寝苦しい夜

暑い・・・・夜になっても気温がさがらないのが堪える・・・。
なるべくクーラー使いたくないと思うのだが、夜でも28度とか29度というと、もう頼るしかなく、夜中に喉が渇いて何度も目が覚め、おまけにニャンズも寝苦しいのか、入れ替わり立ち替わりするので、日中眠くてたまらない。


こういうときは涼しくなるよう怪談めいた話でもと思って、宮部みゆきの百物語シリーズの最新版を買ってきた。



さて私には霊感なんてこれっぽちもないのだが、神社や古墳巡りをしているとまれに恐いと感じる場所に立ち会う。
古墳はだいたい墓所だし、神社の中には死んだ人の魂(特に恨みを抱えて死んだ人)を鎮めるために建てられた神社もある。さらに福岡の場合、小倉から熊本の県境南関まで高速道を通すのに、大小70以上の古墳を潰したと言うから、地面の下は遺構だらけと言ってもいいくらい。気にするとやってられないと思うのだが、やっぱりなんか怖いと思う場所に出逢うことがある。


今まで最大に怖かったのが、鹿児島の城山。ウン十数年前に歴史的背景を何も知らず歩いて登ったのだが、登るたびに心臓がどきどきしてきて、嫌な汗が流れ出し、ここには行きたくないという思いがぐるぐるしてきて、頂上で桜島をバックに写真を撮るやいなや逃げるように降りてきたことがある。このとき相方と一緒だったのだが、やっぱり同じような感覚がしたそう。あの超鈍感男も感じたと言うから、やっぱり何かあるのだろうなと思って調べると、西南戦争で最後に西郷さんたちが隠って、激しい戦いがあったところで、南洲窟という徹底抗戦した人達が最後に西郷さんを囲んで自決した洞窟があるんだそうだ。
最近になって、城山ホテルのお風呂に行こうという話(九州八十八湯)になり、嫌だといったが引きずられ、車で登るはめになってしまった。途中その洞窟を見てしまった・・・ああ、嫌な予感がする・・・結局お風呂の帰り、ナビは高台に広がる墓地への道を指し、日はとっぷり暮れた中、先細る墓地のどまんなかで立ち往生し、もう半分パニック状態で車をバックさせ、ほうほうのていで逃げ帰ってきたという、怖い体験をしてしまった。


会社に行く途中、通勤の抜け道にたまに使う道にも怖い場所がある。花立山という。ちょうど久留米から福岡へ抜ける狭い通路のような平野の真ん中にぽつんとたつ低山で、ここの脇を通るとやっぱりなにか圧迫感がある。ある日仕事で飯塚にいくことになり、この山の麓の池のある公園の入り口駐車場で同僚と待ち合わせし、一台に乗り合わせて飯塚へ向かった。仕事を終えて駐車場に戻ってきたのは、夜のとばりが降りきったころ。同僚はさっさと車をだして行ってしまったのだが、私の車はエンジンがかからず、エンストを起こしてしまった。もう暗闇に浮かぶ真っ黒なこの山の姿を見たときから、怖くて怖くてたまらず、焦りに焦ってしまったからだと思う。うぎゃあと叫びながらなんとかエンジンをかけ、もの凄いスピードで駐車場をでた。
ここも調べてみると、北東の斜面に4世紀前後の古墳があり、南西斜面には土器を作っていた窯跡が幾つも残っていて、縄文時代から古墳時代にかけて人が住んできた集落跡が周りに点々。近世にかけても常に戦いの場になったところのようだ。北東部の古墳は見にいったのだが、全然平気で、いけないのは南西部のほう。あの駐車場から先、池にも山の登り口にも一歩たりとも近づきたくもない・・・


このあいだ行った柚比永田遺跡。大きく開かれたニュータウンと昔からの村の境に不思議なこんもりとした山があり、遺跡を見た後、あたりの地形も見ておきたいなと思い、むかった。頂上に神社があり、小山を囲むように水路があるので、もしかしたら人の手で作られた墳か塚かもしれないと推理しながら登ったのだが・・・。


石段をあがるたびに後悔した。うっすらとあの感覚がする。途中黒い羽で水色の胴体をもつカワトンボが、誘うようにとびかい、自分を励ましながら登る。神社自体は比較的新しく建てられた質素なもので、愛宕神社とあった。神社の後ろが更にこんもりと小高くなっており、石の祠がある。なんとなくなんとなくこの祠が怖かった。怖いと思う正体はこの石の祠だった。逃げ出す前にブレブレで撮った写真。


石段に戻ると平常心が戻ってきた。ゆっくり息を吸って吐き出して、『お邪魔してすみません。』といって下った・・・・。



宮部みゆきの百物語、人の心の闇について、ストーリーテラー宮部みゆきの手で引き込まれるようなお話しにしあがっていて、夜中までかかって一気に読んでしまった。サスケやたまちんをいじりながらしばらくまんじりもんもんとして、でもその後朝までぐっすりと眠ることが出来た。


私が怖いと思うものの正体は何だろう。う〜ん、考えない方がいいのかな。それとも気のせい???