丸い実

見る角度にもよって突き出た方から見定めると、その実は花の寄り集まった段階で均整のとれた球体をしている。

この木がそうかなと夜にふたたび通りかかると、果たして木は寝ていた。

草木が作り出す果実は次世代に送られた手紙であるので、手紙を守る封筒はもっとも表面積の少ない球体であったり、反対に風に身をまかす造形意図をもったりする……と、まことに多くの葉を夜に閉じた葉が言っている。