ノーチラス第二期の開始

Nautilus-technologiesの第二期に入った(というべきですね)。


まずAsakusaをOSSにして、早いものでもう一年になる。当時はとにかく3月中に公開するぞ、というぎりぎりの中での公開だった。相当無理があったが、チームが頑張ったので、なんとかできたというのが当時だったと思う。一年経過して状況を見ると、予想以上の反響になっている。ターゲットがそもそも業務系・基幹系のバッチ処理なので、名前が知られるには2−3年はかかるだろうな、と考えていたのだが、折からのビッグデータブーム(これはAsakusaの公開時点ではまだ来ていなかった)->Hadoopの知名度向上->バッチの高速化の流れにうまく棹さすように乗れている事も大きい。

また、OSSにしたことも結果として、よかった。まずは簡単に使えてもらえるということと、各SI屋さんや使い手のNot Invented Here 症候群への緩和剤にもなった。エンタープライズのOSSというのは、市場としてはまだまだ未整備ではあるが、(この辺りはまた改めてまとめはしようとは思うけど、)現時点では、強固な拒否反応もなく、マーケットにアクセプトされつつあると思う。

開発の流れとしては、ここ一年は使い勝手やパフォーマンスの面から、様々に「ここは対応すべきですよ」というユーザーさん(というか実際に利用しているプロジェクトからの)要請もあり、処理対象を徐々に拡大すると同時に、使い勝手やサポートプラットフォームも拡大してきた。まだまだ足らない部分もあるが、実際に使われている強みから、ポジティブ・フィードバックも受ける事が可能となっており、確実に前に進んでいる。

出だしとしては、及第点じゃないかなとは思う。勿論、足らないな〜、という思う事は多いけど、贅沢を言っている場合ではないし。どう補っていくのか、進んでいくのは、メンバー含めての全員の課題だと思う。

<体制変更>それから、会社の当初の体制から大きな変更も起きた。立ち上げを一緒のおこなった最首さんが会社を退くことになった。要は福岡のチームが、最首さんともどもNautilusを離れ、福岡のゲーム会社に合流することになった。行く先は、クリップ・エンターテインメントになっている。
http://clip-ent.com/
以前の、福岡・東京のトロイカ体制を解消し、Nautilusは東京を本社とするエンタープライズOSSのミドルと企業向けのソリューションを提供する、ちゃんとした会社になる。

九州チームが離脱して、(主としてモバイルをプラットフォームに掲げる)ゲーム会社に合流する理由は、端的にいうと福岡オフィスが維持できなくなったからだ。九州チームの売上はほぼ特定のお客様に集中している。そのお客さんが昨今の経済状況の結果として、投資を絞らざるをえず、その結果現状のビジネス・サイズが維持できなくなったためだ。とは言え、相対的に肥大化した九州オフィスをリストラする位であれば、今キャッシュ・リッチな業界に参入して、生き残りを図ろうという考えだ。

東京チームはこの考え方には賛同できないので、結果、トロイカ体制を解消することになった。別に喧嘩分かれするということではなく、お互いの技術・考え方の相違を尊重した上で、丁寧に双方トラブル無く切れた、ということになる。

当初の見通しからは、残念な結果ではあるが、Asakusaの立ち上がりに比べて、MonkeyMagic/Tengineの迷走ぶりや品質のあがらなさは、相対的に嫌でも目につくようになってしまっていたし、微妙なしがらみも発生しそうな感じではあったので、一回、双方距離をとって頭を冷やす、ということも必要だろうとは思う。

最首さんと九州チームはゲーム業界で、また頑張って欲しいと思う。エンタープライズに戻ってくることは難しいとは思うけど、混迷期に入りつつあるとはいえ、ゲーム業界はそれはそれで大きなマーケットではあるので、存分に勝負して欲しい。

とまれ、まずAsakusaへの影響ということであるが、まずTengineはゲーム会社の実行エンジン(管轄はクリップ社)になるので、当然Asakusaのデフォルトからは外れる。そもそもJP-1やその他の運用監視基盤・連携基盤との連携サポート等もあり、必要性の話もなくなっていた。ので、中途半端な位置付けを解消して、適切な形に東京サイドでコントロールするというのは極めて正しい判断ではないかな、とは思っている。Asakusaの実行管理についてはYAESSを含めて、次世代に進化していく予定だ。

会社のオペレーション自体にも影響はない。もともと福岡と東京に会社が二つあるような動きだったということもある。メンバーの精神衛生的には、いろいろと福岡方面に気を使う必要がなくなったので、楽にはなったと思う。資本関係も含めて明確に整理することもできたので、よしとしたい。

(・・・・にしても、一緒にやろうと始めて高々半年で解消、というのもな〜、というのも本音ではある。最初から無理があったんじゃないの?という意見も有るとは思うけど、今となっては結果論でしかない。これをきっかけに九州のお客さんと付き合いが出始めたのも事実だし、プラス面もあったわけで。前向きに考えたいところ。)

というわけで、Nautilusも第二期に入る。人員や手助けをしてもらえる人にも手伝ってもらいながら、チームとして前進していきたいと思っています。僕らの視点は、徹頭徹尾、ユーザー・利用者にメリットを有るものを提供していくところにあります。エンジニアリングの趣味のような、こんなもの作ってみました的なもの、なんとなく流行っているから的なものは、やりません。今の日本にはそのようなことをやっている余裕は大企業から始まって、自分たちのような中小企業にはありません。社会の変化を見ながら、必要なものを提供していく、というスタンスは、ひつこく追求していくつもり。

一応、かたち上は、自分が社長というやつをやる事になっていますが、シャチョーって意識はないです。今まで通り、チームのリーダーという役割で何もかわってませんので!

今後とも宜しくお願いします。