児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

コンピュータソフトウェア倫理機構

 ここがターゲットだったんですか?
 倫理規定を作って、有害図書の指定なんかもしていたようですが、声の大きい人たちが来ると、倫理規定が変わるようです。
 準児童ポルノなんかも業界団体を攻撃すれば、法律要りませんね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090603-00000091-mai-soci
同機構は業界の自主審査機関で、アダルト系メーカーの約9割が加盟。会員業者のソフトを審査し、倫理上問題があれば修正などを指示している。しかし、母と子をレイプし妊娠・中絶させる過程をコンピューターグラフィックスで疑似体験する1本のソフトが欧米で問題視され、国際女性人権団体「イクオリティ・ナウ」(本部・ニューヨーク)が5月、抗議行動を始めた。このソフトについてはメーカーが出荷を自粛したが、国内の団体からも「他の性暴力ソフトも問題とすべきだ」との批判が高まっていた。

青少年条例の有害図書の認定をやってるのだから、「ここは日本だ。日本刑法では禁止されていない。青少年条例なら規制可能になる。そっちの手続きを踏む必要がある」と反論すべきだったんじゃないでしょうか?
 これから有害図書は、こういう団体に圧力を掛けることで規制できると取られますから。

http://www.sofurin.org/htm/about/shiteimap.htm
青少年健全育成条例による団体指定
 一般社団法人 コンピュータソフトウェア倫理機構は、設立当初よりコンピュータソフトウェアの審査のほか、全国のパソコンソフト販売店様および流通会社様へ、「年齢確認」「対面販売」「区分販売」を徹底して頂くよう、啓発活動を継続しています。
 各地方自治体が制定している青少年健全育成条例では、出版物の内容(表現)について、青少年の成長に悪影響を及ぼす可能性があるものは「有害図書類」とみなし、条例に基づき指定される場合があります。
 当法人は、倫理規程や審査基準に基づく審査業務および啓発活動ついて、適切である業界団体として認められ、青少年健全育成条例における有害図書類等の指定等に係わる「指定団体」として、以下の地方自治体から定められています。

大阪府青少年健全育成条例
十三条 知事は、図書類の内容の全部又は一部が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該図書類を青少年に有害な図書類として指定することができる。
一 青少年の性的感情を著しく刺激し、青少年の健全な成長を阻害するもので、規則で定める基準に該当するもの
二 青少年の粗暴性又は残虐性を著しく助長し、青少年の健全な成長を阻害するもので、規則で定める基準に該当するもの
三 青少年の犯罪を著しく誘発するおそれがあり、青少年の健全な成長を阻害するもので、規則で定める基準に該当するもの
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げるものは、青少年に有害な図書類とする。ただし、その内容が主として読者又は視聴者の性的感情を刺激するものでないと認められるものについては、この限りでない。
三 図書類の製作又は販売を行う者の組織する団体で、規則で定めるところにより知事が指定するものが審査し、前項各号のいずれかに該当するとして青少年の閲覧、視聴又は聴取を不適当と認めたもの

ネット社会の課題」−サイバー空間に潜む危険と安全対策−

 こんなのがあるようです。

http://www.asss.jp/img/12sympo.pdf
2 シンポジウム
メインテーマ
「ネット社会の課題」
−サイバー空間に潜む危険と安全対策−
(2)基調講演(午後1時50分〜午後2時30分)
「ネット社会の課題」
_サイバー空間に潜む危険と安全対策一
前田 雅英氏(首都大学東京法科大学院教授)
(3)パネルディスカッション(午後2時50分〜午後5時30分)
(順不同)
警察庁生活安全局情報技術犯罪対策課長 桝田好一氏
お茶の水女子大学教育学部教授 坂元章
大阪大学大学院人間科学研究科教授 藤岡 淳子氏
マイクロソフト(株)最高技術責任者補佐 楠 正憲氏
(財)インタ∵ネット協会ホットラインセンター副センタ
ー長               吉川 誠司氏
・討論者 前田 雅英氏(首都大学東京法科大学院教授)
・コーディネーター 警察政策学会理事 石附 弘

