児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

非出会い系サイト経由の性犯罪急増

 出会い系サイト規制法が対象を「異性紹介」に限定したので、その他の出会えるサイトが統計上「非出会い系」になっちゃんてるんですよ。
 刑事裁判では全部「いわゆる出会い系サイト」と称していますよね。「メル友募集掲示板」とか、「バンドのファンサイト」とかも「出会い系サイト」ですよね。まあ、いいんですけど。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080606-00000017-san-l08
非出会い系サイト経由の性犯罪急増
 高校に入り中学時代の友達と話題がずれてしまったことからゲームサイトに登録。サイト内で被告とメッセージをやり取りするうち、メールアドレスなどを交換。約1カ月後には2人でカラオケに行き、ホテルへ。「セックスに興味があった」。気付くと犯罪の被害者になっていた。
 一方、被告は「妻以外の女性と交際したい」と、少女4人を18歳未満と知りながらも誘い出していた。少女らの親は「(子供に)安易に携帯電話を預けてしまった」と悔やんだ。
     ◇
 県内のインターネットサイトを通じた少女被害の性犯罪検挙数のうち、出会い系サイトを通じたものは平成17年以降、減少傾向。一方、掲示板などの非出会い系サイトを通じたものは急増している。

被告人が被害児童(保護者)から弁償(損害賠償・示談・慰謝料)の請求を受けた。

 権利意識・被害者意識の向上というんでしょうか?
 事案ごとに弁償の要否・程度を判断して対応しています。
 刑事事件の弁護人ですので、刑事事件への影響(有利・不利)で判断しています。

相談料・着手金・報酬金などの分割払・クレジットカード払いについて

 クレジットカードについてはなお検討中。加盟店契約の資料は届きましたが。
 分割払いについては事案に応じて委任契約の段階で対応しています。捜査段階で費用と支払い方法の点で受任しなかった事件について、若い・安い私選弁護人が下手な弁護(内容虚偽の証拠にまで同意したようなマイナス弁護)をして、実刑になったというのが、再度控訴審で相談に来るんですよ。これは気の毒だし、弁護士一般への評判も落ちますね。

委員長提案で即日可決で委員会通過。

 国民に条文見せないで可決ですよ。

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20080606AT3S0600F06062008.html
衆院委、有害サイト規制法案を可決
 携帯電話の有害サイトから青少年を守るための対策新法案が6日、衆院青少年特別委員会に委員長提案の形で提出され、全会一致で可決した。

学校の先生は字がきれいだ

 今日も「元教諭」からきれいな手紙が届きました。
 小学校・中学校・高校の教諭の弁護人なんですけど、みなさん字がきれいです。ペン習字の先生レベル。
 奥村は悪筆なので(読めないので)手書の手紙は一切書きませんが、代筆頼みたいくらいです。

公判請求事件の委任契約例

 いきなり委任契約を提案してくれといわれることも多くなりました。
 最近起案した契約書です。
 児童買春罪数罪で、逮捕・勾留されて、自白事件で、量刑相場で執行猶予の確率が高い事件だとこれくらいです。
 これをベースにして、事案に応じて少しずつ変えています。

(刑事事件用)
委  任  契  約  書
 依頼者を甲とし,受任弁護士奥村徹大阪弁護士会)を乙として,甲と乙とは次のとおり委任契約を締結する。

第1条 甲は乙に対し,次の事件等の処理を委任し,乙はこれを受任する。
 1 被疑者・被告人名
甲野太郎
 2 事件の表示 (被告事件)
児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律
児童買春○罪
 3 管轄裁判所等の表示
    警察署(大阪地検→大阪地裁)
 4 委任の範囲
   捜査  第一審 控訴審
 5 付随事件
  被害者対応(弁償ないしは弁償に替わる寄付)
保釈保証金・示談金用の預り金口座

第2条 乙は弁護士法に則り,誠実に委任事務の処理にあたるものとする。
第3条 甲は乙に対し,乙の所属する弁護士会の報酬会規に則り,後記の着手金,報酬金,日当・実費等 (預り金により処理する場合を除く。) を次のとおり支払うものとする。
 (1)着手金は本契約締結のとき 20万円
 (2)日当・委任事務処理に要する実費等は乙が請求したとき
 (3)保釈を得た場合は保釈保証金の10%
 (4)報酬金は事件等の処理が終了したとき (成功の程度に応じて終了時に協議)
 想定
  無罪・不起訴  50万円(可能性低い)
  罰金      30万円(可能性低い)
  執行猶予      0円 (可能性高い)

