her space holiday インストアイベント

her space holiday」という名前の、宅録エレクトロニカ系ユニットのCDが
あちこちの外資系CDショップにて取り上げられていた。
実質的にはマーク・ビアンチという人のソロ。
ドリーミーなポップミュージックを奏でる人のようだ。
興味を持ったので新宿南口高島屋HMV で買ってみたら、
インストアイベントのチケットが同封されていた。
サイン会らしい。
6月30日の水曜日。夜20時から。
同時発売の2枚の旧譜を買ったら HMV 独自の特典として
非売品のCD-Rをもらえるとあったのでもう1枚一緒に買う。
CD-Rは以下の2曲入りだった。
「Lydia」 remixed by HER SPACE HOLIDAY / 「Keystroke」remixed by PARK AVE.


家に帰って聞いてみるとなかなかいい。
サンプリングのループに合わせて穏やかなメロディーがそっと響き渡る。
6月30日の水曜日、仕事を早めに終えると新宿へ向かう。
鞄の中には2枚のCDを忍ばせている。


打ち合わせが長引いたので、ちょっと遅れる。着いたときには既に始まっていた。
ライブ。ステージの上にはラップトップのコンピュータが置かれていて、
サンプリングのビートに合わせてマーク・ビアンチが呟くように歌っていた。
(正直、音程というものがあまり感じられず、歌詞を読み上げているようだった)
小さなアコーディオン担当のごつい白人と、
メロディカ(というかピアニカ)担当のこれまたごつい黒人を従えていた。3人編成。
マーク・ビアンチという人は眼鏡をかけ、気弱なのび太君タイプの顔をしているんだけど
元はハードコアバンドにいたようで、その名残からか両腕にびっしりと刺青を入れていた。


5曲ぐらい演奏した。
どれもたぶん最新作からなのではないだろうか。
ヒップホップの要素が多少強い曲やシンフォニックな曲があった。
Suzanne Vega の有名な「Tom's Diner」をサンプリングした曲が印象的だった。
ステージのすぐ脇にミキシングのコンソールがあって、
その辺りが「バックステージ」として関係者が集まっている。
何人かの日本人・アメリカ人(?)が演奏の途中から現れて、関係者たちと再会を喜び合っていた。


HMV の一角、ステージの前は人が大勢集まっていたが、
この中には筋金入りのファンはどれだけいるんだろう?
日本での知名度はどんななんだろう?
まさか HMV のインストアイベントのために来日したのではなくて
日本でライブをするために来たんだけど、そのライブではどれだけ入ったのだろう?


サイン会へ。
1番最初にサインしてもらった子はかなりのファンのようだった。
名前を書いてもらっていた。
僕はライブを見ていた位置がサインを行う場所に近かったため、そのまますぐサインしてもらえた。
「ハロー」と小声で囁かれる。
彼は黒のマジックでCDのブックレットの裏に「Thank you for all of your help !」と書く。


振り返ると小さな行列ができている。
発売されてから思ったほど売れなかったようで、
HMV の店員が「CDをご購入いただけたお客様はサインしてもらえます」と大声で呼びかけていた。


CDを2枚買っていた僕はサイン会のチケットを2枚持ってたんだけど、
もう1枚の方にはサインしてもらわず、エレベーターで降りて地下鉄に乗って家に帰った。
サインしてもらった方のCDを聞く。
なかなかいいじゃないか、と思う。