ「VDI 製品」でありながら、目指している方向性が大きく異なり、どちらが優れているといったことは一概に言えません。「ユーザー視点」「管理者視点」「導入までの障壁」から、どちらのコンセプトが自社に適しているか判断することになります。

  • VMware View: サーバー仮想化の延長線。ユーザーの柔軟性重視し、PCの完全置換を視野。
  • Citrix XenDesktop: 動かないアプリの多い SBC *1 の打開策。管理者による統制と効率化を重視。

ユーザーに好きなアプリを利用させる??

お客様の一番の決定打となるのが「ユーザーに好きなアプリを利用させるか否か?」です。
VDI の導入を企画すると、

  • ブラウザくらい使い慣れたものを自由にインストールさせて欲しい。
  • メモ帳はエディタとして機能不足なので 秀丸TeraPad をインストールしたい。
  • 付箋アプリをインストールすると仕事効率が上がる。

といった要望がユーザー側からほぼ必ず来ます。
情シスの方も使い慣れたソフトウェアがあるでしょう。(私も秀丸は手放せません)

実は、View と XenDesktop の数ある方式の中で、この要望を普通に満たせるのは「View Composer を利用しない VMware View」のみです。他の製品/方式は、次のような問題で結構厳しい現実があります。


View Composer
w/o Composer
特に問題なし
View Composer
w/Composer
×マスタイメージの更新の度にCドライブがリセットされ、インストールしたアプリが消されるため厳しい。
XenDesktop
w/o PVS
×Sysprep と連動した仮想マシンのクローンが行えず、初期構築や日々の運用が相当厳しい。
XenDesktop
w/PVS Standard Mode
×Citrix 社の推奨構成(下図)だが、ネットカフェのPCのように、リブートの度にPCの内容がリセットされ、インストールしたアプリが消されるため厳しい。
XenDesktop
w/PVS Private Mode
×ディスクの実体をネットブートサーバーが持つため、すべての読み書きが全部ネットワーク経由となり性能的に厳しい。



逆に「管理が行き届かなくなるので、ユーザーは管理者の定めたアプリしか使わせない!!」といった完全統制型の運用を検討しているのであれば、それこそが Citrix の目指す世界 であり XenDesktop も候補に残ります。この考え方は SBC のコンセプトそのものです。MetaFrame は米国で成功しましたので Citrix は自信があるのだと思います。
しかし、PC 環境に対するこだわりが強い日本では、SBC はユーザー側の相当な猛反発を受けるケースが多く、あまり流行りませんでした。同じコンセプトで設計されている XenDesktop は果たして日本に受け入れられるのでしょうか...


「ThinApp や XenApp と併用すれば?」というご意見については次回回答します。

*1:Server Based Computing の略。Terminal Service や Meta Frame/CPS/XenApp のこと