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Fri, Jan 06, 2006 iBook届きました。

[][]「サウンドロゴ」と著作権

「CM音楽にも著作権」 音楽家が住友生命を提訴

 企業や商品用の短いCM音楽「サウンドロゴ」を無断で再使用されたとして、音楽家の生方則孝さん(46)が住友生命保険に著作権存在確認や使用料など500万円の損害賠償を求め、4日までに東京地裁に提訴した。

 生方さんは「三井のリハウス」(三井不動産販売)などのサウンドロゴでも知られ、これまでに数百曲手掛けたという。

 訴状などによると、生方さんは同社の依頼で1986年に「すみともせいめい」という企業名を約2秒半の旋律にのせたサウンドロゴを作曲。契約の書面はなかったが、2、3年使用されると思っていたところ、95年ごろまで使用された。

(共同通信) - 1月4日22時7分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060104-00000197-kyodo-soci

この点、そもそもいわゆるロゴに著作物性があるのか、という問題がある。

この点について、「ロゴ著作物性」事件判例がある(東京地判平成12年9月28日判時1731号111頁)。

(ちなみに被告は「住友建機株式会社」。)

この判決は、

 著作権法二条一項一号は、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」を、著作物とすると規定し、さらに同条二項は、「この法律にいう『美術の著作物』には、美術工芸品を含むものとする。」と規定している。右規定は、意匠法等の工業所有権制度との関係から、著作権法により著作物として保護されるのは、純粋な美術の領域に属するものや美術工芸品であって、実用に供され、あるいは産業上利用されることが予定されている図案やひな形など、いわゆる応用美術の領域に属するものは、鑑賞の対象として認められる一品製作のものを除き、原則として、これに含まれないことを示しているというべきである。ところで、本件で著作物性が問題となっている文字の書体についていえば、文字は万人共有の文化的財産であり、もともと情報伝達という実用的機能を有することをその本質とするものであるから、そのような文字そのものと分かち難く結びついている文字の書体も、その表現形態に著作物としての保護を与えるべき創作性を認めることは、一般的には困難であって、仮に、デザイン書体に著作物性を認め得る場合があるとしても、それは、当該書体のデザイン的要素が、見る者に特別な美的感興を呼び起こすに足りる程の美的創作性を備えているような、例外的場合に限られるというべきである。

とした上で、

2 そこで、本件ロゴについて検討するに、本件ロゴは、角ゴチック体と丸ゴチック体を適宜組み合せ、文字の太さ等を工夫することにより、力強いイメージや安定感を表現し、被告の会社名を表現したものである。本件ロゴを子細に検討すると、特に文字の右端を丸くしている点など、一般の書体には見られない特徴を有していることが認められるが、他方、親会社である住友重機の社名ロゴ(別紙二)と対比すると、これを基本に、同様なイメージを表現したものであって、美術としての格別の創作性を有するものではなく、見る者に特別な美的感興を呼び起こすような程度には到底達していないといわなければならない。右によれば、本件ロゴをもって、著作物と認めることはできない。

 3 著作物性の有無については、対象物自体を客観的に観察することによって判断されるべきであり、本件ロゴの制作過程として原告の主張する事情は、本件ロゴの著作物性の判断に影響しないというべきである。また、商標は、創作性の有無とは無関係に商標登録を受けることができるのであるから、本件ロゴが商標登録されているという事実は、本件ロゴの著作物性の有無とは無関係である。

と判示して、著作物性を否定している。

もっとも、(この裁判例を前提に考えるにしても)その射程をどのように理解すべきかは難しい。

本件は、「文字ロゴ」に関するものであるが、基準自体は文字ロゴ以外図形ロゴについてもあてはまろう。

ロゴだから著作物性がないとか、ロゴにも著作物性はある、という割り切った議論はできないが、

ロゴであっても、著作権法の定める「著作物」性を認められるのであれば、

商標法・意匠法上とは別の表現に対する保護は与えることができよう。

しかし、サウンドロゴ=音楽となると「美術」の著作物性とは異なる範疇の「音楽」の著作物性の問題となる。

もちろん、純粋音楽、応用音楽という概念をもちだして議論する余地はあるようにも思うが、

意匠法による保護に音楽が含まれないことから、必ずしも同様の議論できるかとなると難しいし、商標法も保護していない。

結局のところ、著作権法上の保護については、単純に当該「約2秒半の旋律」が(音楽の)著作物たりうるのか、ということになる。

ありふれた表現なのかどうかということに尽きるように思われるのである。

確かに、一般論としてあまりに短い旋律に著作権法の保護を与えることは妥当でない。

標語やキャッチフレーズに著作物性が認められにくいのと同様である。

ただ、だからといって、著作物性が一律否定されるというものではないし、

仮に著作物性を認めたとして、複製権侵害、翻案権侵害となる幅は小さいものであろうし、権利濫用の幅も大きいように思われる。

作花文雄『詳解著作権法 第3版』98頁(ぎょうせい,2004)参照。

また、「交通安全スローガン」事件判例がある(東京地判平成13年5月30日判時1752号141頁)。

1 著作物性の有無について

 著作権法による保護の対象となる著作物は,「思想又は感情を創作的に表現したものである」ことが必要である。「創作的に表現したもの」というためには,当該作品が,厳密な意味で,独創性の発揮されたものであることまでは求められないが,作成者の何らかの個性が表現されたものであることが必要である。文章表現による作品において,ごく短かく,又は表現に制約があって,他の表現がおよそ想定できない場合や,表現が平凡で,ありふれたものである場合には,筆者の個性が現れていないものとして,創作的に表現したものということはできない。

