どういうものなのか、行ってみるまでよくわからなかった、信濃町京都造形大外苑キャンパスを使った「本のフェス」に参加。午後から「本の雑誌商店街」と銘打つ教室で本を売る。北原尚彦、小山力也荻原魚雷諸氏と机を並べる、なかなか濃い販売エリアとなった。じつはあんまり期待していなかったのが、続々と途切れなくお客さんが訪れ、一箱を送り、+αを持参したのだが、ほぼ一箱分を売る。古本市常連さんに加え、ぼくのことなど知らない人も、もちろん大勢いて、言葉を交わしながらの販売がなかなか楽しかった。それと、これは「本の雑誌」力かと思うが、出版関係者や同業者がパーティのごとく襲来し、次々と、久しぶりの人たちと対面する。なかには、K社営業の10年ぶりぐらいに会った人もいて、なんだか自分の葬式のようであった。ほかで、これほど集中して知り合いと会うことはなく、「本の雑誌」が築いた歴史を感じる。古本少年ケンタロウくんとも久しぶり。この少年の古本熱に接すると、うれしくなる。「好きな子、いるの?」とか、おじいさんみたいなことを聞いてしまう。ごめんね。
会場に来てみて、チラシを見て、ようやく「本のフェス」の全貌を知るが、これはまた盛りだくさんの企画が勢揃いの、大掛かりなイベントである。どういう告知をしたか知らないが、こんなに集客力があるとは驚いた。夕方、早く店じまいをし、盛林堂へ、できあがったばかりの『古本屋写真集』を見に行こうと思って、外へ出たのだが、遅れた総武線に乗ると、もう余力がないことに気づく。盛林堂へ謝りのメールを入れてそのまま帰還。駅前「王将」でビールセットに餃子一人前を追加し、がつがつ流し込む。ウーロンハイを追加、ひと息つく。電車のなかでは、売れなさそうで持ち帰った丸谷才一批評集『日本文学史の試み』の「男泣きについての文学論」を読む。