マジレンジャー36話「神罰執行〜マージ・ゴル・ゴジカ〜」(再掲載)
本編の内容に納得がいかないまま 11/14に、この36話の感想を掲載したところ、以下のようなコメントをいただきました。
「仮にもメインライターの方が脚本を書いた回でキャラが違うなんてことは有り得ないし、市川さんもヒカル先生の別の一面と言っていることから、そのまま受け止められてはどうでしょうか。
それだけヒカル先生が取り乱していたということを表したかったんではないでしょうか」(一部抜粋)
このコメントを拝見して、少し考えさせられました。 36話について。
このまま「納得できない」で 終わりにしてしまってはいけないような気がしました。
もう一度、冷静になって 録画したビデオを見返そうと思い立ちました。
しかし、この36話のヒカルの設定をそのまま受け入れるには 相当な覚悟が必要だと考え、頭の中を空っぽにするために マジレンジャーのCD(現在、家にあるものすべて)を聞いて 気持ちを落ち着けてから、36話のビデオを見直しました。
見直してわかったことは この36話に関しては、2つの視点(気持ち・立場)での見方ができると思いました。
ひとつは「魁たちとヒカルの両方の視点」で見る、そしてもうひとつは「ヒカルの視点」で見るというものです。
今回、ビデオを見直すに当たり「ヒカルの視点」(ところどころ、「魁たちとヒカルの両方の視点」で見た部分もありますが)で見ました。
オンエアも含め、最初に見ていたとき、魁たちとヒカルの両方の視点で見ていたつもりだったんですが、いつのまにか 5人に感情移入していたんだなあと思いました。
もしも私が魁たちと同じ立場だったとしたら、掟なんかどうでもいい! お母さんを助けたい!と思ってしまったでしょう。
お母さんが捕らわれているのに、戦うことを禁じられてしまった魁たち。
結果、ヒカルと対立することになってしまいます。
ヒカルがなぜ、マジトピアの伝承にそこまでこだわるのか。
その部分の描き方が足りないので、ヒカルが考えていることがほとんど、視聴者には伝わっていませんが、「ヒカルの視点」で見ることによって ヒカルの気持ちというか、大体のことは汲み取れたような気がしました。
最初に見たときは、まったく納得できなかった36話でしたが、ある程度は自分の中で納得のいく方向に持っていくことが出来ました。
この36話に関しては、「人間味あふれるよい内容だった」と好意的(賛成されている方)な感想をお持ちの方もいらっしゃいます。
反対に、こんな展開に納得できないとお怒りの方も、たくさんいらっしゃるでしょう(むしろ、こっちのほうが多そうですが…)。
他のブログを見て回ると、「納得できません」という感想がほとんどです。
現に、私だって 最初はそうでした。
ヒカルのキャラが違いすぎる…。こんなの、ヒカルじゃない! 演じている市川さんがかわいそう……と思いました。
でも この回の脚本は、メインライター(多分)である前川さんが担当された回ですし、コメントにもあるように「キャラが違うなんてことはありえない」わけです。
このヒカルの設定をそのまま受け入れて、改めて冷静な気持ちで見直すだけで、こんなにも違うのか…と思いました。
今回のヒカルは ものすごい取り乱していた面もあったけれど、そこを除けば、いつもとかわらない「5人を優しく見守る先生」なんだなあと。
本当に、最初に見たときとは まったく違いました。。
「こんなの違う!!」と、怒りにも似た感情を最初は持っていたのに、今ではその感情が 若干、和らいでいます。
ヒカルの視点(気持ち・立場)になって 見返すと、視界が開けたように 新しい見方が出来ました。
納得できないという否定的な考えばかり持たずに 時には、ありのままの設定を受け入れることも大切なんだなあと思いました。
36話を見直すきっかけとなったコメントを投稿してくださった、korohitiさん 本当にありがとうございました。
