羅生門をみた

 WOWOWでやっていたクロサワ映画祭りみたいな企画、その最後にコレをやっていました。

羅生門 デジタル完全版 [DVD]

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 芥川龍之介の短編『藪の中』をネタとして書かれた脚本ですが、細部とオチが違います。原作は幽霊の言った事が本当だった・・・はず。
 しかし、ここまで史上ヘタレな殺陣はないんじゃないかと思うような、凄い立ち回りをみてしまた。盗賊の回想シーンでは格好いい殺陣シーンだっただけに、そのヘタレ具合が尚更引き立ち、しかも三人の男と女のやりとりが、三人三様に脚色された後に暴露された真実が、情けなくて浅ましくて、最初目撃者の樵が「解らねぇ」といっていた意味が謎が解けないという意味でとらえていたのですが、これは人間が解らないという意味だと解ったのは、今朝になってからでしたっ!(遅
 人間の浅ましさばかりを描写したのではなく、最後には羅生門に捨てられていた赤ん坊を「六人育てるも七人育てるも一緒だ」と引き取っていく樵。その前に人間を笑い、厄介ごとに関わりあう事を恐れて真実をしゃべらなかった樵を笑い、捨て子が包まっていた値のはりそうな衣服を剥ぎ取って去っていく訳知り顔の乞食まがいの庶民の男を見ているだけに、臆病だけれども善良な彼の行動に救いを感じます。
 このシーンがあるから映画賞を取ったのかなぁと思いました。三船敏郎京マチ子のアップで羅生門紹介される事が多いものですから、まさかこういうオチになっているとは思わなかった。
 自分的には悲劇的なラストシーンの『乱』や『影武者』よりも、こちらの方が好きですネ。