Brian Eno とアンビエント

イベントに向けてあれこれ準備を。
http://onshitsu.com/2017/06/10-125658.php

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ブライアン・イーノといえばアンビエント
1970年代後半にジャンルを確立、今も第一線にいます。


アンビエントといえば皆さん、どういう音楽を思い浮かべるでしょうか。
エレヴェーターの中でかかっている当たり障りのないミューザック(BGM)や
歯医者の待合室で流れてるようなライトクラシック。
あるいはヨガのレッスンで気がついたら聞こえてきた
癒し系だけどどこか抽象的な起伏の少ない音楽でしょうか。


これらは消費活動の一環として聞き流すための音楽ですが、
ブライアン・イーノの提唱するアンビエントミュージックは
聞いてもいいし聞かなくてもいい、意識を傾けると聞こえてくる音楽。
その違いは必然性でしょうか。
後者にはその音楽自身の目的、テーマがありますが
前者にはその音楽以外の目的、テーマがあります。
エレベーターという空間を少し華やかにするが煩くはしない、
曲は何であってもいい、など。


ブライアン・イーノはドイツの空港のためのBGMをつくりましたが、
それはアナウンスに中断され、空港自身のノイズと共存することを
当初から想定していました。
そこにイーノ自身は「飛行、浮遊、そして密かな死との戯れ」を
関係づけたいと考えていました。
そこから生まれたのが『Music for Airports』という
最初のアンビエントミュージックのアルバムでした。


Brian Eno - Ambient 1: Music for Airports [Full Album]
https://www.youtube.com/watch?v=vNwYtllyt3Q

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そんなわけでブライアン・イーノアンビエント系の作品は
音楽単体で生まれることよりも
どういう空間のための音楽か、というコンセプトが先行することが多いです。
自身のインスタレーション作品を展示する美術館で背後に流す音楽であるとか。


最近のだと2016年にこういうのがあるようです。
Brian Eno Art Installation Timelapse - Jodrell Bank/ Bluedot Festival
https://www.youtube.com/watch?v=hhWoUrsT82I


メロディの良し悪しにこだわりはなく、
ブライアン・イーノの関心は
スタジオや編集ソフトを楽器としてとらえた時の音色の方にあります。
その音そのものがもたらす雰囲気、
それが彼のアンビエントミュージックの核心なのでしょう。


そのアンビエントミュージックが生まれるきっかけになったのが
1975年、事故で入院して動けない時に
病室に置いていたステレオは片側のスピーカーが壊れていて、外は雨も降っていて、
そんな状況下でたまたまセットされたのが17世紀のハープ音楽で、
それがとても小さな音で聞こえてくると水晶のようだったと。
そういう偶然から生まれたというのが面白いです。

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ブライアン・イーノの中でこれが一番の傑作かなと思うのが「Thursday Afternoon」
Brian Eno - Thursday Afternoon [HD]
https://www.youtube.com/watch?v=TTHF2Dfw1Dg


でもこれ、61分で1曲なのでイベントでは触りしか紹介できないんですね。
アンビエントものはゆるやかなグラデーションを描くのが多いので
1曲10分を超えるのはざら。なかなかかけにくい…


こういった61分の作品を作成するとき、
ブライアン・イーノは作曲してセッションして、という方法をとるのではなく、
簡単なフレーズを録音したバラバラの長さのテープをいくつか用意して、
それを同時に再生することで偶然重なり合うものをそのまま作品にするのだと。


そういう音楽の自動生成に長いこと興味があって、
80年代よりコンピューターでできるのではないかと模索し始めます。
90年代はCD-ROMで試みますが、うまくいかず。
21世紀に入って iTunes のアプリとなってようやく思い通りのものになったのか、
いくつか発表されました。
その中で最も有名なのが「bloom」でした。
https://itunes.apple.com/jp/app/bloom/id292792586?mt=8