2011-11-03 解き放たれた核という呪い、サヨナラノツバサ、広瀬隆 
締め切りに追い回されているうちに、こんなに時間が経ってしまった。
今出ているだろうと(思われる)のは、ええと、何点なんだろう。
『怖い噂』では前回の続き、『解き放たれた「核」という“呪い”』という記事を書きました。福島の原発事故について、特にその心理的な面について取材しながら書いたものです。いわば精神的な被害ですね。次はこの呪いが、どのようにPTSDを作っていくのか、福島の現実を取材しながら、JCO事故の際の自分の母親と比較しながら書いてみたいと思います。
『原発の深い闇2』では、広瀬隆氏のインタビュー「年間被曝線量を操る被曝マフィア」という記事の聞き手と構成をやりました。被曝がいかに隠蔽されてきたのか、その歴史が知りたくなったものですから。
実は僕は広瀬隆という作家をあまり信用していなかったんですが(というのもいつも話がでかすぎるので)あってみたら子煩悩、孫煩悩のキュートなじいちゃんでした。女子中学生(?)のお孫さんがすごくかわいくて、娘さんは見なかったんですが、ああ、俺もこういうかわいい娘や孫娘がいたらああなるだろうなと思ったしだい。死んでも被曝なんかさせたくない。
別冊のシリーズでは、今後も被曝、健康被害、精神的被害の隠蔽を暴いていこうと思います。
「サッカー批評」では元なでしこの高倉麻子さん。このひとは代表チームのキャプテンをやっていた人ですけど、その人にしても女子サッカー選手の引退後は厳しいみたいです。そんな環境から世界一になったんだからすごいですね。
他にも書いたと思うんですが思い出せません。俺は大丈夫なのか!?
ピングドラムはいよいよ佳境にはいってきましたね。この監督は本当に才能がある。
ペルソナ4も切れ味がよくて楽しんでいます。
ところでこの間サヨナラノツバサを買ったんですが、入っていた特典のフィルムが捕らわれになったグレースが三島と話しているところでした。みんな同情してくれたんですけど、三島もグレースも今回なかなかいい味を出していたので、僕的にはよかったかなと。まあ値段はつかないでしょうが。
イツワリノウタヒメのときはマクロスクォーターの司令室を後ろから映したカットで、これはほんとにひどかった。
では。
2011-07-23 原発の深い闇、水木さんの人徳、ラノベの才能、助手 
引き続き近況報告。
現在コンビニなどで出ているのが2点。
一つは別冊宝島の『原発の深い闇』。ここでは、福島第一原発の警備員をしていた人と、飯舘村住民の証言から、被曝がどのように隠蔽されるかを書きました。
もう一つは、前回詳しく書いた『怖い噂』。Stonedloveさん、高い評価をいただきありがとうございました。
書店で出ているのは『新潮45』「水木山脈」の後編。南伸坊さん、山田陽一さん、春風亭昇太さん、ドリヤス工場さんから話を聞きました。水木さんと女性の話や、相変わらずの天然ぶり、ジャングルでの振舞い、また水木さんの絵についてなど、これまでとは違った角度でみんなげらげら笑いながら水木論を展開してくれました。水木さんの記事というのはどう書いても「のほほん」となって、なんとなく癒されます。人徳でしょうね。
また、現在大正大というところで大学生にライトノベルを書いてもらう授業を持っています。もう丸二年になるんですが、小説創作にTRPGの技法を取り入れています。いつも定員いっぱいの生徒が来てくれて、僕の一つのテーマである萌えやオタクについて考える上でも大変ありがたい現場です。今週締め切りでまたたくさんの作品が上がってきました。これを読むのがまた楽しみなんですよ。本当に才能を感じさせるものがあるんですが、そういう子がプロになるのかというとそうでもないところも面白いですね。
PSP版のシュタインズゲートを終了。なるほど、助手に人気がある理由がよくわかりました。まゆしぃが正ヒロインでトゥルーエンドがあったらどんな感じになるのかな。
逢坂栄一
敬愛なる大泉様
あなたにとっての原点かも知れない「説得」に大きな影響を受けた2世です。エホバの証人問題は、もはやあなたにとって過去のものかも知れませんが、先月、どーしても書きたかった自叙伝をネットで無料公開しました。
可能性は低いかもしれませんが、大泉様のお目にかかるチャンスがあることを願って、コメントさせて頂きます。
oizumi-m
逢坂さま
文章読ませていただきました。よく書きましたね。ごくろうさま。
プロフィールのところをクリックすると僕のメアドがわかります。いつでもメールをください。
大泉拝
2011-06-26 近況報告 
ということで近況報告。
『怖い噂』という雑誌で記事を2本。一本は「核という呪い」という作品で福島原発事故について扱ったもの。
