一日フライングした戸山生涯学習センターの「講座」へ出かける。忙しくて来られなくなった夏葉社・島田くんの代打なり。今年、もう一回、登板する。一日間違えて行った昨日はギリギリだったので、今朝はそれより30分早く家を出たが、しばらく経験したことがないような濃霧の朝で、中央線は徐行運転。早稲田から結局早足で、となる。戸山は「山」とつく如く、小高い丘で、ずっと上り坂。広い教室で60名くらいの人(すべて高齢者)を前に、読書について一生懸命話す。みなさんに喜んでもらえたようで、よかった。
帰り、せっかくだから戸山に上る。大きな富士塚、ぐらいの感じか。数名の人が頂上で憩っていた。見晴らしもいい。途中見た教会もよかった。このあと穴八幡まで歩いて早稲田へ。ひさしぶりに早稲田古本屋街を歩く。某店店頭均一に、一冊100円で岩波文庫が並び、それを熱心に選び4、5冊抱えた若い女性がいた。ちょっとうれしくなる。早稲田の均一は、文庫2冊100円の店が増えた。それでも、見向きもせず、通り過ぎる若者が多い。
「安藤書店」で2冊、「古書現世」で1冊(奥野他見男の『おへその宿に泊るの記』は、あいかわらずいい加減なタイトル)買う。古書現世の向井くんと、短い時間だが言葉を交わし、いろんな情報を得る。向井くんの話し方は無駄がなく、適確に情報をコンパクトに伝える力がある。頭がよほどいいんだ、と思う。そうして話していたら、岡島くん登場。なんだ、身内ばかりじゃないかと言ってたら、数冊、均一の本を選んだ御老人が入ってきた。古書現世の均一は、筋目があり、満州、引き揚げ、戦後史、労働とけっこう揃っていて、この均一から20冊も買えば、一つ論文が書けそうだ。けっきょくこのあと高田馬場まで歩いたが、後半、足がガクガクする。これでは、低山であってもハイキングはできないぞと思う。早稲田古本屋街では、さいきん「谷書房」さんが閉め、だんだん淋しくなってきた。ぼくが上京した頃、よく通っていた時の半分くらいではないか。
単行本『人と会う力』再校ゲラが届く。いよいよ固まってきた。2月発売、とケツが決っているから、素早く戻す必要がある。