どなたか可読性の研究者をご存知ないでしょうか

この場を借りて皆様にちょっとしたお願い。可読性(readability/legibility)について研究されている方/機関をご紹介いただけないでしょうか。マイクロソフトが、自社製日本語フォントの開発で得た可読性や視認性研究の成果を、日本人研究者に渡したがっているのですが、彼等は適当な人物/機関を探せないでいるようなのです。


話は先月16日にあったマイクロソフトのプレスセミナーにさかのぼります。ぼくの原稿ではあまり触れられなかったんですが、その席ではマイクロソフトメイリオ開発にあたり、いかに多様な実地テストを繰り返したのかということが強調されていました。長い文、短い文、さまざまなタイプフェイス(もちろん日本語文です)、色々条件を変えて被験者に読ませ、どんな要素が可読性/視認性に寄与するかをテストしていったそうなのです。

じつはだいぶ前、ちょっと必要があり日本語文の可読性研究について調べたことがあったんですが、その時に見つかったのは何十年も前の国語研のものがせいぜいで、ごく最近の研究成果というものは見つけることができなかったんですね。

そんな経験があったもので、セミナーが終わった後、その場にいた一番上席の幹部であるグレグ・ヒチコック氏に通訳を介し「あなた方の研究成果を、日本人が読めるような形で公開する積もりはないのですか?」というような質問をしてみたんです。

するとヒチコック氏は「いや、じつは我々としても日本のしかるべき研究者や大学などに渡したいと思っているが、それについて情報を持っていないのだ。もしきみが知っているなら、ぜひ教えてほしい」というようなものだったんです。

おお、こりゃラッキー。研究成果を外に出す意志はあるわけだ。それに今あるものをそのまま公開するより、研究者に渡してさらに深めた成果を公開してもらった方が、かえって好都合かも。そこで喜んでお調べしますと答えて帰ってきたわけですが……。これは安請け合いも甚だしかった。

最初はなんとなく可読性とか視認性は日本語学の守備範囲のように思っていたのですが、よく考えたら心理学の領域なんです。そしてぼくはこの方面の知り合いは皆無。仕方ないから、うちの本棚の中ではわずかにあった「読み―脳と心の情報処理」(朝倉書店 1998年)を取り出し、この本の著者たちの論文を国会図書館で検索してみたんですが、どうもこの方々は最近読みに関する研究は公開していない様子。

他にもご存知でありそうな何人かに聞いてみたのですが、はかばかしい成果はありませんでした。いやあ困ってしまいました。そこでこの場でお願いする次第。もしもご紹介いただいたら、ぼくが責任をもってマイクロソフトの担当者につなぎます。コンタクトが十分にとれた時点でぼくは身を引き、あとはマイクロソフトと直接交渉していただくことになるでしょう。マイクロソフトにつなぐにあたり、僕の条件はただ一つ。渡された研究を使った成果を、広く皆が読めるよう公開していただくことだけです。

こういう事情なのですが、どなたか心当たりはありませんでしょうか?