『記憶力を強くする』

今日は新しく本を読んでいる暇がなかったので*1昨日の続きで池谷裕二さんの本を引っぱり出してくる。

この本、タイトルだけ見ると記憶術系のノウハウ本と勘違いされそうだし、ブルーバックスなところから記憶力についてゆるく科学的な洞察してるのかとも思えるけどそれとも違う。
著者の専門である海馬を中心に脳科学の最前線を紹介しつつ、科学的に記憶の仕組みを解説していって、そこから記憶力が強くなる仕組みがわかるという感じの記述になっていて、ノウハウではなく科学でもって実践的な形で記憶力を(それも意識して)強くすることができるということが書いてあってありがたい。
そもそもこの本をはじめて読んだときのことを思い出すと、糸井重里との対談『海馬』を読んだとき*2わりと面白かったのでそのつながりでまとめて買ったんだった。が、こっちを読んでみると「わりと」面白いなんてもんじゃなく、むちゃくちゃ刺激的でこの著者の力に驚いた。正直言って『海馬』のときは糸井重里がいたがために語り口に制限が出てしまって、本来の面白さを発揮できなかったんじゃなかろうか? それまで糸井重里の対談相手の書いたものが対談より面白かった経験はほとんど無かったのでびっくりというか新鮮というか。
久しぶりに眺めてみると、この本が書かれた頃にはよくわかっていなかった事実であって、それから『進化しすぎた脳』までの間で新たに判明したものがいろいろとあることがわかる。しかもそれを高校生相手に解説していたりするわけで、あらためて『進化しすぎた脳』という本と著者のすごさに感嘆する。

*1:今月は毎日必ず1冊の読書か本の紹介をしようと勝手に決めている

*2:このときもかなりいい加減な記録しか書いてないことがいま発覚