もともと僕は作品というのはエンターテインメントになっていなければだめだという持論があって、ところがJCO事故以降の自分や両親の問題はどう書いても地味で自分も読む気にならない年寄りの愚痴みたいなノンフィクションにしかならず、なかなか書けないという悩みがあった。それが去年ぐらいから「ホラーとして書いたらどうだろう」と思い始め、昨年中に2号分の記事(今年一月発売の「怖い噂」8号と、4月発売の9号に連載)を脱稿した。そうしたら今年2月に親父が死に、3月に福島原発の事故が起こるという、いわくつきの原稿で、自分としてはその続編のつもりで書いた。割と気に入ってます。核が人類にとってどのような意味で呪いなのかを書いた。
もうひとつは大槻ケンヂのインタビューで、オカルト大好きの大槻さんが、事故以降「科学大国だと思ってたのがバカの集まりだったっていうのがわかった」「東電や保安院、内閣とかの隠蔽を見ていると、・・・都市伝説って言われてたことがそうでもないし、想定外のことも起こるし、やっぱり偉い人は隠蔽や嘘を言うっていうのがはっきり分かったので、今まで怖い噂といわれてたものが本当に噂だったのかという揺らぎが生じている」と言っていたのが印象的。これは7月発売。
現在出ているのは新潮45の「水木山脈」。これは水木先生という強大な山の人脈を山脈にたとえてそれを追うもので、いろんな人から水木さんの話を聞いていきます。今回は呉智英さんとまんだらけの古川益三さん。視点が正反対なんだけど、二人ともげらげら笑いながら話してくれました。現在後篇執筆中。
それと「サッカー批評」では、もと横浜マリノスのスター山田隆裕のその後の人生を追っています。この人はなんとメロンパン屋さんになったのですが、その後裁判を経験したりして波乱の人生を送っています。
今週は活動も忙しく、臨界事故被害者の会の一員として議員会館で政府交渉を2回やり(福島原発事故での労働者の被曝と住民被曝についてのもの)、そこで知り合った福島原発で警備をしていた方から昨日4時間話しを伺い、あまりのことに何度かうなりました。これはそのうち別冊宝島で書きます。今週はその関連で飯舘村に行く予定。
オタク取材も続いていますが、なかなか書く暇がなくすみません。それにしても今年はアニメが豊作ですね。まどマギにはまり、あの花、シュタゲと楽しんでいます。ああ、まゆしーが死んでしまった。
それから、2年ほど前から大学で教えるようになったんですが、それについてはまた次回。
そんなわけで大泉広報部長でした。ではまた。
閃光の指圧師
近況が聞けて嬉しいです。
ブログは2年も更新されないし、本も出ないしで気になってました。
雑誌の記事はみつけにくいので、
これからもお時間のある時に報告していただけたらと思います。
いろいろお仕事されているようで、安心しました。
(失礼な・・・)
一読者
色川武大 私の旧約聖書→エホバなどとリンクをたどるうちにここにつきました。消えたマンガ家以降ちょいちょい読ませて頂いてます。面白そうだな〜と手にとると大泉さんの作品であることが結構あります。大泉さんの取材対象との絶妙な距離の取り方が好きです。近況が久しぶりに聞けて良かったです。
原発関連、サブカル、アニメ、カルト
などなどもっとバンバン単行本出ることを望みま
す。応援してます!
クリスティーナ
まゆしーが死んだのはグッジョブでしょjkただし助手が死んだら許せませんがw
stonedlove
『怖い噂』、衝撃に打ち震えながら読みました。
なんというか、あの雑誌には不釣合いなほどの渾身の記事だと思います。
感銘を受けました。ありがとうございます。
2011-05-24 福島第一原発事故ーこのままだと健康被害も精神的被害も補償されない 
原発の補償問題に関するニュースを見てみたんですが、このままだと健康被害も精神的被害も補償されない可能性が高いですね。意外に聞こえるかもしれませんが、これはJCO事故の時もまったく同じでした。僕はJCO事故被害者の会の事務局員としておよそ10年間被ばく事故の補償問題を見てきたわけですが、健康被害も精神的被害も補償されなかったこの事故の時とほぼ同じ展開になっています。
まず、現在出されている「精神的損害に対する幅広い補償」というニュースですが、これは避難させてしまったことに対する「迷惑料」としてJCO事故でも一番初めに払われたものです。確か避難所に一泊させた迷惑料とかで、一人一万五千円とかでした。これは事故によってPTSDやうつ病などの重い精神疾患になってしまったというような「精神的被害」とはまったく別物です。
次に各産業の被害や風評被害が検討されます。これはまったく十分ではありませんでしたが、JCO事故でもある程度支払われました。現在政府関係者や識者が議論しているのはこの補償をどうするかという問題で、当然全額支払われるべきものですが、JCO事故の時はかなりの額が支払われず、農協などは訴訟を起こしています。
これが落ち着いたころ、多くの人たちは実質的な健康被害や精神的被害について検討します。
