2012年12月 第4回定例会 討論

 ただ今より、上程されております諸議案について、賛成並びに反対の討論を行います。まず、それぞれの議案に対する賛否を明らかにして参ります。議案第71号から76号までの一般会計、各特別会計並びに水道事業会計の補正予算については、71号の一般会計補正予算に反対。その他は賛成するものであります。議案第77号から89号までの条例制定並びに条例改正については、84号の市税条例の一部改正に反対。85号の暴力団排除条例の一部改正については、態度を留保。その他については、賛成をするものであります。議案第90号から98号までの道路認定並びに道路の廃止については、賛成をするものであります。議案第99号から議案第100号までの各会計補正予算については、99号の一般会計補正予算に反対、その他については賛成をするものであります。陳情につきましては、陳情第4号「介護職員処遇改善加算の継続、拡充の国への意見書提出を求める陳情」 陳情第5号「安全・安心の医療・介護実現のための夜勤改善・医師看護師等の大幅増員の国への意見書提出を求める陳情」 陳情第6号「社会福祉関係の県単独補助制度などの廃止に反対し、継続を求める意見書提出を求める陳情」に賛成し、陳情第1号「地球社会建設決議に関する陳情」については、反対をするものであります。

 それでは、その理由について申し述べます。
 まず、議案第71号一般会計補正予算についてですが、小・中学校普通教室等空調整備事業の債務負担行為補正について反対をするものであります。この債務負担行為補正は、来年度小学校3校、中学校3校の普通教室に空調機(エアコン)を設置するために、空調機設置に伴う受変電設備の改修工事、電源配線・配管類の設置工事、屋外機の基礎工事、安全フェンス設置工事、既設温風暖房機、オイルタンク及び付属設備の撤去工事の契約を本年度内に行うためのものであり、限度額は3億1912万7千円が設定されております。

 ご承知のとおり債務負担行為は、契約等で発生する債務の負担を設定する行為で、予算の「内容」の一部でありますが、今年度の歳出予算には含まれず、今回の場合、来年度(2013年度)予算に全額計上されることになります。債務負担行為は、来年度以降の歳出予算の一部を現時点で確定することになりますので、財政運営上、乱用には十分な注意が必要であることは言うまでもありません。すでに当局は、今回の小中学校6校を皮切りに、すでに設置されている小学校2校のぞく、15校すべてに設置をする意向を示しておりますので、実質上、今後3年間の歳出予算の一部を規定することにもなります。
 ところが、教育市民常任委員会の審査で明らかになったことは、このエアコン設置事業の総事業費が一体いくらになるのか、また財源構成はどうなるのか、再編交付金を充当するとしておりますが、再編交付金の充当額は総額いくらになるのか、市単独財源は一体いくらになるのか、全てわからない、すなわち実施計画も明らかになっていないということであります。

 そこで、今回の債務負担行為及び2012年度の基本設計・実施設計予算から、総事業費を試算してみました。 今回の債務負担行為の設定は、小学校3校、中学校3校で、3億1912万7千円。実際には基本設計・実施設計のより各校の工事費は違ってきますが、今回の工事額から単純計算すると、1校あたりの平均工事費は5318万7千円。残り8校では、4億2549万6千円となり、工事費の総額は、7億4462万3千円となります。さらに、今回債務負担行為が設定された小学校3校、中学校3校は、今年度予算で基本設計・実施設計委託料2794万6千円が支出されておりますので、これも今年度予算を元に残り8校を試算すると、3725万6千円となり、基本設計・実施設計の総額は、6520万2千円となります。よって、設計委託料と工事費の総額は3年間で8億982万2千円にのぼるわけであります。
 これにリース料が加わることになりますが、正確なところはわかりませんので、仮に年間リース料を6000万とすると、7年間で4億2000万円。これをさきほどの工事費等の総額とあわせると、総事業費は12億2982万2千円となるわけであります。
 しかも、このうち3年間は設計・工事・リース料が重なりますので、事業費が特に膨らむことになります。具体的に見て参りますと、たとえば、来年度2013年度では、工事費が3億1912万7千円、次年度工事の設計委託料が今年度実績から類推すると、2794万6千円、これに6校分のリース料2413万8千円の半分(6ヶ月分)1026万9千円となり、単年度事業費総額で、3億5914万2千円となるわけであります。

 これに対し、再編交付金の交付額は年額約1億2000万円。この再編交付金を全額エアコン設置に充当することはできないでしょうが、仮に全額充当したとしても、残りの約2億4000万円は、市単独財源を充当しなければならなくなります。これまでの小・中学校の耐震化工事の年間事業費は、約2億円ほど、市単独財源はその半分以下でしたから、年間3億円以上の事業費、2億円以上の市単独財源の投入は、ほんとうに妥当なものと言えるのでしょうか。これでは確かに、第4次総合計画の重点施策として掲げられていた学校校舎などへの太陽光発電設備の設置事業には、財源が振り向けられないのは当然のことでありましょう。ところが、先の2011年度決算認定についての討論で指摘しましたように、第4総の教育環境に係わる重点施策は、このように実態上変更されているにもかかわらず、その政策判断の説明は行われておらず、なし崩し的な政策な変更と言っても過言ではありません。

 では、なぜこうしたこととなったのか。その原因は、2011年度予算で、年額4989万6千円、7年間5億9270万4千円のリース料だけで、小中学校全校にエアコンを設置できるとした予算措置、財源見通しの甘さに起因していると思われます。当局は、2011年度予算の未執行について、東日本大震災原発事故による節電など電力事情によるものとしておりましたが、では、大震災や原発事故がなければ、この予算の執行は可能だったのでしょうか。答えは明らかに否であります。小中学校全校にエアコン設置を打ち上げたものの、財源見通しを誤ったが故に、総額8億円を超える工事費と設計経費を上乗せしなければならない事態となり、総合計画の重点施策もなし崩し的に変更せざるを得ないというのが実情ではないでしょうか。本来なら、まずはこうした行政事務の誤りを明らかにした上で、総事業費の見通し、財源の見通しを明らかにして、その政策的妥当性を再度検証することが必要ではなかったかと思う次第であります。

