著作権等の知的財産権関連の質問とその回答(2)

登録商標一覧?〜著作権等の知的財産権関連の質問とその回答(1)〜
 http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050324#1111595733


回答がほとんど重複していたので回答しなかったり、
様子をみているうちに、すでに終了(締切)していた質問への回答と私見

【著作権】ウェブ上の記事の引用って、どの程度まで無許可で可能なんでしょうか?例えばウェブキャッチという有名なメルマガがあります http://www.webcatch.com/txt/20050301.html コンテンツのほとんどは他サイトの記事引用ですが、このメルマガが許可を取っていないとして、著作権上問題ないのでしょうか?

この手の質問はよくあると思いますが、基本的には違法かどうかというと違法である、
と思った方がいいように思います。
多少引用規定を知っている人が自己責任のもとで勝手解釈はいいですが、
他人に教えるとなると、通説的な妥当なこと、となるので、基本違法というのがやむをえない回答。
これが、本当にいいのか?というと表現活動が萎縮してしまうので、表現の自由の観点からはよくないんでしょうが、
ポイントもらって答えて訴えられた、というのはそれはそれで問題なので、難しいところ。
さて、こういう転載の場合に、宣伝にもなるから、というのはあくまで事実上の問題で、
著作権者もそのように考えれば法律上問題は表面化されませんが、
いいですか?と聞かれれば、ダメと答えることになると思います。
引用の説明に関しては、TomCatさんの説明がいいかなぁ、という感じがしています。
sami624さんの説明もわからなくはないんですけど、
たとえば、渋谷達紀『知的財産権法II著作権法・意匠法』4頁には、

思想または感情には、1.表現素材としての思想感情のほかに、2.素材をどのように表現するかに向けられた思想感情がある
引用者註:原文では1.2.は丸数字ですが、機種依存時のため置換しました。

とありますので、事実を伝えていてもその事実をどのように表現するかに向けられた思想感情がある場合には、
なお著作物性が認められる、というのが一般的だと思います。
10条2項は「“事実の伝達にすぎない”雑報及び時事の報道」の場合には著作物でない、このことを確認しています。
ここから一般に、死亡記事のような記事には著作物性がないと考えられているようです。
なお、「見出し」については否定する裁判例がありますが、新聞社は認めていないようです。
したがって、2条1項1号から単に「事実を伝える記事」だからというのは少し無理があるような気がします。
そのような見解はありうるとは思いますが、
はてな」での回答としては、一般的な方がいいのかなぁ?と思わなくもありません。


類似の質問としては、

新古問わず新聞記事や書籍の情報を自身のメルマガ(まぐまぐ)やサイトで紹介している所が結構ありますが、記事の版権をもっている新聞社、雑誌社へ事前許諾を得ずに掲載したとして、直接記事が商売でない、いわゆる間接的な商業(メルマガで物販とか)は認められているものなのでしょうか。また許諾を得るような場合は、雑誌や新聞社にはそのような窓口があるものでしょうか。どこまでが引用の範囲か実に微妙なので・・。例として『記事』−自身の解説−物販とか、通販とかのお知らせ。みたいなケースです。

があります。


ところで、blog上でのネット記事に関しては、
「引用」とはいえない転載も、そのうち「公正な慣行」化してしまいそうな気がしなくもありません。
というか、通常よりも広く「公正な慣行」として適法的に理解する方がいいと思ったりさえします。
それでもやりすぎは問題でしょうが…。
とか思っているところに、今度は侵害を主張する人の質問がありました。

ソーシャルネットワーキングJPのBLOGで、私の記事が全文丸コピーされて掲載されました。これを仮に訴えた場合、・訴訟費用がいくらかかるか?・何を求めるべきか?教えて頂けますでしょうか?簡易裁判で、けりをつける方法があるのでしょうか?大した痛手を負っているわけではありませんが、私は著作権というものを尊重していますので、詳しく知りたいです。ソーシャルネットワーキングJPの記事http://www.socialnetworking.jp/archives/2005/01/sns_115.htmlhttp://www.socialnetworking.jp/archives/2005/01/sns_137.html私が運営している「シロクマ日記」「SNSoft」の記事http://blog.livedoor.jp/tejicube/archives/10015055.htmlhttp://snsoft.jp/archives/2004/12/snssyndicate.html

