Hatena::ブログ(Diary)

踰矩ブログ(耳不順を改め) RSSフィード

 2016年の新年に当り、弊ブログのタイトルを変えることとした。論語の「70にして心の欲する所に従い矩を踰えず(のりをこえず)」をもじり、矩を踰える趣旨で「踰矩」ブログに変える。音読みで「ゆく」、訓読みで「のりこえ」と読んでほしい。今までの「耳不順ブログ」にもそれなりに愛着があり、また、継承関係を示す意味で、「踰矩ブログ(耳不順を改め)」とかっこを付けた。  趣旨の詳細は、2016年1月1日付けの記事で説明してあるが、要するに、長いサラリーマン生活を終え、60歳、70歳になって気ままに過したいということだ。
 本ブログは、2006年頃から非公開で書き溜めていたものを2010年に公開し、その後諸事に関する私の雑感を綴ってきた。タイトルの「耳不順」、「踰矩」に従い、偏った視点でと思ってきたが、そのことより、長い、くどい、話題が固いと評判が悪い。
 本ブログにコメントが寄せられても、有難いことだが、かねての方針通り、原則として耳を傾けない(順わず)こととします。マナー違反にご容赦のほどを。(2016年1月記)
 似顔絵の経緯は、2011年12月11日のブログを参照。 [累計アクセス数統計については、2017年8月7日以降、はてなダイアリーのカウンターサービスが廃止となった。]

2011/03/10 (木)

[]東北新幹線はやぶさ

1) 東北新幹線

 東北新幹線が2010年12月4日に新青森まで開通した後、新しいE5系電車が2011年3月5日(土)から運用を始めた。愛称は「はやぶさ」。翌週8日 (火)に仙台へ出張の機会があり、帰りに乗ることとした。当初は、東京新青森間2往復、東京仙台間1往復しかない。今回利用できるのは、午後7時49分仙台東京行きだけだ。仙台での業務は5時半頃終ったので、発車まで適当に時間を潰した。

 はやぶさは、従来の東北新幹線の時速275劼鮠絏鵑觝嚢盪速320劼鮓悗襦ただし、当初は300/hで運転とのこと。エメラルドグリーンの車体色とカモノハシのようなロングノーズの先頭車両、超高級シートのグランクラスなど、話題が多い。

2) JR各社の新幹線

 九州新幹線鹿児島中央まで開通して、はやぶさの1週後の3月12日に、新しいN700型が登場する。愛称は、みずほさくら。白い流線型でこれもスマートだと思う。同じN700系だが、既に東海道新幹線のぞみで走っているものとは外観が少し違う。JR九州が開発したらしい。N700系や先のE5系の写真については、例えば、http://www.toretabi.jp/train/vol46/01.html

 こうなると、JR東海新幹線の車両のデザインだけが、JR東日本JR九州のものに比して見劣りがすると思う(私の感想)。1年半ほど前のJR総研の人の講演を思い出した。

JR東海の若い社員がJR東日本に来て、いろいろ車両を見た後、上司から感想を聞かれた。「いろいろデザインが多彩で素敵ですね」とその社員が答えたら、JR東海の上司から「愛社精神が足りない」とたしなめられたそうだ。

 余談だが、JR各社は本当に仲も悪いし、連携も悪い。JR東海ウェブサービスのエクスプレスで予約した切符はJR東日本の駅では受け取れない。都内で受け取れるのは、東京駅品川駅新幹線の改札口の所か、駅を出た丸の内のビルの中だ。私は大新宿駅の緑の窓口で何時も文句を言っている。昔は、駅員もしょうがないでしょうと開き直りスタイルだったが、最近は、本当にご迷惑をかけていますとの感じで謝ってはくれる。統一されていない例の1つは、新幹線の中での検札を、東日本は全くしないが、東海道新幹線では念入りにやっていることだ。

