okatakeの日記

2009-04-27 みちくさ市も終った

okatake2009-04-27

仕事上のさしさわりがあって、昨日いちにち、「みちくさ市」でとは、なかなか書けないのだが、本当だから仕方がない。

前日、豪雨といっていい雨模様とはうってかわって、26日はピーカン。ただ夏を思わせる雲がときどき頭上を通過する。JRを乗り継ぎ、目白駅からぶらぶら15分ほど歩いて鬼子母神通りへ。その手前で、中央公論新社の藤平くんとばったり。本棚を抱えて、家族できょう、店を出すという。

この日、渡辺事務所脇の路地で「暢気文庫」ともう一店出店するはずが、雨で順延で出れなくなって、その空きに「岡崎武志堂」がもぐりこむ。なにしろ、夏のような日差しが一日降り注ぎ、陽のあたる場所で出店した人はみな音を上げていたが、こちらは日影でずっと涼しい。「涼しいなあ、よかったな、ノンちゃん」と「暢気文庫」と喋っていたが、涼しいはいいが、路地は、表通りを歩く人からスルーされることが多く、涼しいと喜んではいられないことがわかった。まったく「暢気」だなあ。

それでも次々とお客さんが来てくれ、コトバを交わし(なかば強制的に売りつけ)、おみくじを引いてもらい、一日で2万円強を売り上げる。まあまあ、か。知り合いもたくさん訪れたが、未知のお客さん(男性、70代)で、『古本道場』で古本に目覚めて、古本屋即売会へ行きまくっているという方が来て、うれしかった。「古本屋めぐりは健康にもいい」とおっしゃってくださった。おまけに木の実ナナ小田実などのサイン本をお土産にくださる。

客としてはぶらり一巡しただけで、あまり買えなかったが、工作舎石原さんの店が一番目を引いた。徳川夢声を二冊。『地声人語』200円、『探偵女房』800円を買う。ところが石原さん、ほとんど自分の店にいず、客として「ひとはこ古本市」を満喫している姿ばかり見る。ほんとうに、好きだなあ。鬼子母神通りは「食」の店が少ないのが難点で、選択の余地なく中華「風味亭」で中華丼を食べるが(ここにも石原さんがいた)、じつにうまかった。熱々でトロトロの餡が絶妙で、白いごはんに混ざり合う。

近くの「プチシルマ健康館」が店頭に文庫を1冊20円、3冊50円で出していたが、そこにぼくの書いたちくま文庫が何冊かあったと教えられる。ぼくが行ったときはあらかた売れていたが、時代小説と本に関する文庫という品揃えがユニーク。文庫3冊買うと、透明に入ったプチリスマ試供品と、ティッシュボックスの入ったセットがもらえる。それでわかった。店番したら、やたらプチシルマの箱の入った袋を下げた人を見かけたが、ここだったのだ。

印象に残った若い男性客が一人いて、以下、参加された「とみきち」さんがアップしたブログを読んでわかった。http://yomuyomu.tea-nifty.com/dokushononiwa/

「午後、はにかみ高校生登場! 前回は詰め襟、今回はおしゃれな私服姿だったけれど、一目でわかった。すぐにかみつくように話しかけると多分イヤだろうなぁと思ったけど、逃げられても困るから(笑)、話しかける。「以前のプレ開催のときも来てくださったでしょう? 高校の制服で」。無言で、やや頷く。「今も高校生ですか?」 無言で頷く。「また来てくださって嬉しいです」。このとき番頭は、日影退避中で不在なのであった。番頭、あとで残念がる。彼はまた、渋い本を一冊買ってくれました。また来てね〜。」

この「はにかみ」くん、うちにも来てくれて、オリーブ少女の男性版(「暢気文庫」評)といったファッションで、ずっと「はにかみ」ながら、本をていねいに選ぶ姿が印象的だったのだ。そうか、高校生か。話しかければよかったな。一目に脳裏に焼き付く黄金の「はにかみ」で、ちょっと皇室っぽく、イノセンスで、「わめぞ」で保護して、無菌状態で隔離して育てたいような若者だった。携帯ストラップにつけたいような古本少年だった。

3時をまわる頃から、がっくり売り上げが落ち、4時終了を、5時に撤去されていればだいじょうぶ、と本部に言われ、少し粘ったが、けっきょく4時過ぎに撤退。第一回「みちくさ市」が終った。千駄木の本家とはまた違った、ゆるゆるした「一箱古本市」で、これもあり、だと思った。店を訪ねてくださった大勢の方、お買い上げ下さった方々、ありがとうございました。

夜は「大馬鹿地蔵」という、場所がわからなくなっても、通行人に尋ねにくい店名の居酒屋で打ち上げ。6時からということだったが、じっさいに始まったのは7時ごろで、それまで塩山さんとビンビールを飲みながら話す。あとで栗原裕一郎さんも加わり、ライター世界の虐げられし悲哀を語る。塩山さんはずっと、推理作家協会賞を受賞して、賞金50万をもらった(まだもらっていないらしいが)栗原さんに、その50万円の件でずっとからんでいた。「50万」というコトバを、これほど短時間で繰り返し聞いたのは初めてだ。どこかの篤志家よ、塩山さんに、ポンと50万、寄付してあげてください。

一夜明けて、さあ、今日が大変だ。

★栗原さんの名前を数カ所、栗山さんと誤記しました。塩山さん、という名に引っ張られたからでしょう。栗原さんには、訂正とともに心からお詫びもうしあげます。じつは、自分では、自分の名前を間違えられるの、だいっきらいなんですが、こういうことをしてしまう。頭を通さず、指だけで書いているからだ。いけませんねえ。