しまゆた翻訳日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2006-12-11 人類の記憶 このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

 一人の人間の胸の中には、全人類の記憶が宿っている。

 とプラトンが言った、と隆慶一郎が言う。

 そうしてかれは、

「おのれの染色体に染みこんだ、

古代人の記憶を掘り起こす作業」

を飽きもせず、死ぬまで続けた。


 アショーカが行っているのも、まったく同じ作業だ。

プラトンの仲間たちが語りつたえた

イリアス』『オデュッセイア』に全人類の記憶が宿っているごとく、

アショーカが仲間たちとともに語りつたえる

ラーマーヤナ』にも全人類の記憶が宿る。


 遠藤周作井筒俊彦との対談で言っている

「物語の原型」

も、同じことだろう。


 つまるところ物語を語るとは、

「おのれの記憶の中に深く深く潜りこ」んで、

全人類に共通する、

古代人の記憶を掘り起こすことに他ならない。


 『一夢庵風流記』の前田慶次郎が素戔嗚尊の末裔ならば、

ラーマもまたスサノオである。

 いや、スサノオもラーマも、同じ人間の別の顔である。