3) はやぶさ

 閑話休題はやぶさグランクラスは満席だったので、私は普通席に。がっかりしたのは、座席の前の物入れだ。かねて東北新幹線の座席の前の物入れには不満だった。というのは、袋でなく、水平方向のベルトで書類などを留めるだけなので、小さなもの、例えば空き缶やお菓子の袋など入れることができず、甚だ不便だった。 f:id:oginos:20110308205426j:image:right:medium

はやぶさでは網袋になっていて、一応改良はされたのだが、その網袋が小さい。週刊誌程度でも上につかえて、机の面の上げ下げに難儀する(右の写真)。

 その他チェックしようと思っていたが、乗車前の時間つぶしに飲んだアルコールのせいか眠ったので、できなかった。乗り心地(眠り心地)は快適だった。

以上

2011/03/06 (日)

[]著作物の無許諾引用について

 年度末3月の各調査団体は、調査報告書の作成で忙しい。私が所属している団体のある調査委員会で、報告書に他の文献からの図表等を引用する場合に、元の著作権者に許可を取らなければいけないかとの質問が出た。私としては、一定の要件(後述)を満たしていれば、無許可でも引用は可能と理解していたので意外だった。それを言ったら、委員の中でそんなことはないだろう(許可が必要)との顔をする人が多いので、調べて見た。

 以下、1)幾つかの学会学会誌における引用の取扱いの違いを紹介し、次いで、2)引用についての一般的な解説、3)禁転載の表示の効果、などについて述べる。なお、以下の文で「許可」と「許諾」(著作権法では「許諾」)の語を特に使い分けているわけではない。

1) 学会誌における禁転載表示と引用の取扱い

 多くの学会誌において、論文著作権は、執筆者から学会譲渡されることとされており、また、学会誌には、学会の許可なく掲載論文の転載を禁ずる旨の記載がある。この転載に引用を含めるか否かについて取扱いに差がある。

(例1) 日本機械学会

 学会誌の奥付のページに、「本誌に掲載されたすべての記事内容は、(社)日本機械学会の許可なく転載・複写することはできません」とあり、その下部のコラム「複写される方へ」に、「複写以外の許諾(引用、転載、翻訳等)に関しては、…直接日本機械学会へお問い合わせ下さい」と表示されている。

 更に、機械学会論文の執筆要綱(学会論文を提出する研究者への指針)中*1には、次のような規定がある。

(4)他者の著作物を引用(転載)する場合は,著作権者から著作物利用について許諾を得る必要がある.

1)他者の著作物の引用できる限度(許諾を要しない場合)

法律では「正当な範囲内」において引用してよろしいとだけ規定されているので,具体的な引用が,公正な慣行に合致した正当な範囲内のものかどうかは,社会通念にしたがって判断される.また引用とは,・・・

2)引用にあたっての注意

他者の著作物の図・表・データ等を引用する際には,必ず文書によって著作権者に許諾申請を行うものとする.

 すなわち、1)で許諾を要しない引用を認めながら、2)で図・表・データ等の場合は、許諾を取れとしている。このことの問題点については、4)で詳述。

(例2) 航空宇宙学会

 学会譲渡された著作権の複製、転載についての許諾に関する規定はあるが、引用には触れていない。執筆要項においては、引用の場合、図表のキャプションに引用元を記載すべきとの規定*2があるのみ。

(例3) 情報処理学会

 「著作権に関するよくある質問」*3中に、「引用の範囲であれば著作権者に許諾を得ることなく、図の脚注に出典元を明記するだけで利用できます。具体的には図を1,2点程度であれば、一般に引用の範囲とみなされるようです。・・・」とある。

 以上を見ると、機械学会が引用(特に、図、表、データ等)について著作権者の許諾を取ることを条件にしているのに対し、航空宇宙学会は明示的に触れていない。情報処理学会が、著作権者の許諾不要な引用を明示的に認めている。