ところがもう先手が打ってあって、例えば精神的被害について海江田経産相は「相当因果関係があれば補償する」と言っていますが、原子力損害賠償法にのっとれば、これは被害者側が相当因果関係を証明しなければなりません。JCO事故でこれができた人は一人もいませんでした。なぜなら、どれだけ医師の診断書を持っていっても、JCOも裁判所も因果関係を認めないからです。従って健康被害も精神的被害も誰一人として補償されませんでした。つまり、「相当因果関係があれば補償する」というのは、実質的には「補償しません」と言っているのと同じなのです。
法律論ではそうなってしまうのですから、健康被害、精神的被害には政治的な救済が必要です。ところが国は健康被害を認めてしまうと、自分たちの避難指示の間違いなどを認めることになってしまい、責任を認めなければならなくなるので、やはりこうした被害を認めない側に回ってしまうのです。
JCO事故では、少なくともそうでした。現政権は、こうした事情を踏まえて、今回の原発事故による健康被害、精神的な被害についての政治的な救済をする必要があるのです。しかし残念ながら、こうした救済策が検討されている形跡はありません。ゆえに、冒頭に書いた結論に落ち着くのです。
だが、それでいいわけがないのです。
2011-05-21 福島第一原発事故の精神的被害の補償について 
なんか仕事が忙しくなってしまってこちらはしばらく放置していたんですが、こんなご時世だし活動報告ぐらいはしたほうがいいだろうと思い、ぼちぼちやることにしました。
で、5月16,17日と東京新聞の夕刊に記事を書いたんですが、半分ぐらいに削らねばならなかったので、こっちに元バージョンを載せておきたいと思います。
福島第一原発事故の被害補償について、現在さまざまな意見が述べられている。その中でも、最近になって精神的な被害の補償をどうすべきかという議論が見られるようになってきた。1999年にJCO臨界事故に巻き込まれた母の精神的被害(PTSD)の問題について加害者のJCOと交渉し、その後2002年から2009年まで損害賠償裁判を行った体験から、今回の事故の精神的な被害の補償をどうすべきかという点について、経過を説明した後に若干の私論を述べたい。
母はJCOの敷地から約80メートル、事故現場の転換試験塔から約130メートルの地点にあった父の工場で被ばくし、その推定被ばく線量は約40ミリシーベルトであった。
事故当日(9月30日)の深夜3時ごろ、母は激しい下痢に襲われた。翌日には多数の口内炎が現れた。数日して父の工場は再開されたが、元来仕事好きで、工場の主戦力であった母は寝たり起きたりの状態になり、仕事に行こうとしなくなっていた。今から思えばPTSD患者に典型的な事故現場からの回避症状なのだが、当時はそのような知識も十分持っていなかった。外から見ていると、母はひどい倦怠感に襲われているようで、体を動かすのがいかにもおっくうそうだった。たいていは、パジャマ姿のまま居間で横になっている。
なぜ母は倒れているのか。JCO事故のせいだろうというのは一番初めに考えた。ところが、国は一貫して「今回の事故は健康に影響するようなものではない」とアナウンスし続けていた。被ばく問題には全くシロウトであった我が家には、それを否定する材料がなにもなかったのである。東海村に設けられた何箇所かの相談窓口で専門家といわれる人に話を聞いたが、みんな「私は今回の事故の何倍も被ばくしているけど、元気に働いてる」と言った。母は報告を聞くと、「これは被ばくのせいじゃないのね」と冷静に言った。
では、なぜなのか。
十月の末頃から、母は胃の痛みを訴えるようになった。医者に行ってみると、胃潰瘍が3箇所で活性化し、体重も6キロ落ちていた。原子力事故を身近に経験したストレスが母を蝕んでいたのである。だが、原因がわかれば治療すればいいだけである。約2週間入院し、退院時に撮った胃カメラでは、潰瘍はほぼ消失していた。ところが、退院後も、母の様子は入院前と変わらなかった。一日中、パジャマ姿のまま、寝たり起きたりの生活である。そののろのろとした動きが、うつ病になってしまった昔の友人によく似ていたため、精神科への受診を勧めると「うつ状態」と診断され、入眠剤と抗うつ剤を処方された。
この状態で約2年半が経過したが、この間一度自殺企投を起こすなど、症状は一向に改善されなかった。そこで東京の専門医を受診したところ「JCO事故によるPTSD」と診断され、通院している病院や主治医もこの診断に沿った治療を行ったため、母は急速に回復した。