第4条 甲が着手金または委任事務処理に要する実費等の支払いを遅滞したときは,乙は 事件等に着手せずまたはその処理を中止することができる。

第5条 
1 委任契約に基づく事件等の処理が,解任,辞任または委任事務の継続不能により,中途で終了したときは,乙は,甲と協議のうえ,委任事務処理の程度に応じて,受領済 みの弁護士報酬の全部もしくは一部を返還し,または弁護士報酬の全部もしくは一部を請求するものとする。
2.前項において,委任契約の終了につき,乙のみに重大な責任があるときは,乙は受領済みの弁護士報酬の全部を返還しなければならない。 ただし,弁護士が既に委任事務の重要な部分の処理を終了しているときは,乙は,甲と協議のうえ,その全部または一部 を返還しないことができる。
3.第1項において,委任契約の終了につき,乙に責任がないにもかかわらず,甲が乙の 同意なく委任事務を終了させたとき,甲が故意または重大な過失により委任事務処理を不能にしたとき,その他甲に重大な責任があるときは,乙は,弁護士報酬の全部を請求することができる。 ただし,弁護士が委任事務の重要な部分の処理を終了していないときは,その全部については請求することができない。

第6条 甲が第3条により乙に支払うべき金員を支払わないときは,乙は,甲に対する金銭債務 (保釈保証金,相手方より収受した金員等) と相殺しまたは事件等に関して保管中の書類その他のものを甲に引き渡さないでおくことができる。

第7条 甲は乙に対して、甲が乙に支払った金員および支払う金員は犯罪収益(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律)ではないことを誓約する。

(特約条項)
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(方針)
児童買春○罪の科刑状況は実刑×% 執行猶予×%。同種同等事案でも実刑事案は存在する。
証拠書類は被告人にも差し支えない範囲で内容確認してもらいます。
本件の有利な事情・・・・、不利な事情・・・・・。
不利な事情を減殺する弁護活動として・・・・を提案する。
被害者対応
行政処分への対応
法令適用に誤りがないこと

児童淫行罪の際の撮影行為が余罪として考慮されていないか?

 製造罪の事物管轄に自信がないのか、最近起訴してないことがありますが、児童淫行罪の情状で立証してないでしょうね。併合罪説だと再起訴の可能性があるから好ましくないですね。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童保護等に関する法律違反、売春防止法違反、児童福祉法違反被告事件
広島高等裁判所平成14年12月10日
高等裁判所刑事裁判速報集平成14年158頁
判例時報1826号160頁
法学セミナー48巻12号123頁
 ところで、起訴されていない犯罪事実について、単に被告人の性格、経歴及び犯罪の動機、目的、方法等の情状に関する事実を推知するための資料として考慮することは適法であるが、いわゆる余罪として認定し、実質上これを処罪する趣旨で量刑の資料とすることは許されないと解される。他方、本件において、専属管轄を有する家庭裁判所である原審が、比較的近い時期になされた被告人の上記広島県青少年健全育成条例違反の事実や起訴されていない犯罪事実を、単に、被告人が上記B子と知り合った後、本件各犯行に至った経緯や犯行の動機、犯行後の状況等の情状を推知するための資料として考慮したに過ぎないと考える余地がないわけではない。しかしながら、原判決は、本件の罪となるべき事実を認定するのに必要かつ十分な証拠を挙示すれば足りる(証拠の標目)に、専ら又は主として余罪に関する上記証拠を挙示している上、(量刑の理由)の中で、上記のような説示をしていることに照らすと、原判決には、客観的にみて、本件公訴事実のほかに、現に他の裁判所に起訴されて係属中の広島県青少年健全育成条例違反の犯罪事実や起訴されていない児童買春及び売春の周旋並ひに淫行をさせた犯罪事実、あるいは被告人自身による児童数名との淫行の犯罪事実を認定し、これをも実質的に処罰する趣旨で被告人に対する刑を量定した疑いがあるといわざるを得ない。