 そこで,原告スローガンについて,この観点から著作物性の有無を検討する。

弁論の全趣旨によれば,原告は,親が助手席で,幼児を抱いたり,膝の上に乗せたりして走行している光景を数多く見かけた経験から,幼児を重大な事故から守るには,母親が膝の上に乗せたり抱いたりするよりも,チャイルドシートを着用させた方が安全であるという考えを多くの人に理解してもらい,チャイルドシートの着用習慣を普及させたいと願って,「ボク安心 ママの膝(ひざ)より チャイルドシート」という標語を作成したことが認められる。そして,原告スローガンは,3句構成からなる5・7・5調(正確な字数は6字,7字,8字)調を用いて,リズミカルに表現されていること,「ボク安心」という語が冒頭に配置され,幼児の視点から見て安心できるとの印象,雰囲気が表現されていること,「ボク」や「ママ」という語が,対句的に用いられ,家庭的なほのぼのとした車内の情景が効果的かつ的確に描かれているといえることなどの点に照らすならば,筆者の個性が十分に発揮されたものということができる。

 したがって,原告スローガンは,著作物性を肯定することができる。

とする一方で、

2 被告スローガンの内容及び著作権侵害の有無

 証拠(乙2)によれば,被告電通は,被告協会から,チャイルドシートの着用促進を目的とした広告の作成を依頼されたこと,街角調査の結果,チャイルドシートの普及率が低いのは,親が幼児を抱く方がチャイルドシート着用より安心であるとの誤った考えが残っていたことが判明したこと,そこで,そのような考えを改めるための広告表現として,「ママの胸より チャイルドシート」というスローガンを採用したことが認められる(なお,被告は、被告スローガンは,広告表現の中で使用された一部であり,独立のスローガンとしての意味はない旨主張するが,乙2に照らして採用できない。)。そして,被告スローガンは,2句構成の7・5調(後の句の字数は8字)が採用され,前記の趣旨が,極めて短い語句で,簡潔かつ直裁的に表現されている。

   そこで,原告スローガンと被告スローガンの各表現を対比する。

 両スローガンは,「ママの」「より」「チャイルドシート」の語が共通する。

 上記共通点については,両スローガンとも,チャイルドシート着用普及というテーマで制作されたものであるから,「チャイルドシート」という語が用いられることはごく普通であること,また車内で母親が幼児を抱くことに比べてチャイルドシートを着用することが安全であることを伝える趣旨からは,「ママの より」という語が用いられることもごく普通ということができ,原告スローガンの創作性のある点が共通すると解することはできない。

 これに対し,原告スローガンは,被告スローガンと対比して,?「ボク安心」の語句があること,?前者が「膝」であるのに対し,後者は「胸」であること,?前者は,6字,7字,8字の合計21字が3句で構成されているのに対し,後者は,7字,8字の合計15字が2句で構成されている点において相違する。そして,?原告スローガンにおいては「ボク安心」という語句が加わっていることにより,子供の視点から見た安心感や車内のほのぼのとした情景が表現されているという特徴があるのに対し,被告スローガンにおいては,そのような特徴を備えていないこと,?「ママの膝」と「ママの胸」とでは与えるイメージ(子供の年齢、抱きかかえた姿勢等)に相違があること,?原告スローガンにおいては,3句構成からなる5・7・5調が用いられ,全体として,リズミカル,かつ,ゆったりした印象を与えるのに対し,被告スローガンにおいては,2句構成からなる7・5調が用いられ,極めて簡潔で,やや事務的な印象を与えること等から,前記各相違は,決して些細なものではなく、いずれも原告スローガンの創作性を根拠付ける部分における相違といえる。

 そうとすると,両者は,前記の共通点があっても,なお実質的に同一のものということはできない。

以上のとおりであるから,被告スローガンは,原告スローガンについて原告が有する複製権を侵害しない(なお,前記と同様の理由から翻案権侵害もない。)。

として、権利侵害は否定している。著作物性が認められるからといって、必ずしも第三者の自由が制約されることにはならない。

(ただし、楽曲中に当該旋律をそのまま取り込むと権利侵害となろう。主にかかる場合との調整で著作物性が問題となると思われる。)

本件旋律に、相応の創作性が認められるならば、著作物性を肯定することは可能のように思われる。

もっとも、筆者としては、あえて著作権紛争とする必要はなく、単なる契約の問題で解決できそうな気がしなくなはい。

当該成果物が著作物であるか否かにかかわらず、契約解釈としても紛争解決できるのではないかと思うのである。


ところで、著作権の存在確認訴訟において、そもそもの著作物性の争いであるとき、

本件では、委託者と受託者との紛争において著作物性が示されることになり、

特にこれが肯定された場合に、第三者との創作活動との関係で衝突が生じうることになる。

既判力の人的範囲として第三者には及ばないが、著作権訴訟判決が事実上の第三者効を及ぼし、

その制限が少なくないことは、気になるところである。

このことにはついては機を改めて考えたいとは思っているが…。

追記:

原告のブログuBuLOG=ウブログ - Yahoo!ブログがあるようです。

時間があれば、次回はそれを参考にコメントしてみたいと思います。

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