前置きが長くなりましたが、以下より 感想となります。
放送日:2005年11月6日
脚本:前川 淳
<主なキャスト>
小津 魁/マジレッド 橋本 淳(変身後:高岩成二)
小津 翼/マジイエロー 松本寛也(変身後:今井靖彦)
小津 麗/マジブルー 甲斐麻美(変身後:野川瑞穂)
小津芳香/マジピンク 別府あゆみ(変身後:小野友紀)
小津蒔人/マジグリーン 伊藤友樹(変身後:福沢博文)
ヒカル/マジシャイン 市川洋介(変身後:岡元次郎)
冥府神のひとり・イフリートと戦おうと意気込む魁たち。
しかし、ヒカルは「君たちはインフェルシアの神々と戦ってはいけない!!」と言います。
これには「冥府の神々、破壊の限りを尽くすとも、地上の民 決してはむかうこと許されず」というマジトピアの伝承がありました。
「母さんはどうするんだ? 奴らに捕らえられているかもしれないんだろ?」という魁に 「僕が戦う。地上の民ではない、天空聖者の僕なら戦える! マジトピアの言い伝えは絶対なんだ!!」といって、立ち去るヒカル。
しかし、どうして5人が戦ってはいけないのか その理由をヒカルは言っていません。
イフリートが地上に攻撃を仕掛けます。
トラベリオンで応戦後、戦うヒカルですが、イフリートの攻撃に苦戦します。
そこへ、5人が駆けつけますが ヒカルに動きを封じられる術「ルーマ・ゴンガ」をかけられます。
「何すんだよ! ヒカル先生!?」と叫ぶ魁。
「言った筈だ! 君たちは冥府神と戦ってはいけない!」と、厳しく制するヒカル。しかし、イフリートに「もし、神々に刃を向けることがあれば、地上界に限らず天空聖界まで滅ぶ」と、伝承の続きを言われてしまいます。
「本当なのか? だからなのか!? ヒカル先生!!」という魁。
「くっ…!」と悔しそうなヒカル。
ヒカルは5人に「マジトピアまで滅ぶ」ということまでは話しませんでした。
あえて言わなかったところを見ると、5人には知られたくないことだったんでしょう。 きっと。
23話、24話の翼とのエピソードでもそうでしたよね。
自分が死ぬとわかっていながら 魁たちに心配をかけまいと 多くを語らず「君たちの力を信じてる」と言い残して、ヒカルは戦いへ赴きました。
この36話のヒカルも、同じだと思いました。
5人を冥府神と戦わせないかわりに、自分の力で何とかしよう(自分が魁たちのかわりに戦おう)とするヒカル。
先生としての責任感(威厳)というか、ヒカルらしさが出ていると思いました。
今までとかわらない、ヒカルの性格だなあと思いました。
しかし、お母さんを助けたい魁たちと、マジトピアの伝承を重んじるヒカルは真っ向から対立します。
「君たちは何もわかっていない。マジトピアの言い伝えがどれだけ厳粛で絶対的なものかを」というヒカル。
ヒカルは天空聖者なので、マジトピアのことを優先するのは正しいように思います。
でもどうして、そこまで伝承にこだわるのか その部分が描かれていないのが残念です。
そこがもう少し描かれていれば、よかったなあと思いました。
やはり、マジトピアを滅ぼさないためでしょうかね。
一方の魁たちにとっては、ヒカルは マジトピアのことだけしか考えていないように思えたのでしょう。
魁がヒカルにつかみかかります。
思い切り、険悪ムードになっているなあと思いました。
「マジトピアがどうなってもいいというのか!」というヒカルに、「あんたこそ、母さんがどうなってもいいって言うんだな? 家族じゃねえからそんなことがいえるんだ!!」と言い放つ魁。
この一言を言った魁を、ヒカルは殴ります。
魁を殴るのはやりすぎだろう…と思いました。
魁に「家族じゃないから」と言われて、思わずカッとなってしまったのもあるでしょうが それだけ、気持ち的に余裕がなく 取り乱していたんでしょうね。ヒカルは。
「おいおい、何も殴ることはねえだろ!」と翼。
この翼の一言には、激しく同感でした。