最高裁判所大法廷昭和41年7月13日
【参考文献】最高裁判所刑事判例集20巻6号609頁
      最高裁判所裁判集刑事160号145頁
      裁判所時報453号2頁
      判例タイムズ195号114頁
      判例時報451号24頁
【評釈論文】警察研究47巻5号62頁
      警察研究48巻12号51頁
      ジュリスト373号341頁
      別冊ジュリスト21号88頁
      別冊ジュリスト44号122頁
      別冊ジュリスト68号146頁
      時の法令585号53頁
      日本法学34巻1号186頁
      判例評論97号45頁
      法学研究(慶応大)41巻10号120頁
      法学新報74巻11〜12号85頁
      法曹時報19巻1号171頁
      法律のひろば20巻9号21頁
 刑事裁判において、起訴された犯罪事実のほかに、起訴されていない犯罪事実をいわゆる余罪として認定し、実質上これを処罰する趣旨で量刑の資料に考慮し、これがため被告人を重く処罰することは許されないものと解すべきである。けだし、右のいわゆる余罪は、公訴事実として起訴されていない犯罪事実であるにかかわらず、右の趣旨でこれを認定考慮することは、刑事訴訟法の基本原理である不告不理の原則に反し、憲法三一条にいう、法律に定める手続によらずして刑罰を科することになるのみならず、刑訴法三一七条に定める証拠裁判主義に反し、かつ、自白と補強証拠に関する憲法三八条三項刑訴法三九条二項、三項の制約を免かれることとなるおそれがあり、さらにその余罪が後日起訴されないという保障は法律上ないのであるから、若しその余罪について起訴され有罪の判決を受けた場合は、既に量刑上責任を問われた事実について再び刑事上の責任を問われることになり、憲法三九条にも反することになるからである。
 しかし、他面刑事裁判における量刑は、被告人の性格、経歴および犯罪の動機、目的、方法等すべての事情を考慮して、裁判所が法定刑の範囲内において、適当に決定すべきものであるから、その量刑のための一情状として、いわゆる余罪をも考慮することは、必ずしも禁ぜられるところではない(もとより、これを考慮する程度は、個々の事案ごとに合理的に検討して必要な限度にとどめるべきであり、従つてその点の証拠調にあたつても、みだりに必要な限度を越えることのないよう注意しなければならない。)。このように量刑の一情状として余罪を考慮するのは、犯罪事実として余罪を認定して、これを処罰しようとするものではないから、これについて公訴の提起を必要とするものではない。余罪を単に被告人の性格、経歴および犯罪の動機、目的、方法等の情状を推知するための資料として考慮することは、犯罪事実として認定し、これを処罰する趣旨で刑を重くするのとは異なるから、事実審裁判所としては、両者を混淆することのないよう慎重に留意すべきは当然である。
 本件についてこれを見るに、原判決に「被告人が本件以前にも約六ケ月間多数回にわたり同様な犯行をかさね、それによつて得た金員を飲酒、小使銭、生活費等に使用したことを考慮すれば、云々」と判示していることは、所論のとおりである。しかし、右判示は、余罪である窃盗の回数およびその窃取した金額を具体的に判示していないのみならず、犯罪の成立自体に関係のない窃取金員の使途について比較的詳細に判示しているなど、その他前後の判文とも併せ熟読するときは、右は本件起訴にかかる窃盗の動機、目的および被告人の性格等を推知する一情状として考慮したものであつて、余罪を犯罪事実として認定し、これを処罰する趣旨で重く量刑したものではないと解するのが相当である。従つて、所論違憲の主張は前提を欠き採るを得ない。

画像掲示板の児童ポルノ画像

 公然陳列してしまったという相談者と一緒に某掲示板で特定の児童ポルノ画像を探しているのですが、昔、強制わいせつ罪とか製造罪とか公然陳列罪とかで立件された画像が散見されますね。仙台地裁さいたま地裁か。
 被害者のためにも、継続的にチェックしてほしいですね。
 漫然と掲載しているようでは、この掲示板もアウトですね。

青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案

 条文が出てない論評ばっかりで困ります。
 「サーバ管理者による青少年閲覧防止措置は努力義務に」って言っても、わいせつ図画・児童ポルノ等の「違法情報」については、名宛人によっては管理者の処罰根拠になります。条文なくても刑法総論で不作為犯として正犯・共同正犯・幇助で有罪になっているわけですから、今回の法律で法的義務の形式的根拠を得たことになる。これまでは条理しかないと言われてきたのにこれからは、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律○条の閲覧防止措置義務違反」と言える。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080606-00000009-omn-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080606-00000123-jij-bus_all

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080606-00000060-zdn_n-sci
●サーバ管理者による青少年閲覧防止措置は努力義務に
 当初案でサーバ管理者に義務付けられていた青少年閲覧防止措置と通報の受け入れ体制、記録の保管などは全て努力義務となった。有害情報について利用者から通報を受け、そのまま放置したとしても、何ら罰則は科されない。青少年閲覧防止措置が削除を指すのか、PICS(Platform for Internet Content Selection)などのセルフラベル表示などの措置を指すのか、フィルタリング事業者などへの通知を指すのか、特に方法は指定されていない。今回の法律では、悪質な事業者による違法有害情報の放置について、対応の改善を期待することは難しいと考えられる。

 一部の事業者が要望していた違法有害情報の削除に対する責任制限も、今回は盛り込まれなかった。青少年閲覧防止措置に対して積極的な対応をしたいと考える優良な事業者についても、かかる情報を削除した場合に法的リスクが軽減されることはなく、これまで以上に違法有害情報の削除が進むことは期待できないだろう。