 以上の点から、今回の小・中学校普通教室等空調整備事業の債務負担行為補正に反対するものであります。

 次に、議案第71号から76号までの一般会計、各特別会計並びに水道事業会計の補正予算については、概ね妥当な措置として、賛成をするものであります。

 次に、議案第77号から89号までの条例制定並びに条例改正については、84号の市税条例の一部改正に反対するものであります。今回の市税条例の一部改正は、民主党政権下の2011年11月に民主党自民党公明党などの賛成によって成立した「東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係わる地方税の臨時特例に関する法律」(以下、地方税の臨時特例法)の施行に伴い、臨時特例措置として2014年度から2023年度まで個人市民税について、均等割りの税率を3000円から3500円とするものであります。

 この法律は、いわゆる「復興増税」の一部をなすものでありますが、私はこの復興増税になぜ地方税増税が含まれるのか、一貫して疑問に思ってきました。それは、東日本大震災からの復興の財源としての政策的妥当性の問題というより、なぜ被災地の復興のために全国一律に地方税増税されるのかという点でありましたが、過日問題となりました復興予算の流用問題」と今回の条例改正によって、この疑問は、残念な意味で解消されました。

 この地方税の臨時特例法の第1条(趣旨)では、「東日本大震災復興基本法第2条に定める基本理念に基づき、・・・実施する施策のうち全国的に、かつ、緊急に地方公共団体が実施する防災のための施策に要する費用の財源を確保するため」とあります。では、復興基本法第2条の基本理念とは一体どういうものかと言えば、その中には「単なる災害復旧にとどまらない活力ある日本の再生を視野にいれた抜本的対策」という言葉や「21世紀半ばにおける日本のあるべき姿を目指して行われること」という言葉が入れ込まれております。

 そして、この極めて抽象的な文言を根拠として、復興基本法を受けて策定された「復興の基本方針」の中では、「実施する施策」として「被災地域の復旧・復興及び被災者の暮らしの再生のための施策」などと合わせて「東日本大震災を教訓とした全国的に緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災・減災の施策」が盛り込まれ、これが、「全国防災」として、全国の国道整備や林道整備、国立競技場の補修、果てはシーシェパード対策まで拡大され、いわゆる「流用」に道を開くこととなったわけであります。

 この復興増税ついて、国民の多くは被災地の支援のためと説明され、「それなら仕方ない」と思われた人々も多かったと思います。しかし、実際は訳のわからない抽象的な文言を根拠に、復興予算の流用が横行し、さらに被災地と関係のない地方公共団体の防災対策に充てられるわけですから、まさに「詐欺商法」とでも言うべきものであります。

 以上の点、すなわち今回の市税条例改正については、根拠法自体が拡大解釈によるものであるという点から反対をするものであります。

 次に、議案第90号から98号までの道路認定並びに道路の廃止については、概ね妥当なものとして賛成するものであります。

 議案第99号から議案第103号までの各会計補正予算については、99号の一般会計補正予算に反対、その他については賛成をするものであります。 99号の一般会計補正予算に反対する理由は、毎年同様でありますが、一般会計の各使用料などに転嫁されている消費税相当分を、地域福祉ふれあい基金に積み立てるることであります。

 このことについては、私は初当選以来、一貫してその問題を指摘し、反対をして参りました。以下は、今から約16年前、私の1期目、初めての予算審議における討論の一部です。
 「一般会計においては、消費税法上、売り上げに係わる消費税額と仕入れに係わる消費税額を同額とみなし納付税額が生じないとなっているにもかかわらず、1989年の消費税導入以降、星野市長は一般会計の各使用料などについて、消費税の転嫁を行っています。問題は、国への納付義務がないにもかかわらず消費税を徴収していることの不当性です。一般会計において使用料などに転嫁された消費税は、消費税として徴収されているにもかかわらず、国には納付されず、本市においては地域福祉ふれあい基金に積み立てられています。このことについて、一体どのくらいの市民が知っているでしょうか。本定例会にも消費税率アップに伴う各種の値上げが上程されていますが、市民にとってみれば値上げの理由は消費税の税率アップだと言われるわけですから、その是非は別にして、当然それは国に納められていると思うはずです。しかし、国には納められず、別の用途に使われているわけですから、税金を支払っている人の意思に反していると言えます。市長の言う公平公正の観点からすると。それこそ明らかに不公正ということになるのではないでしょうか」

 改めて読み返して見ますと、多少気恥ずかしいところもありますが、この考えは今も変わっておりません。先日市長は、もし消費税が8%、10%へと税率がアップされるようであれば、この一般会計の各使用料などへの消費税転嫁を見直す旨の答弁をされました。このことについては、大いに評価するものでありますが、今補正予算については一般会計への消費税転嫁と地域福祉ふれあい基金への積み立てが継続されており、認めることはできませんので、反対をするものであります。

 次に、陳情第4号から陳情第6号までは、陳情の趣旨に賛同するものであり、賛成をするものであります。陳情第1号につきましては、これまでも同趣旨のものが提出されており、陳情者の崇高な理念と熱情については、敬意を表するものでありますが、具体的な陳情項目については、その意味するところが不明な点が数多く見られ、賛成することはできません。

以上、討論を終わります。