損害賠償命令制度、県内で初決定 地裁尼崎支部

 この事件を同一被害者に対する事件だとすると、損害賠償命令制度って、強制わいせつ罪には適用がありますが、児童福祉法や児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律には適用がないから、請求できる損害とできない損害があります。検討する余地があると思います。

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0001984257.shtml
 判決後、約2500万円の賠償を求めた審理が行われたが、同支部は4回以内で終了しないと判断し、2回目の審理後、通常の民事訴訟に移行することを決めた。

犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律
第9条(損害賠償命令の申立て)
次に掲げる罪に係る刑事被告事件(刑事訴訟法第四百五十一条第一項の規定により更に審判をすることとされたものを除く。)の被害者又はその一般承継人は、当該被告事件の係属する裁判所(地方裁判所に限る。)に対し、その弁論の終結までに、損害賠償命令(当該被告事件に係る訴因として特定された事実を原因とする不法行為に基づく損害賠償の請求(これに附帯する損害賠償の請求を含む。)について、その賠償を被告人に命ずることをいう。以下同じ。)の申立てをすることができる。
一 故意の犯罪行為により人を死傷させた罪又はその未遂罪
二 次に掲げる罪又はその未遂罪
イ 刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十六条から第百七十八条まで(強制わいせつ、強姦、準強制わいせつ及び準強姦)の罪
ロ 刑法第二百二十条(逮捕及び監禁)の罪
ハ 刑法第二百二十四条から第二百二十七条まで(未成年者略取及び誘拐、営利目的等略取及び誘拐、身の代金目的略取等、所在国外移送目的略取及び誘拐、人身売買、被略取者等所在国外移送、被略取者引渡し等)の罪
ニ イからハまでに掲げる罪のほか、その犯罪行為にこれらの罪の犯罪行為を含む罪(前号に掲げる罪を除く。)

『法改正の次にくるもの〜法執行の取り組みと課題について〜』

 タイトルは法改正済みを予定したものなんだそうです。
 招待制のセミナーでした。
 前田先生は与党案を支持されるようです。

登 壇 者
前田 雅英 首都大学東京法科大学院教授/平成20年度総合セキュリティ対策会議委員長、
森 亮二 弁護士/安心ネットづくり促進協議会調査企画委員会児童ポルノ対策作業部会主査
エドワード・ショー 法務官/米国連邦捜査局(FBI)駐日代表、
ユン・ヨンヒ 韓国警察
アグネス・チャン 日本ユニセフ協会大使、
早水 研 日本ユニセフ協会専務理事

森弁護士は対立利益として小児性愛者への配慮に言及してました。〆(._.)メモメモ


 FBIの捜査ツールは
1 通信傍受・画像監視
2 潜入捜査
3 共同謀議罪
4 所持罪
だそうです。
 児童ポルノ罪もこれでばっちりだとか。

追記
 民主党案はアカンという話だったと聞こえましたけど。

http://www.nhk.or.jp/news/k10013438071000.html
児童ポルノ 法改正求める会合
06月04日21時04分
インターネットに氾濫(はんらん)している児童ポルノの問題について、民間団体や法律の専門家などによる会合が東京で開かれ、児童ポルノの画像や映像を持っていることも禁止するよう、今の国会での法律改正を実現すべきだという意見が相次ぎました。

姿態をとらせて非実行行為説の限界

 お忙しい検事さん、判事さんは聞かなくていいですよ。
 最近の判例によれば、姿態をとらせては実行行為じゃないので、撮影行為の開始時が実行の着手になります。

判例タイムズ1206号93頁
(1) そもそも児童ポルノの製造とは児童ポルノを作成することをいうのであるから,「姿態をとらせること」は製造とは別の行為であって本罪の実行行為には当たらず,製造の手段たる行為にすぎないというべきである(例えば,児童に姿態をとらせてもそれだけで本罪の実行の着手があったとはいえないというべきである。)。

とすると、こうい事案ではいつが着手なんですか?

