飛翔

日々の随想です

けだるい春


 毎日、仕事のあいまに読書を楽しんでいる。
 読んで読んで、静かに考える。書いて、書いて、考える。読んで読んで。
 そんな時の流れが愛おしい。
 庭の草花や木々の新芽が疲れた目にやさしい。
 春の日はけだるく、もの憂(う)い。
 かすむような、けぶるような空をみあげるとふとこの歌が口の端(は)にのぼる。

   ・つれづれと空ぞ見らるる思ふ人天降(あまくだ)り来(こ)むものならなくに
      (和泉式部)(『玉葉和歌集』)

  もの憂げに空をみやってしまう。想い人が空から降って来るわけでもないのに・・・
  和泉式部が物思いに沈みながら空をみあげるようすが目に浮かぶ。
  なんともけだるい春の日もよいものだ。