このように原子力事故による健康被害はそれが体のせいなのか心のせいなのかきわめて判り辛く、しかも本人は家族に負担をかけていることから自分から症状を言い出せない。母は家族や従業員は事故現場の近くの工場まで行けるのに、自分だけ行けないことで長く自分自身を責めており、その感情を口にしなかった。無理をして工場に行っていた時期もあり、それが症状を悪化させる原因ともなっている。その上、JCO事故やそれに関連する事柄については想起するだけで精神的な苦痛を受けるので、症状と事故の関係について語りたがらないのである。かなり回復してから、JCOの建物について「悪魔の塔に見えていた」と語り、JCOの近くを通る時はきつく目を閉じてパニックが起こりそうになるのに耐えていたことも分かった。以上の理由で、正確な診断を得るまで2年半以上かかってしまった。
そこで専門医や主治医に診断書を書いてもらい、事故を起こしたJCOに治療費などの補償を求めたのだが、JCOはまったく応じようとしない。理由は「国が補償するなと言っているから」という信じられないものであった。実は国、すなわち監督官庁の科学技術庁は、事故があった年の12月15日に「原子力損害調査研究会」というものの中間報告を行っていたのだが、いわゆる「専門家」が議論したというその報告書では、PTSDやショックによるうつ状態など「心の被害」については「特段の事情がない限り認められない」として切り捨てていたのである。JCOの出してきた回答にはこの報告書からの引用が実に8カ所もあった。
父はやむにやまれず訴訟を起こしたが、そこにはさらに高い壁が立ちはだかっていた。原子力損害賠償法による「被害者側証明」という原則である。原子力が国策として保護されているため、原子力をめぐる損害については被害者側がその因果関係を証明しなければならず、加害者側はその証明に文句をつけていればいいだけなのである。もし国家が国民のためにあるというのなら、日本で初めて起こった地域住民の被ばく事故で、しかもその地域住民が原子力事故と自分の病の因果関係を証明することがどれだけ困難かを想定するべきであった。8年かかった裁判の結果、裁判長の意見は「もっと高度な蓋然性(確からしさ)を持った」証明をしなければ認めない、というものであった。
母のPTSDについては、主治医、専門医、通っている病院の院長と、三人の医師が「JCO事故によるPTSD」という診断書、意見書を出し、その因果関係がいかに明白であるかを論じた。小さな町工場の経営者として生涯を送った父は、これで被害が認められないはずがないと言った。しかし裁判長が採用したのは、母を一度も診断したことのないJCO側の一人の学者の意見であった。その学者によれば、原子力事故では人が死んでいる姿などの悲惨な状況を目にするというPTSDの必須条件が起こらないため、PTSDにはならないというのである。この学者も、裁判長も、原子力事故の「見えない恐怖」がどのように人の精神に巨大なストレスを与えるかということについては、まったく感知していないようであった。
父はこの裁判の結果に無念を残したまま、今年2月に逝った。
今はまだ明白な形で見えてはおらず、メディアは徐々に福島原発の事故被害者の報道に食傷し始めているが、この事故の背後に僕の母と同じ苦しみを背負った人がたくさんいることは間違いない。その多くは、なぜ自分が苦しんでいるのか、そのような心身の不調が現れるのか、その原因すら全く不明で途方にくれているのではないか。凡庸な結論だが母の事例から考えられるもっとも重要なことは、できるだけ早く専門医の元にたどり着くことであった。そのためにも家族や身近な人間は「自分が大丈夫だから家族も大丈夫だろう」といった思い込みを捨て、できるだけ早く医療機関に当たることが求められる。また、患者はしばしば自分自身を責めてしまい、周囲の無理解がそれに拍車をかけることがあるため、悪いのは本人ではなく病気であり、病気を引き起こした事故なのだという点を明確にさせる必要がある。
先日、海江田経済産業相は「精神的被害については相当因果関係があれば認める」と述べた。だが、母の事例でも明らかなように、心の被害は目に見えづらく、証明することも困難である。したがって国は、複数の医師の診断書があれば認めるといった、比較的簡素な証明で補償を認めるべきではないか。心身の被害の上に、さらに裁判などの苦痛を被害住民に課してその傷口をえぐり出すようなことは、絶対にあってはならない。
切通によるとサリン事件の時オウムへの違和感を表明したら周囲にオウムよりの人間が多く浮いてしまったと言ってました。大泉さん、オウム寄りだったんですか?
(島田裕己が当時の切通の行為を全く認識してなかった為大半の聴いてる人間は事実と思うでしょう)
また現在のカルト被害を防ぐためにも過去オウムになぜエリートや若者がはまったのかを解析しなければならないとも言ってましたがそれって大泉さんがオウム体験修業(麻原彰晃を信じた人々)で言おうとしてた事だったような気が。当時切通は文意を歪曲して「オウムの宣伝だ」と言ってましたが。
公共の電波を使った歴史の改竄、「ロンダリング」が行われている事に腹が立ちます。