実体的に違法かどうかということを考えると、違法だと思います。
複製権・公衆送信権を侵害しており、現状これを引用ということはできません。
引用として明示すればなんでも引用になると言うわけではなく、
一般的に言ってke_ishiさんの回答は誤りでしょう。
ちなみに、hexiumさんの「度を超えた引用として、認められないと解されます。」というのは、
度を超えたら引用じゃないんだよねぇ。と思ったりしています。
よくしてしまうことだけど、プロ(弁理士さんらしい)でもそういうことあるのね…。
ところで、「どうしたらいい?」と聞かれても困ります。
表現の適切さはともかくOzaさんの回答もわからなくはない。
やめさせたいのか、対価が欲しいのか、財産的損害賠償が欲しいのか、慰謝料が欲しいのか。
何を求めたいかで、訴訟の費用も異なります。
ちなみに、無償で公開しているから財産的損害はないと言うのは少し違うと思います。
だとすれば、読売新聞の記事もネットでタダで公開しているから損害なしになります。
(この場合は広告があるからとかいう議論も可能でしょうが、そうなるとblogでもアフェリエイトの有無で…)
しかし、そうではなく、自分の所で公開するにはタダだが、他人が公開することをコントロールするのが、
そもそもの著作権なわけで、これに許諾して対価を得ることも権利者の権限です。
他人の掲載の相場というものがあるならば、多少の損害は認められると思います。
また、慰謝料も否定できないでしょう。
ただし、その額が問題で相手サイトのアクセスにもよりますが、やはり微々たるものでしょう。
その点で困難性は否定できません。
また、差止を求めれば少額訴訟が使えないのも指摘されている通り。
事前に申し入れをしなければ権利濫用ということがあるのかどうかはわかりませんが、
実際上は、まずは裁判外で警告してから裁判する方がいいと思われます。これで和解できればなによりですし。


ちなみに、taxaさんの
ライブドアブログで書かれた記事やコメントなどの著作権ライブドアにあるのでは?」
との回答がありますが、
http://blog.livedoor.jp/staff/archives/9219857.html を読む限り、
ライブドアの著作物利用について利用を許諾し、または著作者人格権侵害行使しないだけで、
権利そのものは記入者に帰属していると思われます。


また、matsunagaさんのグレー発言は上の私見と通じるところがあるかもしれません。
特にblog間については、トラックバック付転載は「公正な慣行」と考えてもいいかもしれません。


ところで、この質問にはトラックバックがありましたので、みてみました。
dokushaさん。http://d.hatena.ne.jp/dokusha/20050325
 下書き段階なので、コメントは控えます。


quintiaさん。http://d.hatena.ne.jp/quintia/20050326
ここでは、

この質問を読んで、相手先のURLを見た人は「他人のblogのスクラップで記事作ってるサイト」と思いこむだろうけど、
一応前後の記事では多少なりとも自分で書いているようだ。

との指摘がなされており、筆者もそう思いこんだ一人。
ただ、前後の記事で書いても、その記事でかかないとどうかなぁ?という問題はあります。
著作物の1個性の判断で難しい問題でもありますが…。

私自身も個人的なメモのためという理由で、リンクすることはあるのであまり大きなことはいえないなぁ。

リンクだけならいくらしてもいいんですけど、リンクと共に転載するといろいろ問題があるようです。
実際本当に私的なメモなら私的使用目的の複製はできるわけですが、
これをblogにしてしまうと、公衆送信権侵害になってしまうわけです。
まぁ、このblogだってかなり微妙と思われる部分があるかもしれませんが、
筆者としては、一応一定の基準をもっては運用しています。


motoiさん。http://motoi.livedoor.biz/archives/17539256.html
ここでは、
http://homepage3.nifty.com/gyoukoji/(Hidenori Kojima、小嶋行政書士事務所)
が紹介されています。以下、少し上とは話がそれますが御容赦下さい。
ここで紹介されているのは、行政書士の「著作物存在の事実証明」に関するサイトです。

『著作物存在の事実証明』とは、著作物の存在事実(創作者がだれで、いつ創作されたものなのか)を、
法的に事実証明力を付与された者(行政書士法1条の2)が証明し、公証人の確定日付を得て、
その著作物を保護するものです。つまり、行政書士が、その権限に基づいて、
あなたの作品・企画書・写真などを、間違いなくあなたのものであることを、法的に証明するものです。

確かに、事実証明はいいようにも見えるんですけど、ネットでの著作物には現実的にはないですし、
よほどトラブルになりそうなことについて事前にやっておく必要があるだけで(原稿を他人に見せる前とか)
通常はあまりに気にしなくてもいいように思います。
実際上記サイトには、

