僕の妹は漢字が読める2 かじいたかし HJ文庫

僕の妹は漢字が読める2 (HJ文庫)

相変わらず超上級者向けの本ではあるものの、内容としては「日本語の変遷」をテーマにした非常におもしろい本だ。

「やったね みえたね おぱんちゅ ちらり☆」なんて頭の痛くなる文章が出てくる一方で、小説の文体は時代によって変わってきたというような主張も出てきた。「サダメ君、例えばだ。万葉集の時代の人間が、明治、大正にやってきて、君の愛するトウジ・トラヒコの作品を『かな文字なんてものを使っているから文章がおかしい。登場人物の考えにも共感できない』とわめいたらどう思うかね?」p.197。例は極端だとしても、これをライトノベルの文体に置き換えて、ライトノベルを低俗なものと考えるのは違う、とも言える。ライトノベルが後世で評価されるかどうかはわからないけど。

キャラクターがかわいい。クロハはクールなキャラクターなんだけど、その実お兄ちゃんのことが大好きだと思っているのがいい。ミルの毒舌っぷりとオオダイラ先生のドSドMコントも読んでいて笑える。

未来に戻って一件落着めでたしめでたし、で終わったと思ったら、まだ続巻があるとはうれしい。次の巻もたのしみだ。

前巻のつづきから。萌えのなくなった二十三世紀を元へ戻すために二十一世紀へ来ていてギンたちは、時間移動マシュマロをつくったチョウマバヤシ・メグリに会いに行く。二十三世紀を元に戻す重要な本『おにマジまにあ』を持ち去ったのはメグリの兄、サダメだと知る。サダメは二十三世紀の文学作品を低俗なものと考え、激昂していた。サダメの居場所をつき止め、ギンはサダメを説得しようとする。『おにマジまにあ』と、サダメの信奉するトウジ・トラヒコの『二十一世紀』を同じ場所に置き、クロナ・グラに選んでもらうことにする。未来へ帰ったギンたちは、萌えの戻った二十三世紀で生活する。