よい子のみなさんごんぬずば。
今世紀最大の霊能者といわれている巨椋です。
みなさんは、この世に存在するすべての物に魂が宿っているということをご存知でしょうか?
特に古くなったものや、長く使っているものは、魂が主張したりします。
例えば、有名な『からかさお化け』や、『いったんもめん』、『ぬりかべ』などもその代表格といっていいでしょう。
なんつっても、『からかさお化け』は、古くなった傘ですし、『いったんもめん』は、ただの布、『ぬりかべ』なんかただの壁ですから。
こういったどこにでもある『物』でも、人語を解し感情があるんですよ。
ぼくの部屋にも、いろいろと古くなった物がありまして、喋ったりするんです。
古い湯沸しポットなんて、お湯を出すとき
「げろげろげろげろ」
とかいいながら、お湯を出すもんですから、腹が立ってきます。
10年使っているデスクライトは、ときどき
「やってらんねえや!」
って、言った後に、プツンなんてフィラメント(電球の中にある線)を切ったりするんですよ。ライトに
「てめえ、甘い顔をしているといい気になりやがって! LEDの新型に買い換えるぞ!」
って怒ると
「だんなさん、ゆるしてください、ゆるしてください。これからも、一生懸命勤めますから」
なんて泣くもんですから、かんべんしてやってますけどね。
本なんか扱いが乱暴なせいか
「だんなさん、や……やさしくしてください」
とか
「そっとめくってください」
とか、うっかり指に唾なんてつけてページをめくると
「イヤ〜ン、濡れちゃう、濡れちゃう〜」
とかひいひい言ってます。
最近ちょっと困っているのが、敷布団とヤツが、
「一度でいいから掛け布団になりたい」
って言ったり、靴のヤツが
「いつも踏みにじられてくやしい」
なんて文句を言い出しましてね。
だからぼくが、敷布団の下にもぐり込んでいたり、靴を頭の上に乗せているからって変な人と思わないでくださいね。
物を大切にしている証拠なんですから。
巨椋修(おぐらおさむ)拝