ぢゃあ今度は小難しいの

 図書館で借りて読んだものですネ。

 エジプト系ではなく、アレキサンドロス大王の将軍だったギリシア系のプトレマイオスが開始した王朝ですが、まぁ古代エジプト最後の独立王朝ですね。最後の王が、超有名なクレオパトラ女王です。
 日本人には馴染みが薄い地域であり時代であるのですけれども、このマケドニアのアレキサンドロス大王が死没した後の『後継者戦争』はなかなか面白く、三国志にも匹敵する権謀術策と無常観があります。だって戦争の初期の主役たちは愚か、その後継であるギリシア系の諸王家の誰一人として勝者にならず、最終的な東地中海の覇権は西地中海の覇者、古代ローマの手に帰す訳ですから。
 曲がりなりにも魏の臣下だった司馬氏が統一した『三国志』以上の無常感ですよねー。
 そのプトレマイオス朝エジプトは四代目ぐらいから退廃し、衰退したよー、というのが通説なんですが、それじゃあ二百年以上衰退期なのかよ?という疑問が起こる訳で、その間の王権というものが、どのように維持していたのか?という論文です。ただし前期、後期に関してであって、末期ではないのですが。
 ヘレニズム、つまりマケドニアギリシア人たちの王たちは、王の軍事的才幹によってその地位を保持していました。まぁ東地中海から中東、インダス河畔まで征服したアレキサンドロス大王の後継者たらんとした人々ですから、当然ですわな。ところがプトレマイオス朝二代目のプトレマイオス二世はそういう軍事的才能に恵まれなかったし、戦果をあげる機会にも恵まれなかった。
 じゃあ、という訳でエジプトにアレキサンドロスの亡骸を埋葬したという事もあって、彼がディオニソスの末裔であり、自らもその系譜に連なり、また現世に具現した姿として演出する事により、王権を維持した、という説でして、決して退廃も衰えてもいないよ?という話。
 読んでいて何分の一も理解したとは言えないけれども、王権を維持する為だけの装置としては優れていたようです。
 ローマに対する外交的失敗さえ犯さなければ。というかクレオパトラがとち狂わなければ。
 そんな本でした。はい。