利用例としては、
 1、自分の作品、企画書、写真等の創作物の盗用を防ぎたいとき。
 2、自分の創作物を売り込んでいるとき(無断利用を防ぐ)。
 3、企業秘密の流失を防ぎたいとき。 
 4、その他、未発表のものや、公表したくないものを保護したいとき。

と説明されています。
実際にどのようにその著作物(らしきもの、おそらく99.99%著作物だけど)を証明するのかは存じませんが、
写真のネガをもっていたところで、本当にその人がとったかはわからないわけで、
あくまで、○○の時点で、□□という人が△△という著作物を自己の著作物として主張していたという事実を、
証明するだけのことのように思うのですが、どうでしょうか?(安いから実際に頼んでみるのも手かも知れない。)
裁判でそのことが問題になったことを証明するだけで、
たとえば、その時点ですでに◇◇という人が△△’という著作物を創作していた場合に、
△△という著作物が□□という人の著作物かどうかというと、なお争いになるように思うのですが。
結局の所、著作物の存在を証明をするだけで、証明の便利さという意味では役立ちますが、
権利そのものを証明するわけではないことは、注意が必要のように思います。


こういうことを書いていると、

著作権の取り方・生かし方 (実日ビジネス)

著作権の取り方・生かし方 (実日ビジネス)

が頭をよぎります。立ち読みしただけですが、こんな風なことが書いてあったような…。
(紹介はしてますが、本自体はあんまりお勧めしません。特にくわしくない人には)
この人の活動については、
豊沢豊雄発明学会(http://toyosawa.net/)や、
知的所有権協会http://www.e-chiteki.com/)があるが、
これらについては、
http://www.yin.or.jp/user/pote/
http://www.jpaa.or.jp/old/gozonji/care/songaisosyou-kakutei/kaityou_20020605.htm
をご参照ください。
読んだらややこしくなるので、あんまりお勧めしないが…。
筆者もいまいちわからないので、これ以上は差し控えます。


なお、「著作物の存在事実」はこれほど胡散臭いものではありませんし、
士業の方がされるので、きちんとしたものですが、実際上は上の
「2、自分の創作物を売り込んでいるとき(無断利用を防ぐ)」くらいにしか役立たないのではないかなぁ?
と思ったりしています。
いずれにせよ、実体上は創作することにより権利は発生するので、
ここでの話はあくまで裁判でそれをいかに証明するかという問題です。
また、くわしく調べて書ければいいなぁ、と思っています。理解間違いがあればご指摘ください。

憲法改正を考える(その6)〜小委員会要綱案(1)といっても自民党批判〜

憲法改正を考える(その1)〜国民投票法(1)〜
http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050314#1110803315
憲法改正を考える(その2)〜自民論点整理(1)〜+自民党ホームページについて
http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050314#1110805753
憲法改正を考える(その3)〜自民論点整理(2)〜
http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050315#1110816281
憲法改正を考える(その4)〜自民論点整理(3)〜
http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050315#1110821749
憲法改正を考える(その5)〜国民の権利と義務に関する小委員会(1)+綿貫氏の発言について〜
http://d.hatena.ne.jp/okeydokey/20050326#1111775076

ヘタレ自民党の閉鎖的政治はなんとかならんもんかね。
報道によれば、自民党憲法起草委員会(委員長・森喜朗前首相)が、4日に小委員会要綱案をまとめたらしいが、
自民党のサイトにはそれらしくことは何も書いていない。何のためのホームページだ。
政党助成金という名の税金もらって党運営しているんだったら、きちんと更新しろよ、と思うわけです。
これだけのネット社会で、あれだけ議員さんがいるのに、そういうところには頭がまわらないようでは、
本当にこいつらに日本の政治をまかせていていいのかね?と思ったりしてしまいます、
で、その頭の悪い国会議員どもが、よってたかって考えた要綱案の内容についてなんですが、
マスコミ批判するくせに自分等では何もださない。どこでその要綱案は見れるのだね?


で、報道をみたが、良い感じでまとまって伝えているのがなかったが、内容はだいたい今までみてきたとおりである。
よって、見解も今までのべた通りである。
そこで、今回はひとことだけ自民党の議員に言いたい。
憲法は国民が国家を規律ためのものであって、政府が国民を規律するものではない


賢明な国民はそのことをよく考えて要綱案を評価するべきであろう。