やっぱり熱いよ社長さん!〜カタシモワイナリーにてラインガウ甲州と堅下甲州ぶどう(2006)の比較試飲

で、午後はいつもお世話になっているカタシモワインフード(株)の高井社長さんの所へ伺いました。
まずは、社長さんと社屋にて歓談。最近社長さん自ら山梨や長野のワイナリーへ精力的に足を運びその時の話を始めいろいろなお話を沢山聴かせて貰えました。(とっても面白いお話満載です!)
さて、この日のメインイベントは2006年11月12日の記事にも登場する『ミッテルハイマー・エーデルマン・ラインガウ甲州(2005)』とカタシモさん会心の一作『堅下甲州ぶどう(2006)』の飲み比べ。社長さん始め小生も入れて数名、ボトルを囲んで真剣デギュスタシオンを行いました。以下にそのコメントを。
○『ラインガウ甲州
樽無し、シュール・リー無しの本格辛口甲州として話題を席巻したアノ甲州種ワインです。
スキンコンタクトしていますが、後述するように非常にクリーンな淡い若草色で、搾汁率を低くしかもフリーランしか使わない贅沢な造りと推察されます。
最初は爽やかなシトラス系の香りで引き続き青リンゴのような香りと風味(淡い甘味と独特の複雑系酸味)がすごく特徴的で、「リースリングを10倍に薄めて甲州ブレンド(高井社長談)」と感じられる様に甲州種ワインとは絶対に思えないです。
今回は、じっくりと時間をかけて、冷やしたのを常温にゆっくり戻しながら試飲しましたが、初めて分かったのがグラスに入れて時間が経つと爽やかな薫りが消え、バナナの香りがするようになりました。まだ若い樹故、しかも酸化されやすいというのか、薫りの変化が思ったより激しいのには驚きました。
高井社長曰く、「若い樹はブドウの味がまだ落ち着かない」という意味のことを仰っていたので、今後同じ味や香りを維持出来るのかそれとも変わって行くのか、未知の領域が多いワインと改めて感じました。
○『堅下甲州ぶどう』
上記の記事で登場していた2005ミレジムが、年を改め2006年物として再降臨したものです。
「まだまだ完成形ではありません!」と社長さんがおっしゃていた通り、本ミレジムは'05物とは似ても似つかぬ物と言っていい完成の域に近づいた物と言えるでしょう。
南国系の柑橘(デコポン伊予柑)系のファーストアロマの次に洋梨系の厚みのある香りがじわじわと立ってきます。何と、こちらは都合でその場に常温であったものを急遽出したのですが、それでも香りが立つのは後の方で、時間が経過するにつれグラスにまとわりつくようなゴッツイ膨らみのある芳醇な薫りがして来るのです!ちなみに搾汁率は約60%でフリーランのみ使用です。(残りをあのグラッパに使うのです。貴重で贅沢なグラッパなんですよ!)
小生が「きいろ香・三種の神器」と勝手に称している【早もぎ・ノンボルドー・VL3酵母】には依存せず、上質で溢れる薫りが出る甲州ワインは、ソレイユさんの『千野甲州』と丸藤さんの『ルバイヤート50周年記念ワイン・白』とこの『堅下甲州ぶどう』の三種のみです。優れたブドウだからこそ、為し得るこの薫りと味わい。もう日本を代表する本格辛口甲州種ワインと言って過言ではありません!
(附記・2007.5.5)
2005との違いですが、爽やかで切れを重視したのに対し、2006年物は味と薫りの膨らみと全体との調和に重きを置いている。ボクはそう感じました。
(以上)
実際、Michel亭で試飲したのを持参して再度頂いたのですが、片やクリーンな味わいで、片やグリ系の甲州の味(アフターの苦味含め)をも包含した百八十度異なる指向(こんなに色が違います。左が堅下甲州。)ですが『樽無し、シュール・リー無しの本格辛口甲州としての立脚点は相通じるトコロがあります。(どっちもスキンコンタクトしてます。)とても勉強になると同時にワインの奥深さを改めて痛感したのでした。
●関連資料
「ドイツに渡った甲州種が里帰り『ラインガウ甲州』」WANDS ONLINEより)