でも、魁の「家族じゃないから」という一言にも、問題ありますが…
やはりこれは、言ってはいけない一言だと思います。
ヒカルにとっては、魁たちは家族も同然でしょう。
魁たちが危険な目にあえば、それこそ 自分の命をかけてでも救おうとするので。
さらにヒカルにつかみかかりそうな勢いの魁を、蒔人と芳香が止めます。
そこへ、麗が「アップルパイを焼いたの。お茶にしよう」と、明るく声をかけます。
5人は、麗の気持ちを汲んで それぞれ席につきますが、ヒカルだけは機嫌が直らず 席にはつきません。
「僕はいらない。今はそんな気分じゃ…」というヒカル。
無理もないですね。
それでも、席につかせようとする麗に対し、「よしてくれ!!」と彼女の手を振り払うヒカル。
そのはずみで、ティーカップを割ってしまいます。
ティーカップが割れた直後の、翼の立ち上がりかける演技も少し怖かったですが(目が「何すんだよ!!」と訴えていました)、「あ…!」というヒカルの言葉と、市川さんの表情が印象的です。 ビデオを見返して、この表情に気づきました。
「しまった…」という感じの表情でした。 きっと本意ではなかったんだろうなあと思います。
しかし、イラついた気持ちはすぐにおさまらなかったようで、「…くっ」と、また険しい表情に戻っていましたが…。
麗は、涙をこらえながら台所へと姿を消します。
芳香が「いらなくても食べる!」と、ヒカルに皿を手渡します。
アップルパイを口へと運ぶヒカル。
この場面の、アップルパイをフォークで切るところは 市川さんが相当苦労されたところですね。
芳香は、このアップルパイはお母さんが作ってくれたものだとヒカルに説明します。
このアップルパイに 麗の優しさを感じ取ったヒカルは 麗に謝りに行きます。
この場面はヒカルが麗の手を握り締める場面があり、2人が急接近という感じで ビックリしました。
そこへやってきた魁たちに、「忘れていたよ。君たちがブレイジェルの子供たちだってことを! そして僕がブレイジェルの弟子だってことも!! 一緒に戦おう!」と言葉をかけるヒカル。
5人とヒカルの仲が元に戻って よかったと思いました。
再び、イフリートとの戦い。
レジェンドマジレンジャーに変身した魁たちと、マジシャインに変身したヒカルが駆けつけます。
「運命は、僕たちが切り開く!!」というヒカル。
イフリートに挑む魁たちですが、攻撃がイフリートに届く前に かき消されてしまいます。
しかし、麗は「これからの戦いは、地上をインフェルシアから守るためだけじゃなく、家族がひとつになる戦いでもあるの!」と言います。
その麗の勇気に魔法が応えます。
「麗、うつんだ」というヒカル。
麗は「ファンタスティックスプラッシュ」を放ちますが、これもはじかれます。
しかし、麗の水蒸気で目くらましをしてもらったヒカルがイフリートに近づいていました。
「それはどうかな? マジランプ・ダイレクトボンバー!!」
ヒカルの至近距離の攻撃により、イフリートはダメージを受けます。
ヒカルのセリフ「それはどうかな」は、今 スカイシアターで公演中のショー「魔法大戦! 奇跡の兄弟パワー発動!!」にも登場するので、ショーの場面が重なりました。
お互いの技が決まり、顔を見合わせるマジシャインとマジブルー。
このときに、ヒカルと麗が微笑んでいるように見えました。
お2人のスーツアクターさん(岡元さんと野川さん)の演技が細かいなあと思いました。
ダメージを受けたイフリートは巨大化。
そのイフリートを、マジレジェンドとトラベリオンで迎え撃ちます。
しかし、必殺技がまったく通用しません。
この危機をどう乗り越えるのかと思っていたら、自ら決めたルールに敗れ、仲間の手によって倒されます。
死に際にイフリートは、お母さんの居所について「いばらの園を司る冥府神を倒せ」と教えて散っていきました。
ラスト場面は「マジトピアも地上の運命も変える」という麗の言葉で締めくくられました。