児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

保管罪被疑者のその後

「改正児童買春法で初摘発=販売目的でポルノ画像保管−警視庁」の被疑者は、現在

東京地裁刑事5部
事件番号 平成16年特わ第4363号
弁護人不明

に係属中。

 傍聴にも行けないので、進行とか、公訴事実は判りません。
 自宅のサーバーなのに保管罪適用されているとすれば、不幸な被告人。所持罪に訴因変更されれば有罪だが、保管罪なら無罪になるはずだ。ちょっとした冤罪。
 然るべき罪名で責任を取らせないと、刑罰の目的は達せない。

 改正後の量刑も気になるところ。

続報は、刑事確定訴訟記録法による閲覧を待て。

島戸「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律」警察公論04.10
⑤ 提供等の目白勺による電磁的記録の保管行為の犯罪化(7条2項後段.5項後段)
上記②③に関連して,自己の所有する記録媒体ではない記録媒体において児童のポルノに係る電磁的記録を.他人に碇供する目的で保管する行為について,新たに処罰することとした(2項後段)。提供の目的が不特定又は多数の者に対する提供の目的である場合には,法定刑が加重される(5項後段)。
電磁的記録の「保管」とは,当該電磁的記録を自己の実力支配内に置いておくこと,具体的には,当該電磁的記録をコンピュータのレンタル・サーバに保存する行為等をいう。自己の所有する記憶媒体に電磁約記録を保存している場合は,当該記憶媒体の「所持」罪が成立するため,記録媒体を所持していないが,電磁的記録を保管している場合にのみ本罪が成立することになる。

単純製造罪のその後

「指導主事が児童ポルノ製造 改正法違反で再逮捕へ」
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20040809#p3
の続報。

大阪地裁堺支部H16わ605・608号他

 単純製造罪で起訴されているかどうかは公判傍聴しないと判りません。

 単純製造罪の解説が出ていますが、被害児童が勝手にポーズ取ったり、自分で撮影したり、盗撮した場合には成立しない。
 密室で大人対児童という状況では、逆らえないでしょうから、「姿態をとらせ」は、かなり緩やかに広く解釈されると思います。

 量刑としては、被害弁償・示談せずにこれが執行猶予なら、改正の趣旨が堺支部に届いていないということだと思います。


 こっちも続報は、刑事確定訴訟記録法による閲覧を待て。

島戸警察公論04.10
製造行為の犯罪化(7条3項)
他人に提供する目的を伴わない児童ポルノの製造であっても,児童に児童ポルノの姿態をとらせ,これを写真撮影等して児童ポルノを製造する行為については,当該児童の心身に有害な影響を与える性的搾取・性的虐待行為にほかならず,かつ,流通の危険性を創出する点でも非難に値する。
そこで,児童に2粂3項各号に掲げる姿態をとらせた上,これを写真等に描写し,よって当該児童に係る児童ポルノを製造する行為について,児童の心身に有害な影響を与える性的搾取行為に他ならないことから,これを処罰するものとした。
「姿態をとらせ」とは,行為者の言動等により,当該児童が当該姿態をとるに至ったことをいい,強制によることは要しない。描写される児童が当該製造について同意していたとしても同様である。

殺人未遂:離婚調停担当の弁護士切り付け 59歳男逮捕

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20040914k0000e040028000c.html
 奥村弁護士にも防弾防刃チョッキのダイレクトメールが来ます。
 相手方には警戒するわけですが、依頼者に背中から切られるということもよく聞く話です。
 警察・検察には煙たがられているのは判りますが、お互い紳士的対応です。

男子トイレ盗撮の元教諭に有罪判決 地裁=香川 [読売新聞 2004年9月10日(金)]

 個室を使用する男性5人を盗撮した。[毎日新聞 2004年9月10日(金)]

 迷惑防止条例違反で公判請求されて、
  懲役六月、執行猶予三年(求刑・懲役六月)
だそうです。
 実刑になれば、男ばかりの世界になりますが。

中3女子生徒買春容疑で戸沢村職員を逮捕

http://www.yamagata-np.co.jp/kiji/20040914/0000003057.html

女子生徒の母親から相談を受けた同署は、2人が利用したホテルを割り出し、そのホテルに容疑者が運転する車のナンバーの記録が残っていたことから容疑が発覚した。

 生身の人間が2人で動けば、痕跡は残ります。
 特に、被害者の記憶は消せませんから、捜査の端緒・被疑者割出の端緒は必ずあるものです。
http://www.okumura-tanaka-law.com/www/image1012.gif
http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/child/arrested-kaisyun.htm
 出と入の時刻が記載されていて、リアルでしょ。