「携帯電話のサイトで知り合った兵庫県豊岡市の女子中学生(14)に3月22日、わいせつな画像を撮らせて送信させ、携帯電話に保存した疑い。」

 「姿態をとって撮影して送れ」と頼んだメールは着手じゃなくて、児童が撮影した時点が着手になりますよね。でもそれは被害児童の行為であって、被告人の行為ではないですよ。被告人の行為だというには、間接正犯とか共同正犯になります。
 被告人の行為は最初のメールだとして、着手時期を解釈で、撮影時点に遅らせるんですか?
 自殺幇助の着手は自殺行為開始の時だという似たような議論がありますが、あれは、自殺が犯罪じゃなくて自殺罪の正犯がいないから特別の規定を置いているのです。被害児童も1項提供罪・2項製造罪の正犯になりうるという解釈を採ると、自殺幇助の理屈を応用することもできません。
 被害児童が正犯かというと、また保護法益の話に戻りますが、判例は純粋個人的法益説には戻れませんから、児童を正犯にせざるを得ないですよね。

会社PCに中3女子の画像送信させる 容疑の男逮捕

 購入者が逮捕されることがあります。
 立法者の解説によれば、被害児童に2項製造罪+1項提供罪を認めることになっていますが、実務では、頼んだ方にのみ3項製造罪が成立するという法的構成になっています。疑問です。<<>
http://anchorage.2ch.net/test/read.cgi/liveplus/1243984722/
大宮東署の調べでは、容疑者は1月17日〜2月14日に計16回に わたり、当時東京都の区立中3年の女子生徒(15)に自身の裸をカメラ 付き携帯電話で撮影させ、画像42枚を勤務先の会社のパソコンに送信 させた疑いがもたれている。
大宮東署によると、容疑者はインターネットの掲示板で知り合った 男性を通じて女子生徒と知り合い、容疑者は女子生徒に報酬として 計2万円を振り込んだという。

おはよう日本「被害は過去最悪 児童ポルノ規制に必要なものは」

 朝っぱらから児童ポルノ
 新幹線移動中で観れません。
 今日のセミナーも単純所持罪ができたかのような企画なんですが、何罪を作っても、法定刑を上げても、取り締まりが追いつかないので、あんまり決定打はないと思います。

http://www.nhk.or.jp/ohayou/
6月5日(金)の放送予定
被害は過去最悪 児童ポルノ規制に必要なものは

 被害者の手記も既出の「野の花」の発表で、与野党で妥協案を模索しているという以外、新しいことはありませんでした。
細かい罪名よりも、必要なのは取り締まりと被害者の保護ですよ。

12歳との淫行は青少年条例違反か強制わいせつ罪・強姦罪か?

 この被疑者の弁護にはなりませんが、13歳未満の場合は、国法である刑法の強制わいせつ罪・強姦罪のみ成立し、青少年条例違反は成立しないと考えています。
 法律で、性的承諾能力を認めないのだから、みだらだから有罪で、そうでないから無罪という余地はないと思うのです。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090604-OHT1T00253.htm
逮捕容疑は、昨年11月8日午後3時ごろ、広島市南区京橋町の短期賃貸マンションで、当時中学1年で12歳だった同市内の少女(13)が18歳未満と知りながら、わいせつな行為をした疑い。
 県警によると、2人は昨年秋ごろ携帯電話のゲームサイトで知り合い容疑者は3週間、部屋を借りて広島まで少女に会いに通っていた。自宅からは携帯電話5台も押収された。
 「週末デートするためだった。高校生くらいだと思った」と供述している。当日は土曜だった。