さすらいの女神たち

okatake2012-03-31

昨日、神保町経由サンデーへ。「和洋会」では、いくつかのポイントを置いて探すが、どうもうまく拾えない。かわりに、このピエロの人形を買う。これを抱えて、しばらく本を探して会場を歩いていたが、変な感じ。コミガレで三冊。御茶ノ水「デ」でスパイダースCDを4枚買う。
新装なった東京堂も覗いてみる。茶の本棚を含め、照明も落とし気味でずいぶんシックな仕上がり。本棚は見やすく、周囲の書泉や三省堂との差別化を意識した品揃えになっている。これぐらい、思い切って変えないと、リニューアルする意味はないだろう。畠中さんの姿を探すが見当たらず。盛況でなにより。あ、そうそう、『ご家庭にあった本』も目立つところに面陳。感謝します。
電車のなかでは、もう何度目になるか、小林信彦『日本の喜劇人』を精読。喜劇について書く、肉体性を身につけたい。執筆もまた「体技」である。
ひさしぶりに「ギンレイ」で2本。イタリア映画「明日のパスタはアルデンテ」、フランス映画「さすらいの女神たち」。前者はコメディに徹底すればよかったが、テーマが未消化。部分的におもしろいシーンもあったが、ちょっと退屈した。後者は、一種のバックステージもの。「潜水服は蝶の夢を見る」のマチュー・アマルリックが監督して主演。これはおもしろかった。ストーリーらしいストーリーはなく、洗練されたストリップ・ショーともいうべきバーレスクの一座を率いて、フランスを旅するのがアマルリック。彼は、かつてパリで成功したテレビプロデューサーだったが、離婚し、借金も増やし、いまは旅の空に生きる。パリへの返り咲きを狙うがうまく行かず、つねにいらだってタバコを吸い続ける。明るく陽気な女性たちのマネージメントをしながら、演出もする。宿泊するホテルその他のカウンターで、BGMおよびテレビ、ラジオの音を止めさせようとする、カウンターのカゴに入ったキャンディー、マッチをしこたまポケットに詰め込むという不思議な性癖がある。彼がホテルのベッドで倒れ込んで寝るシーンがなく、深夜を通して車を運転したり、リンゴを探して夜明けの町をさまようなど、不眠の映画でもある。最後、ミミという一座の女性と、列車に乗り損ね(その理由がまたおかしいのだが)、車で次の興行場所へ飛ばしていき、無人の不思議なホテルで2人はベッドインする。彼は初めて、ここでシーンとして眠る。嫌いなはずのBGMを自らかけ、「さあ、ショータイムだ」というところで暗転。個性的な女性たち(じっさいのバーレスク女優たちらしい)が楽しいし、桟橋での長いキスシーンなど、印象に残る場面もいくつか。