 痕跡を消せとか、残すなとか言っているのではなく、何らかの切っ掛けで発覚しますからやめてくださいよということが言いたいわけですが、
 時々、「被害者の記憶を消せないか・消してくれないか?」という相談を受けることがありますが、さらに重い犯罪になると思います。軽く聞き流しています。

インターネット上の法律勉強会

 誰が講師か知りませんが、プロバイダー責任制限法か著作権法の話でしょう。
 児童ポルノ掲載された掲示板管理者が陳列罪の正犯で懲役だって聞いたらびっくりするんでしょうね。知らぬが仏でしょうか?

http://internetweek.jp/program/shosai.asp?progid=C6
http://internetweek.jp/program/shosai.asp?progid=C7

日 時 12月2日 14:30-17:30
主 催 社団法人日本インターネットプロバイダー協会
参加料 事前料金 一般:\5,000
会員:\3,000 当日料金 一般:\6,000
会員:\4,000

C6およびC7を午前の部・午後の部通して参加の場合には 割引料金が適用されます。
内 容
午前の部:インターネット上の法律勉強会 午前の部
10:00 - 13:00
インターネット関連の法律対策諸事情に関するセミナーを行う

午後の部:インターネット上の法律勉強会 午後の部
14:30 - 17:30
迷惑メールに関する最近の動向と ISP 及びネットワーク管理者が対応すべき事柄についてパネルディスカッションを行う
対象者 インターネットプロバイダーを運営している、または運営を予定している管理者やサポート担当者など。
問合せ先 社団法人日本インターネットプロバイダー協会事務局

所論にかんがみ職権により判断する。

http://mytown.asahi.com/ishikawa/news01.asp?kiji=7814
弁護団は大喜びのようです。

 しかし、判決文を見る限り、弁護人が挙げた上告理由は全部理由がなかったので職権破棄したようにみえます。
 まるで、弁護人の主張は全部的外れだったかのようです。

http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/$DefaultView/918FFFAD517D354149256F0E000D3EE8?OpenDocument
判例 平成16年09月10日 第二小法廷判決 平成13年(あ)第347号 背任被告事件
要旨:
銀行頭取が信用保証協会役員と共謀して同協会に対する背任罪を犯したと認めるには合理的な疑いが残るとされた事例
内容:件名 背任被告事件 (最高裁判所 平成13年(あ)第347号 平成16年09月10日 第二小法廷判決 破棄差戻し)
原審 名古屋高等裁判所 (平成11年(う)第53号)
主    文
原判決を破棄する。
本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。
理    由
 弁護人城正憲ほかの上告趣意のうち,判例違反をいう点は,事案を異にする判例を引用するものであって,本件に適切でなく,その余は,単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 所論にかんがみ職権により判断する。
(中略)
5 そうすると,原判決は,事実を誤認して法律の解釈適用を誤った疑いがあり,破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる。
 よって,その余の所論について検討するまでもなく,刑訴法411条1号,3号,413条本文により,原判決を破棄し,前記指摘の点などについて更に審理を尽くさせるため,本件を原裁判所に差し戻すこととし,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
 検察官吉田博視公判出席
(裁判長裁判官 北川弘治 裁判官 福田 博 裁判官 滝井繁男 裁判官 津野 修)


 しかししかし、上告趣意書に記載された411条該当の主張があったから、職権発動があったわけです。

条解刑事訴訟法P874
411条
1)本条の意義  本条は、法が上告理由を審法追反と判例違反とに限定したこととの関連で、具体的事案の適正な処理と当事者の具体的救済をはかる趣旨で設けられたものである。上告申立ての理由を定めたものではなく、上告審の職権事項を定めたものであるから、当事者が本条の該当事由を主張しても、職権発動を促す趣旨に過ぎず、また、当事者の主張がなくても、本条の職権発動により原判決を破棄することができる。

 判決上、その証拠はというと
   所論にかんがみ・・・
のくだりですね。何百頁の主張も「所論」の2文字ですが、弁護人はちゃんと仕事しています。

 それなら最高裁も、判決文で、そう書けないんでしょうか?弁護人の言うとおりだって。

国家公安委員会8/5

 出会い系サイト上では、児童を誘引、児童が誘引というのは、見掛けないそうですが、サイトに集まるのが児童だったりするので、特別に児童を誘引しなくても児童が引っ掛かるという状況なんですよね。

http://www.npsc.go.jp/report16/8_5.html
15)平成16年上半期中のいわゆる出会い系サイトに関係した事件の検挙状況について

生活安全局長から、「平成16年上半期におけるいわゆる出会い系サイトに関係した事件の検挙件数は785件で、その大半を児童買春・児童ポルノ違反や青少年保護育成条例違反が占めている。」旨の報告がなされた。