おけぐわの日記

2ch系さいたまフラッシュサイト「おけぐわの微笑」管理人の OKGWA の日記です。かつては毎日更新を心がけていましたが、今は不定期更新です。

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[2009-03-02]

マジコンそのものの違法性と今後の携帯ゲーム機について  マジコンそのものの違法性と今後の携帯ゲーム機についてを含むブックマーク

判決文を読んでないのですが(どこかにあるんですかね? ちょっと探しただけだと見つからなかったので……)、マジコン訴訟の判決について。

なんだか次の記事がやり玉に挙がっているようです。

前半の主張を要約すると次のようなところでしょうか。

  • マジコンは元々ゲーム機(例えばDS)のプラットフォームでソフト開発をしたいアマチュア開発者のためのもの。
  • アマチュア開発者たちは必死の抵抗をするのでマジコンは根絶されないだろう。
  • マジコン開発自体も違法になり、アングラ化してますます手のつけられない事態になるだろう。

しかしこれは少々論点がずれてるような気がします。

ぶっちゃけた話、マジコンが単にROMイメージを実機で動かすため「だけ」のものであれば、マジコン自体の違法性は希薄です。少なくとも著作権法でどうこうなるものではありません。Winnyですら著作権侵害の正犯には問われなかったのですから、これは当然のことと言えます。ROMの複製機能を持つマジコンにしても、少なくとも私的複製は合法ですから同様です。

じゃあ何で今回販売差し止めの判決が下ったかというと、今回の訴訟は著作権法ではなく不正競争防止法に基づくものだったからです。

で、(まあこれはネット上での下馬評ですが)任天堂(他54社)が提訴に踏み切ったきっかけはドラクエ5のプロテクト解除パッチではないかと言われています。ドラクエ5では正規のROMでないとストーリー冒頭の船から下りられない……というか、要はフラグが立たないような仕掛けがしてあったんですね。

しかしながらこの手の話でソフトウェア的に解決しないものはないわけで、これを回避するためのパッチが直ちに公開されたわけです。これがもろに不正競争防止法の次の条文に抵触したものと思われます。長いですが不正競争防止法の条文を転記します。

十 営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録をさせないために用いているものを除く。)により制限されている影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能のみを有する装置(当該装置を組み込んだ機器を含む。)若しくは当該機能のみを有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、又は当該機能のみを有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為

不正競争防止法条文(平成19年1月1日施行版)(PDF形式:128KB)

つまりプロテクト解除パッチを用意したことで、マジコン開発者側は任天堂側が用意した土俵にずかずか上がっていったという構図になってしまったんですね。

従いまして、地裁判決は『単にROMイメージを実機で動かすため「だけ」のもの』もミソクソにして違法だ、というものにはなっていないはずですし、これがひっくり返ることも、まあ、ほとんどあり得ないと思います。Winny訴訟(著作権法違反幇助)のような少々無理のある理由による提訴ではないのです。

というわけで、プロテクト解除機能(のみを有する装置もしくはプログラム)が組み込まれていないマジコンをアマチュア開発者が開発することについては違法と見なされることはまずないと思います。まだその程度は司法を信頼できるはずです。

ていうか、そもそもマジコンの来歴からしてアマチュア開発用というのが実態に即してないです。つまり上記の記事の前半の主張は二重の意味でナンセンスです。

それはそれとして後半の主張は、前半のグダグダとは対照的に興味深い指摘です。すなわち、そもそも不正コピーが問題なのだからそれを防ぐ方が良い、ということですね。上記の記事の筆者は対案としてSteamのような認証システムの導入を挙げています。

実際問題として、携帯ゲーム機でネットワーク認証が必要なDRMの類を導入するのはあまりにも非現実的ですが、進むべき方向性としてはもはやそちらしか残されていないように思います。

もはや携帯ゲーム機でROMを差し替え差し替え遊ぶ時代でもないでしょう。マジコンを建前通り「バックアップシステム」として使うならばこんなに便利なものはありません。ポータブル音楽環境はとっくの昔に「十分な大きさのストレージにいくらでもコピーして持ち運ぶ」スタイルが標準になっていてしかも(一応)合法なわけですが、ポータブルゲーム環境は未だCDウォークマンの時代と何ら変わりません。つまりユーザは不便な使い方を強いられているわけで、そのへんに著作権者の傲慢さを感じなくもありません。

もちろんDSiウェアは一つの回答と言えましょう(という意味では任天堂マジコンを駆逐しようとするだけでなく、同時にきちんと対案を示しているという解釈も可能です)。また、次の記事に出てくる新型PSPは(真偽のほどはともかく)携帯ゲーム機の進化としては全く正しいわけです。

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