2) 引用についての一般的な解説

引用についての、著作権法上の規定(第32条第1項)は、次のとおり。

「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない。」

 同条には、引用の要件として、公正な慣行の他、a)目的上正当な範囲内が上げられている。公正な慣行等については、最高裁判例等から見て、次の3つの要件が必要と言われている。

b) かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されている(明瞭区別性)。

c) 自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確である(自分の著作物が主体)。

d) 出所の明示がなされている。

 「公表」については、次の注意点もある。

e) 引用は、「公表された著作物」の場合で、メールや企業の内部資料等の場合は、これには該当しない。

f) ホームページに掲載されているものが「公表された著作物」に当るかについては、かねて議論があったが、多分問題はないと思う。ただし、引用の場合の出所の表示の仕方としては、Webサイトの名称、URLに加え、参照年月日を記載されることが推奨されている(Webサイトはしばしば更新されるから)。

3)「禁転載」の表示について

 多くの学会誌において、「掲載論文の許可無き転載を禁ずる」との表示がされており、引用もこれに含めている場合が多い。これに対しては批判があり、例えば、「禁引用ないし禁転載という一方的表示は、契約関係に無い一般の引用者に対して、法的には意味の無い記載」だとの学説*4がある。

 また、今回見つけた文化庁ホームページでも、「公表された著作物は「引用」して利用することができます(第32条第1項)ので、この規定に該当する利用であれば、仮に「禁転載」等の表示があったとしても、著作権侵害にはなりません」と説明している。*5 

 ポイントは、「転載」とは、法定の著作権の1つである「複製」の1つであり、著作権者の権利である。これに対して、「引用」は、著作権法第5章「著作権の制限」中に規定されていることから判るように、著作権者の権利ではない。世の中で、「転載、引用」と並べて記載されることが多いが、法律上は別、ないし逆の概念であり、誤解を招き易い表現であろう。

4) 機械学会の「引用」に関する取扱いへの疑問

 先に例として上げた機械学会の方針については、次の問題点があると考える。なお、機械学会だけがこのようなことを規定しているわけではなく、また明文化していなくても、運用面で、論文執筆者に引用の許諾を要求している学会もある。

a) 法律上認められた無許諾引用の権利について、学会誌の論文の利用者に対し、及び学会誌に投稿する執筆者に対して、否定している。

b) 表、データは、それ自体としては著作物ではないとするのが一般的な理解である。それなのに、論文執筆者に対し、その引用(?)について、著作権者の許諾を求めているのは、不可解である。

c)  図(図形、写真)は、全てが著作物ではなく、著作物としての一般要件(思想、感情の創作的表現等(著作権法第2条1項1号)に合致するものでなければ、著作物ではない。それなのに全ての図について許諾を求めるのは、前項の表、データと同じく不可解である。写真について説明すると、物を単に撮影した写真は著作物とはされない(著作物とされる写真の著作者は撮影した人)。ただ、撮影される物について意匠権などの権利はあり得るが、著作権とは別の問題。また、前項で、表は著作物でないと述べたが、表の作成に創作性が認められれば、著作物となる。

 まとめれば、(a)そもそも著作権が無いもの、また(b)無許諾引用が認められるものについて、著作権者からの許諾を要求(しかも文書で)しているということである。

 多くの他の学会でも見られる、この許諾を求める慣行の問題点と私が推測するそれの背景については、また項を改めて述べたい。

取りあえず、以上

*1:機械学会「執筆要綱」A 2・3(4) p.3の上から数行 http://www.jsme.or.jp/publish/ronbun/JSME_Manual_20100730.pdf 2011/3/4参照

*2:航空宇宙学会「執筆要項」 2ページの11 h http://www.jsass.or.jp/web/modules/wordpress/attach/ronbun-jsass09.09.28.pdf 2011/3/4参照

*3情報処理学会著作権に関するよくある質問」 http://www.ipsj.or.jp/01kyotsu/chosakuken/faq.html 2011/3/4参照

*4中山信弘著作権法」(有斐閣、 2007年)262ページ

*5文化庁著作権Q&A」http://chosakuken.bunka.go.jp/c-edu/answer.asp?Q_ID=0000268 2011/3/4参照