家守奇譚

参りました。
この本に逢えたことを神に感謝します、おお神よ!くらいの勢いで。
以後、我が本棚に鎮座し続ける一冊になるでしょう。
 
主人公が、かくかくしかじかの事情により、
あるお家の家守として暮らしているうちに、
お庭の植木、ひとつひとつが主役になって話が進む。
よって章のタイトルが、「サルスベリ」「都わすれ」「ヒツジグサ」..「白木蓮」と続く。
 
自然をよく見つめた物語なのかな、と思いきや
見つめまくって、ぐーっとその先の、超自然な域まで。
河童に狸に狐に子鬼。犬は鳶に乗って帰ってきた。
全てが、なんというか、普通に当たり前に存在する。
羨ましい世界。読んでいる間、本当に愉しかった。
 
本編を堪能したあと、吉田伸子氏による解説を読んで
なんだか「ガッテン」した。ボタンをばんばん押したいくらい。

「分かっていないことは分かっている」ことを、「理解はできないが受け容れる」ことを、ごく当たり前のことのように身の内に持っている征四郎がいるのだ。

この一文を読んだ時に、「サザンカ」の章で、主人公 征四郎が
『世界の風土病』という本を読むくだりを思い出しました。
 
ここから先は、頭のなかでは答えに辿り着いているのだけど
うまく言葉で説明できないや。
 

家守綺譚 (新潮文庫)

家守綺譚 (新潮文庫)